差別とヘイトスピーチ

差別は、ストレスを緩和するために多くの動物が行う置き換えという防衛機制であり、模倣されて周囲に感染し増殖する。模倣は生後1か月満たない新生児でも行う。特にリーダーを模倣したがる性向が強いので、歴史的に、国のリーダーは、その模倣行動を利用し、他者を差別し孤立させることによって、フォロアーに高揚感をもたらし、自尊心を高め、ナショナリズムを推し進め、国への帰属意識を高め、戦争に導いた。そもそも、ヒトは、身近な人と一緒に居て助け合いたがる差別主義者であり、5歳ですでに自分の性を意識し、異性に対し偏見を持つ性差別主義者になっている。動物が行う相互扶助行動も血縁陶汰という利己的行動で、他者を差別することに根差している。しかし、脳科学では、被差別者の脳に差別された痕跡がしっかり刻み込まれることを明らかにしている。フランスド ヴァールは動物ですら差別に抗議することを観察した。日本人は、韓国人、中国人に対する偏向、差別意識が強いので、日本軍は、1937年12月、南京を占領した際、市民への暴行、虐殺、女性へのレイプなどの残虐行為を行った。通常、ヒトは、劣位の人を蔑視し差別に赴くが、それを防ぐにはどんな戦略があるか、ヒトは模倣が好きな差別主義者であることを認めることだと社会心理学者はいう。かつて、米国では、あるジャーナリストは、白人警官が黒人をこん棒で殴っている場面を撮影した。それをメディアがテレビ放映してしまったことが当時のジョンソン大統領を動かし、差別が禁止された。その時、ジャーナリストは権力を監視し、メディアは権力を監視する装置になったはずだ。しかし、日本では、安倍政権が発足すると、多くのメディアは、権力側を擁護する御用メディアになった。権力を監視するはずのメディアが、権力から監視されるようになってしまった。首相自ら「韓国人慰安婦は朝日新聞の誤報であり、慰安婦、強制労働の証拠はない」と発言すると、メディアは、一斉にリーダーを模倣し、朝日新聞へのネガティブキャンペーンを始めた。メディアは、国民に、在日の人たちに寛大な特権を与え、わが国に暮らさせてあげているにもかかわらず、ありもしないことをでっちあげ、陥れようとしているという、逆に被差別意識を芽生えさせた。慰安婦や強制労働を知っていた人たちも、自分の判断を疑い、準拠集団に同一化しようとして同調して集団的な圧力に従い、新たな在日の人たちに対する認識する枠組み、スキーマが作られた。社会から作り上げられたステレオタイプ的な見方は、偏向、差別、そして、ヘイトスピーチという現象につながっていった。ユーリー ブロンフェンブルーナーは、相手を好きになれば相手もそうなり、嫌いになればそうなることをミラーイメージ効果とした。米ソの冷戦もミラーイメージ効果に起因してお互いが悪く解釈して、軍事競争を引き起こしたのだという。在日の人から、肯定的なフィードバックがある人には偏向が無くなり、彼らに寛容な態度で接したりすると、前頭前夜が活性化し、扁桃体が沈静化し、差別意識が抑制される。ヒトは、抑制系の動物であり、差別に苦しむ人の様子を知ることは差別抑制刺激になるはずだ。神奈川新聞は、強い圧力にもめげず、被差別者の権利と正義と平等を求め、「ヘイトスピーチ考」を連載し、「差別」について考えさせた。部落解放運動していたフォークシンガーの岡林信康は、差別を受けて自殺した女性が書いた手紙に節をつけた「手紙」という曲の一節にこんなのがある。「もしも差別がなったなら?」「部落に生まれたことのどこが悪い、何が違う?」最悪の場合、差別された人は、命を絶ってまで抗議する。昨年、日本の植民地解放70周年記念で、三菱勤労挺身隊の被害者を支援する韓国人男性は安倍政府の「強制労働はなかった」との発言に対し焼身自殺で抗議した。

差別とヘイトスピーチ

差別は、自我を守るための置き換えという防衛機制で、模倣されて周囲に感染し増殖する。模倣は生後1か月満たない新生児でも行う。ヒトは、生得的に差別主義者であり、幼稚園に入る頃、異性に偏見を持つ性差別主義者になっている。動物の相互扶助行動も血縁陶汰という利己的行動で、他者への差別に根差す。国のリーダーは、他者を差別し、模倣行動を利用し、フォロアーに高揚感、帰属意識を高め、戦争に導いてきた。日本人は、韓国人、中国人に対する差別、優位意識が強いので、かつて、日本軍は、南京を占領した際、市民への暴行、虐殺、女性へのレイプなどの残虐行為を行った。ヒトは、思想、信条すら異なる人を、差別、軽蔑するのが大好きだ。それを防ぐにはどんな戦略が有効か、ヒトは模倣が好きな差別主義者だと認めることだと社会心理学者はいう。かつて、米国では、白人警官が黒人をこん棒で殴っている現場をメディアが放映したことが当時のジョンソン大統領を動かし、差別が禁止され、ジャーナリストは権力を監視し、メディアは権力を監視する装置になった。しかし、日本のメディアは、安倍政権が発足すると権力側を擁護する御用メディアになった。首相自ら「韓国人慰安婦は朝日新聞の誤報であり、慰安婦、強制労働の証拠はない」と発言すると、メディアもリーダーの行動を模倣し、朝日新聞へのネガティブキャンペーンを始めた。在日の人たちに寛大な特権を与え、暮らさせているにも関わらず、ありもしないことをでっちあげ、陥れようとしているという被差別意識を国民に少なからず芽生えさせた。自分の判断を疑い、準拠集団に同一化しようとして同調して集団的な圧力に従い、新たな在日の人たちへのスキーマが作られ、ステレオタイプ的な見方は、偏見、差別、そして、ヘイトスピーチにつながっていった。しかし、神奈川新聞は、ヘイトスピーチ考を連載し、在日の人などの被差別者の権利と平等を訴え続けている。

 

 
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