私が20代のとき、毎日通っていた渋谷にあるハードなジャズが聴けるジャズ喫茶「Mary Jane」の常連客から「最近、めっきりお店にお客が減ったから来い」という電話がくる。ジャズの起源は、アメリカに奴隷として連れてこられた黒人が故郷のアフリカを想ってブルースを歌い、それがクラッシックと融合してジャズになった。第1次世界大戦中、白人兵士に拒絶されて編成された黒人部隊が戦地で勇敢にジャズを演奏したということで白人にも受け入れられるようになった。日本では、欧米列強に肩を並べ、彼らの文化を模倣しようとジャズを取り入れた。ベトナム戦争が始まると、激しい前衛的なジャズが好まれるようになり、権力を監視し弱者の代弁しようとした学生たちは自らをそのジャズと同一視し、コーヒー1杯で1日中居られるということでジャズ喫茶にたむろした。最近、安部政権になってから、ナショナリズムに煽られ、慰安婦問題やヘイトスピーチも乗せられ、時期を同じくして下層の抵抗の象徴であるような反抗的なジャズは負け犬の遠吠えみたいで流行らなくなり、ジャズ喫茶も淘汰されようとしている。

Jazz喫茶で働く若い頃の私 Jazzを演奏する黒人部隊
横浜から治療に来てくれる武藤美恵子さんは、患者さんを沢山紹介してくれるだけでなく、コンサートを誘ってくれます。また、誘ってください。