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健康医療学会演題

【演題名】新型コロナウィルス禍におけるメンタルヘルスのための認知行動療法(2021年)

CBT for mental health during the pandemic

【抄録】

【目的】昨年1月、新型コロナウィルス感染の国内1例目が検知されて1年半が経過し、経済的に追い詰められたり、外出禁止で人間関係変化を強いられ、孤独を余儀なくされ、不安を被り心的問題を顕在化させた。感染した人は、感染症状ではなく、だるさ、息切れ、味覚・嗅覚障害、脱毛、睡眠障害、鬱、集中力低下、落ち込みなどストレスに起因した精神障害、疲労症候群を示し、私たちは、CBTを駆使し患者さんのメンタルに如何にして寄与できるかを考えた。【方法】CBTの第1世代は行動療法で行動を、第2世代は認知療法で思考を、第3世代はCBTで、あるがままの状態を受け入れ、自分自身で治す方法である。問題の成立、介入箇所、悪循環を明らかにし、現実に起きている問題を重視し不安や顎関節症などを有する患者さんに試みた。【結果】顎関節症の原因の多くは食いしばりによる筋痛である。スプリント装着による神経筋反射で食いしばりを止め、痛みを解消することになるが、歯科医が治したという認知があるために再発しがちになる。認知行動療法は、自分で治すため再発が少なく、歯科治療にも適用することができた。【結論】ヒトは、雑談、食事などで誰かとコミットすることでケアされ、ケアし合うことで人間関係をつなぐ。新型コロナ流行で交わされていたケアが難しくしており、その不安や脅威に対しCBTは有効であると考えられた。【考察】近年、日本は、無縁社会と言われ、つながりが希薄になり、災害多発列島であるので、頻発する災害はメンタルを揺さぶり、ヒトのつながりを断ち切ろうとする試練が続く。関東大震災時、朝鮮人が井戸に毒を入れたと風評被害、殺戮が起きた。災害やパンデミックは人や社会を分断し、差別、偏見を誘発する。それを抑制するには、社会心理学によると、ヒトは差別したがる動物だと認識することだという。感染症の大流行の経験、教訓を社会の備えとして生かしていくことが大切だと思われる。