私たちは、植民地化し悲惨な思いをさせた東南アジアや沖縄の人々の感情なんてどうでもよい。政府もヘイトスピーチを煽り、国連人権委員会から注意されようがおかまいなしで、秘密保護法を制定し、今度は安保法案を通そうとしている。そして、選挙権を18歳まで下げるとなれば、「君が代」を歌おうとしない教師のみならず、一層、学校などへの圧力を企てるようになるだろう。しかし、心理的リアクタンス理論によれば、自由な選択が脅かされそうになるとそれに固執しだし、その権力による圧力は逆の効果を及してしまうという。兵器の研究を禁じている東京大学は、政府の兵器の研究開発への圧力に懸念を表明した。政府のメディアなどの各方面への圧力が明らかになってきているが、人は他人に強制されたり、圧力などに屈したくないものだ。ジェーン グルードは、チンパンジーが他の群との間に勢力差が生じると強い群が弱い群を襲撃して、壊滅させる様を始めて観察した。チンパンジーと約98%遺伝子を共有しているヒトも、弱い相手を攻撃したくなり、強い相手にメロメロと服従したがる本能的気質がある。私たちが重要なのは、弁護士と同じで真実ではなく勝利で、相手を攻撃にして心理的去勢するのが大好きだ。欧米列強に肩を並べた日本軍も、太平洋戦争が始まると東南アジアを次々と打ち負かし、占領して植民地化していった。ロバート サポルスキーによると、まとまりのないヒヒの群も天敵のヒョウが出現するときちんとまとまりだすように、ヒトも、内集団、外集団バイアスによって、外集団に敵意を煽ることで内集団の結束を高め、外集団に攻撃を働きたがるようになる。政府が、韓国や中国などへの嫌悪、敵意を煽り、ナショナリズムを高め、軍事力増強するのも生物学的だ。通常、動物は、他の固体の威嚇に対し、体を大きく見せたりして威嚇で仕返す。ヒトも、脅かしに対し脅かし返し、攻撃されたらし仕返ししたくなる。社会的生物として優位性を確認しようと外集団を劣位と見下すようになり攻撃したくなることが明らかにされている。しかし、イギリスの支配下で祖国の苦しむ人々の姿を目のあたりにして立ち上がったインドのガンジーは、列強の暴力を真似て仕返しするようなことがあれば「インドは私の誇りでなくなる」と言って仕返しをきっぱりと拒否した。イギリスに抵抗の気持ちをこめて糸を紡むことを勧め、イギリス製品の不買運動を指揮した。トルストイは自ら糸を紡ぎ続けるガンジーに「あなたの行為は愛の法則だ」と手紙に書いた。日本国憲法9条、平和憲法は「戦争を一切放棄する」という他国の威嚇、攻撃に仕返えそうとしない非生物学的なものだが、トルストイがいう「愛の法則」と似ている。ビートたけしは、日本の平和憲法について「ロクなものしかない日本に一つくらい誇れるものがあってもいいんじゃないの」と週刊誌に書いていた。平和憲法を守るため「戦争をさせない全国署名運動」に参加してください。

マハトラ(偉大な魂)とよばれたガンジー
ガンジーを慕ったトルストイ
ベトナム人を射殺する米兵