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Mal -不正咬合-

Mal -不正咬合-

成長期の小児は感受性の高く、一連の反応が開始され、永続的なプログラムが組み込まれ、根底にある生理システムが影響を受け、行動、習癖、かみ合わせ、成長の進路が決定されていると考えられるが、問題となる環境中の空気、水、食物が、体内に摂取、代謝されどのように影響するのか、遺伝、環境因子によって影響を受けて、発達の行き先を狂わせ、変化を余儀なくさせ、かみ合わせ、成長のみならず、社会行動に波及しているのか、環境によって免疫系が影響された結果生じる。甲状腺ホルモン不足と小児の精神発達が結び付けられており、小児期における1種の精神発達とかみ合わせには、生物学的反応の共通点がある。なぜ、人は、それぞれ個性的な歯並びになったり、知能、運動能力に差が出現するのか?人は、それぞれの素質を持つ。素質が異なれば、同じ環境でも環境が及ぼす効果が異なってくる。歯並びにしても、遺伝と環境の相互作用を受けることになる。どんなところにすんでいるか、どんなものを食べるかなどのライフスタイルが、異なる個体が環境に働きかけ、異なる環境を招来する。環境が一定でも固体が異なればその効果が異なる。人は、遺伝と環境に影響をうける。可塑性のある成長期は特に、環境にも強く影響を受けてしまうかもしれない。

不正咬合の起源

テオデシウス ドブジャンスキーは、形質、病気、疾患、行動のみならず、多くの現象を進化的視点から見なければならない理由を説明した。われわれには、病気や疾患のように不正咬合に罹患しやくする遺伝子がある。顔、顎、そして咬合という表現型は、遺伝子型が個人の成長の過程で、多くの微妙な環境要因によって影響を受けて表出したものである。しかし、咬合は、環境に対し生存するために進化させてきた遺伝形質が現代社会とは合わなくなっている。不正咬合のような形態が淘汰されないで残っているのは、疾患だとしても適応度を下がらなければ、あるいは、生殖に影響しないものであれば自然淘汰は改良しない。不正咬合の発端は、寒さに対する人間の適応であるが、適応はある種の妥協で、ある状況に対する改良は別の面で不利益を生む。たとえば、人類の二足歩行への進化は大きな脳を作ることを可能にしたが、胎児の脳が産道をとおりぬけるときに母子ともに苦痛をもたらし、頭を前方に向けて舌骨筋が緊張し下顎を後退させ、顎を狭くした。進化は矮小歯、欠損歯を解決策として用意した。顔、顎、咬合という表現型は、遺伝子型が個人の成長の過程で、環境要因に影響を受けて表出したもの。咬合は、環境に対し生存するために進化させてきた遺伝形質が現代社会とは合わなくなっている。咬合は、遺伝子の伝達を最大化するように自然淘汰が体を作ってきた挙句の妥協の産物である。残された子孫たちのもっている遺伝子の利益のために存在する。ヒトは25万年前、アフリカに出現し、その後、脱アフリカを果たした。人類の集団間の環境の問題による淘汰圧がヒトの集団間の差異をもたらした。顔面などの形態も長顔、短顔があるように集団ごとに気候に合わせて熱をためたり逃したりするように進化した。ある時代の進化による解決が、ある時代には問題を発生させた。人類発祥の地、東アフリカ、グレートリフトバレー、ヒトは25万年前、アフリカに出現し、その後、脱アフリカを果たし、集団間の環境の問題による淘汰圧がヒトの集団間の差異をもたらした。

咬合は、遺伝子の伝達を最大化するように自然淘汰が体を作ってきた挙句の妥協の産物である。残された子孫たちのもっている遺伝子の利益のために存在する。 私たちがもつ感情も、自然淘汰によって適応的に作られている。不愉快な感情は、痛み、嘔吐に似た防御反応である。肉体的な痛みを感じる能力が、損傷を守るために進化してきたと同じように不安を感じる能力は、危険や脅威から身を守るために、筋痛、筋疲労が筋肉を使いすぎないように、顎関節症になることが、顎を使いすぎないように進化してきた。不正咬合は、悪い力やランダムな力によって生じるだけでなく、過去に働いた自然淘汰のせいで生じる。

浸透度とは、特定の遺伝子をもつ個体のうち、その遺伝子が発現する頻度のことであり、必ず、不正咬合を誘発するような遺伝子があるとすれば、その遺伝子の浸透度が高い、完全な浸透度を有するということになる。一方、他の要因が多数絡まないと発現しないような遺伝子は浸透度が低いことになる。オーストラリアのハブスブルク王家は、マリー アントワネット、マリア テレサを出し、代々、下顎前突が遺伝した。ローマ皇帝のハブスブルク家は、何代にわたって骨格的下顎前突症が遺伝し、骨格的な受け口は浸透度が高いということになる。大山紀美栄(1989),ハブスブルク家の肖像(一),化粧文化,No.20,pp.84-93.

破格と異常

個体変異という同じ種の中の差異があるが、固体変異のうち、大多数が同じ型で、数%がそれと異なる場合が破格とされる。破格はすべての人の体の中にあり、不正咬合もそれに属する。奇形とは、不正咬合という破格の中で口蓋裂のように生活に支障があるものを指す。

遺伝

犬種によって、顎が出ている犬同士をかけあわせれば、顎が突きた犬が、出てない犬同士を掛け合わせれば、顎が出てない犬が生まれるが、人も同様のことが生じ、たとえば、顎が後退した形質を持つ親から生まれた子供は同じ形質を持つ傾向がある。

人類の革命

人における3つの革命がある。500万年前に生存していたオウストラロピテクスは、脳は、500ミリリットルで、ゴリラより少々大きい程度であるが、2足歩行していた。

破格と異常

個体変異という同じ種の中の差異があるが、固体変異のうち、大多数が同じ型で、数%がそれと異なる場合が破格とされる。破格はすべての人の体の中にあり、不正咬合もそれに属する。奇形とは、不正咬合という破格の中で口蓋裂のように生活に支障があるものを指す。

レイモンド ダート

レイモンド ダート は、1924年、南アフリカ共和国のタウングにある石灰岩の砕石場から出土したタウングベビーと呼ばれる子供の人骨の顎は、類人猿のように突き出しておらず、臼歯の咬合面は平坦で、犬歯は小さかった。大後頭孔が中央にあった為、二足歩行をする人類のものであると主張した。直立二足歩行していた人類の祖先のものであると考えて、「南の (Australo-) 猿 (pithecus)」という意味の(Australopithecus africanus)」を1925年に学術雑誌『ネイチャー』に発表した。

ダートは、進化論を教えて大学を馘首された医師、 ブルーム と、南アフリカの4つの洞窟で、初期人類の化石を大量発見した結果、300-100万年前の南アフリカには、かなり多くの人類が住んでいたことを示したが、うそつき呼ばわりされ、熾烈な迫害をうけた。納得させるまで約4世紀半要したことになる。

アフリカのタンザニアの360万年前の地層から2足歩行の足跡が発見された。親指が前方を向き土踏まずがある。火山の噴火から逃れようとした時に足跡が残されたと考えられる。足跡を残したアウストラロピテクスアファレンシスの骨盤の中に、人類の骨の誕生の秘密が隠されていた。
(アフリカのタンザニアの360万年前の地層から2足歩行の足跡が発見された。親指が前方を向き土踏まずがある。)

人類の第1の革命:道具使用

220万年前の出現した1964年にタンザニアでルイス リーキーによって発見されたホモハビリスは、脳は、750ミリリットルになり、発見者のリーキーは顎の退化が始まっていて、人の第1の革命といわれる道具使用を始めていたことを示した。ホモハビリスはhandy man(器用な人)から由来し、オウストラロピテクスを滅ぼしたと考えられている。人直立歩行するようになったことで、手を使えるようになり、それが刺激で脳が発達し、新しい道具を考案し、さらに脳の発達した。実際、この石器を使い始めた頃と一致して、顎の筋肉の使用が減り顎の筋肉が弱まり、顎の筋肉で抑制されていた頭の骨が遺伝子の突然変異で解放されて大脳化、顎の弱体化の変異が生じた。ホモハビリスの時代の石器使用で、顎の筋肉の使用が減り、顎の筋肉が弱まり、顎の筋肉で抑制されていた頭の骨が遺伝子の突然変異で解放されて大脳化、顎の弱体化の変異が生じた。

HOX遺伝子

200万年前、ホモハビリスが道具を使い始めて、ヒトの文化もDNAをしのぐスピードで共進化した。1984年、HOX遺伝子が発見され、Stephen Jay Gouldの主張するカンブリア紀の爆発の説明が可能になった。HOX遺伝子にスイッチが入ることで、他の機能を持つ遺伝子にスイッチがはいり、体の部分が形成される。HOX遺伝子が突然変異をおこして劇的な進化が起こるのである。食べすぎ、ゲームをしすぎ、アルコールを飲みすぎ、噛まなない、口を開けている時間が多ければ、肥満、近視、アル中、不正咬合が誘発されるが、こうした状態が少しづつ進化するわけでなく、HOX遺伝子の存在によって変化はすぐにあらわれる。 ブラキエーション、ナックルウォーキングしていた霊長類が、直立2足歩行する猿人に進化した背景も、HOX遺伝子の突然変異がある。

人類の第2の革命:火の使用

19世紀後半、「固体発生は系統発生を繰り返す」と明言を吐いたヘッケルは、東南アジア方面で人類の進化が起こったと主張した。デュボアはこの説を信じ、軍医になってインドネシアに渡って発掘を行ない、発見した化石を「Pithecanthropus erectus」の学名を与えた。ホモエレクトス(原人)の脳は大きくなり第2の革命といわれる火を使用し、焼いてやわらかくする為に、顎の退化がさらに進行した。
(ピテカントロプス)