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スポーツ歯科学会演題

【演題】患者教育におけるスポーツ奨励(2017年)
Encouragement of sports for educating patients

【目的】米国歯周病学会では、治療の一番最初に行うことは、患者教育だとしている。近年、早歩きをしている人はすべての死因においても死亡率が低く、全死因、癌、心血管疾患、糖尿病においても身体活動のレベルに応じて、リスクが下がっていることが明らかにされている。患者教育によって心身の健康を保持増進し、健康でを実現させるのに有効なものの一つにスポーツがある。私たちの勉強会では、患者教育におけるスポーツ奨励するための原則、スポーツ奨励の役割を考えた。【方法】患者教育において、私たちが患者さんのどこに変化を起こせば、患者さんの行動、認知を変えることができるかを患者さんと一緒に考えることが必要である。人の行動が変化に働いている原理を考え、変化を起こさせるにはどうするか、どこがどうつながって、良い、あるいば悪い循環を起こしているのかを捉えて、良い循環にかえるには、どうすればよいのか考えた。【結果】患者さんにスポーツを効果的に実践させるために、患者さんに対して、面接技術を向上させ、患者さんと関係性構築する必要がある。関係性構築には、患者教育技術を向上させ、私たちが患者さんに対し、肯定的配慮、的確な共感が大切であると思われる。患者さんを自分の身に置き換え、患者さんに共感することも治療者の目標の一つである。関係性構築のため、傾聴技法を磨き、私たちの発言内容を自己点検しなければならず、問題解決に当たり、患者さんと協力し、実証的に続けていく共同実証主義が必要である。最初からの指摘は慎しみ、最初に関係性を作り、相手の鏡になることが大切である。【考察】通常の歯科治療の感染治療モデルは、症状や根本原因に対し、根本治療につなげる。しかし、根本原因がはっきりしないような場合、患者さんと関係性構築し、生活習慣を見直し、環境を変えて行動は改善し、スポーツなどに親しむように仕向ける。関係性構築によって患者さん健康に変化が生じるとは考えられないが、良好な関係性は治療効果が高まる。生活習慣治療モデルは、患者教育におけるスポーツ推奨が有効であると思われる。

事後抄録

【目的】昨今の近代的な生活環境は身体活動低下をもたらし、スポーツやNEATを増やすことが必要だとされ、2012年、スポーツ基本計画を制定し、体力が高かった昭和60年に戻そうという取り組みを始まっている。生活習慣病予防のスローガンに1に運動、2に食事があり、スポーツの目的は1.健康保持増進、2.余暇活動の活動、3.生活のさらなる質の向上(HQOL:High Quality of Life)だ。体力低下は医療費高騰につながり、歯科医としてスポーツ奨励を通じて治療に参加することを考えた。

【方法】文部科学省が、毎日60分、体を動かすことが大切だと指針を示し、スポーツと限定せず、体を使った遊び、生活活動、掃除、お使いを楽しく、毎日60分、体を動かしましょうと奨励した。歯周病と関連する2型糖尿病の患者さんに対し、ジムを勧め、有酸素運動は、最高心拍数の50-70%を週3回以上、毎週合計150分以上とレジスタンス運動は少なくとも週2-3回の両方を勧めた。【結果】行動変容は、1.前熟考期、2.熟考期、3.準備期、4.行動期、5.維持期を経ていく。1.前熟考期は、考えを聞くがほどんど、興味がない状態。2.熟考期は、利益・不利益を考える時期で、利益:健康、長生き、不利益:費用、時間などの多大なエネルギーが必要なり、不利益は少なく、利益が多いと思う。3.準備期は、やろうかと思う。4.行動期は、適切な目標を設定し、結果をフィードバックする。5.維持期、6か月続くと維持期とみなされる。5つの時期で行動が変容されていく。【考察】患者教育成功させる要因には、術者、患者、社会環境的の3つの側面があり、術者側面は、運動、運動療法に知識不足、時間的制約、説明、指導時間がない、患者側面は、術者側と同様、運動に対する認識、知識不足、時間的制約、経済的な側面、社会環境的側面は運動療法の重要性を啓蒙する社会的働きかけが不十分、運動する場所が十分に確保されていないなどがある。これらの諸問題を解決する働きかけが必要だ。運動に対する取り組みだけでなく身体活動を維持する認識や、運動するための時間、場所を確保するのではなく日常生活での身体活動を維持することの理解が必要だ。スポーツというとハードルが高いので、体を動かすことを徹底することが習慣化を促すスポーツの事を話す機会が高い人、次に見るいう群も運動量は高いことが判っていて、ボクシングなどの話題を通じてスポーツに関心をもっていくことが、患者教育の成功に導くことができる。

 

【演題】歯周病におけるスポーツの役割(2018年)

Role of sports in periodontal treatment.

(事前抄録)

【目的】歯周病は全身の健康に影響することが判り、全身のリスクファクターのみならず、食事やスポーツの履歴も問診される。歯周病の注意すべき家族暦に、心臓病、高血圧、糖尿病がある。糖尿病に罹患し、血糖のコントロールができていないと微小血管に障害が出現し、歯周病の治りが悪くなる。生活習慣などの行動上の問題のリスクファクターには、運動、ストレス、タバコがある。運動不足とクラークコントロールは、バクテリアをコントロールし、ホストの反応に影響する。ニコチンと運動不足は、感染に抵抗する白血球が減少、生体の抵抗力を下げる。運動は糖尿病、歯周病に関係性があり、歯周病予防改善にいかにして運動を促すか考えた。【方法】運動強度が高まると運動効果が横ばいになり、一線を超えると障害発生率が高まるので、トレッドミルなどで運動負荷を徐々にかけ、心拍数などをモニターしながら、有酸素運動から無酸素運動に変わるところ、最大負荷を100%とする。例えば、心拍数70の人を限界まで負荷にすると160位になる。70-160の間の40-60%、脈拍120位を維持するような運動の強さで行うように、自分にあった運動強度を計測し、「最大能力の40-60%」の強さの運動を指導した。【結果】国際若年糖尿病学会は、歯周病は糖尿病の合併症とした。歯周病の感染は、糖尿病患者に血糖のコントロールを悪くする。歯周炎は、糖尿病の代謝に影響するが、歯周治療は、血糖値が改善する。反対に糖尿病は2.3倍歯周病に罹患するリスクがあり、糖尿病で歯周炎があると、血糖値のコントロールが悪くなる。早産は歯周病で誘発される化学物質IL-1が関係し、歯周疾患治療で、早産を18%減少することが判明している。糖質を減らすダイエットが普及しているが、糖質は脳の唯一のエネルギー源でカットすべきでない。糖質を増やしたから糖尿病に罹患したとは思えない。かつて、1日玄米4合、おにぎり10個食べて、糖質を摂取していた時代には糖尿病に罹患していない。【結論】宇宙飛行士は、無重力では体重は0になる。無重力では、心臓は7トンの血液を押し上げる必要が無くなり、ニュートンの法則で、1回血液が回ると永遠に血液が回るので、筋肉はエネルギーを使うことはなくなり、糖尿病に罹患し、歯周病に晒される。しかし、有酸素運動の効果には、血中インスリン濃度の低下、耐糖能改善、血中インスリン濃度を低下させ、糖尿病、そして、歯周病の予防・改善効果がある。歯周病は全身に影響し、Risk Factorの評価が為されている。①Systemic Risk Factor評価に糖尿病があるが、血糖のコントロールができていないと微小血管に障害が出現し、傷の治りが悪くなるからである。②Behavioral Risk Factorに、クラークコントロール、ストレス、喫煙、運動不足があるが、これらは、バクテリアをコントロールするホストの反応に影響するからである。歯周組織の第1線防御がリンパ球であり、歯周病菌等の抗原が侵入すると好中球が駆けつけるが、肥満、喫煙者、糖尿病、運動不足は、これらの免疫細胞の機能が落ちていて、マクロファージは他の細胞を集合させ、Cytokines: IL-1Β、PNL,PGE2を放出させ骨芽細胞を破骨細胞に変え、骨の吸収を進行させ、繊維芽細胞に対し、コラゲナーゼを放出し、歯周組織を破壊する。マクロファージはIL-1を生産するのであるが、INTERLEUKIN-1の遺伝子型が陽性の人はIL-1Βの生産量は2-4倍である。IL-1はファイブロブラストに働きかけ、コラゲナーゼを作り、コラゲナーゼは組織を破壊する。又、IL-1は骨芽細胞に働きかけ破骨細胞に変えて、骨吸収を生じさせ、歯周病を増悪していくことになるので、いかにして、運動を勧めていくか考えた。喫煙や運動不足は、2型糖尿病を誘発し、感染に抵抗する白血球が減少させ、生体の抵抗力を下げる。国際若年糖尿病学会は、歯周病は糖尿病の合併症としている。また、歯周病の感染は、糖尿病患者に血糖のコントロールを悪化し、放置していると糖尿病の代謝に影響する。糖尿病は2.3倍歯周病に罹患するリスクがあり、糖尿病で歯周炎があると、血糖値のコントロールが悪くするが、運動は、血糖値が改善するだけでなく、人の健康に最も大切であることが明らかである。

(事後抄録)

【目的】歯周病は全身の健康に影響することが判り、全身のリスクファクターのみならず、食事やスポーツの履歴も問診される。歯周病の注意すべき家族暦に、心臓病、高血圧、糖尿病がある。糖尿病に罹患し、血糖のコントロールができていないと微小血管に障害が出現し、歯周病の治りが悪くなる。生活習慣などの行動上の問題のリスクファクターには、運動、ストレス、タバコがある。運動不足とクラークコントロールは、バクテリアをコントロールし、ホストの反応に影響する。ニコチンと運動不足は、感染に抵抗する白血球が減少、生体の抵抗力を下げる。運動は糖尿病、歯周病に関係性があり、歯周病予防改善にいかにして運動を促すか考えた。【方法】運動強度が高まると運動効果が横ばいになり、一線を超えると障害発生率が高まるので、トレッドミルなどで運動負荷を徐々にかけ、心拍数などをモニターしながら、有酸素運動から無酸素運動に変わるところ、最大負荷を100%とする。例えば、心拍数70の人を限界まで負荷にすると160位になる。70-160の間の40-60%、脈拍120位を維持するような運動の強さで行うように、自分にあった運動強度を計測し、「最大能力の40-60%」の強さの運動を指導した。【結果】国際若年糖尿病学会は、歯周病は糖尿病の合併症とした。歯周病の感染は、糖尿病患者に血糖のコントロールを悪くする。歯周炎は、糖尿病の代謝に影響するが、歯周治療は、血糖値が改善する。反対に糖尿病は2.3倍歯周病に罹患するリスクがあり、糖尿病で歯周炎があると、血糖値のコントロールが悪くなる。早産は歯周病で誘発される化学物質IL-1が関係し、歯周疾患治療で、早産を18%減少することが判明している。糖質を減らすダイエットが普及しているが、糖質は脳の唯一のエネルギー源でカットすべきでない。糖質を増やしたから糖尿病に罹患したとは思えない。かつて、1日玄米4合、おにぎり10個食べて、糖質を摂取していた時代には糖尿病に罹患していない。【結論】宇宙飛行士は、無重力では体重は0になる。無重力では、心臓は7トンの血液を押し上げる必要が無くなり、ニュートンの法則で、1回血液が回ると永遠に血液が回るので、筋肉はエネルギーを使うことはなくなり、糖尿病に罹患し、歯周病に晒される。しかし、有酸素運動の効果には、血中インスリン濃度の低下、耐糖能改善、血中インスリン濃度を低下させ、糖尿病、そして、歯周病の予防・改善効果がある。

 

【演題】鼻呼吸障害に対する歯科医の役割(2019年)

【事前抄録】

(目的)東京歯科大学において、日本最初の矯正歯科学教室教授に就任した榎本美彦は、不正咬合の原因は口呼吸であり、鼻咽頭疾患の鼻炎や鼻中隔湾曲症などの鼻部、扁桃肥大などの咽頭部の問題解決が先決だと力説した。鼻気道障害のある小児に、咬まない、不正咬合、睡眠不足、注意力欠損、多動、心身成長の遅れ、睡眠時無呼吸があることがあり、私たちの勉強会では、このような鼻呼吸障害に対し、如何にして治療にデンタルモデルで参加できるか考えた。(方法)睡眠時無呼吸症候群を定義した。Guilleminaultは、成長期の小児は、骨が軟らかいので、上下顎の緩徐拡大で、睡眠時無呼吸の予防の可能性を示唆した。私たちは彼の指摘を受けて、鼻づまり、いびき、口呼吸するという小児の患者さんの上下顎に単純な拡大装置を夜間のみ装着させた。拡大率は1週間に0.25mm、1か月で1mm、それをか6月間、6mm拡大し、その後、約1年間、夜間のみ保定させた。

(結果)治療前後をセファロ写真で比較した結果、鼻炎、副鼻腔炎、咽頭扁桃の消褪による気道拡大、鼻腔拡大による鼻中隔湾曲症の正直など成長期の小児には、何らかの治療効果が画像上に見られたが、成人にはなかった。(結論)鼻気道障害は、慢性副鼻腔炎、肥厚性鼻炎、鼻中隔湾曲症、鼻アレルギー、アデノイド、口蓋扁桃肥大などよって起こり、それが睡眠時無呼吸症候群に発展させる。Guilleminaultは、小児のデンタルモデルの治療介入によって、睡眠時無呼吸を予防し、脳血管、心臓疾患などの合併症を未然に減らすことができると考えた。小児の緩徐拡大、機能的矯正装置による下顎前進させ気道拡大させるというデンタルモデルは、鼻呼吸障害を改善し、気管支炎を予防し、全身の健康につなげることができると思われる。

【事後抄録】     

(目的)東京歯科大学において、日本最初の矯正歯科学教室教授に就任した榎本美彦は、不正咬合の原因は口呼吸であり、鼻咽頭疾患の鼻炎や鼻中隔湾曲症などの鼻部、扁桃肥大などの咽頭部の問題解決が先決だと力説した。鼻気道障害のある小児に、咬まない、不正咬合、睡眠不足、注意力欠損、多動、心身成長の遅れ、睡眠時無呼吸があることがあり、私たちの勉強会では、このような鼻呼吸障害に対し、如何にして治療にデンタルモデルで参加できるか考えた。(方法)睡眠時無呼吸症候群を定義したGuilleminaultは、成長期の小児は、骨が軟らかいので、上下顎の緩徐拡大で、睡眠時無呼吸の予防の可能性を示唆した。私たちは彼の指摘を受けて、鼻づまり、いびき、口呼吸するという小児の患者さんの上下顎に単純な拡大装置を夜間のみ装着させた。拡大率は1週間に0.25mm、1か月で1mm、それをか6月間、6mm拡大し、その後、約1年間、夜間のみ保定させた。(結果)治療前後をセファロ写真で比較した結果、鼻炎、副鼻腔炎、咽頭扁桃の消褪による気道拡大、鼻腔拡大による鼻中隔湾曲症の正直など成長期の小児には、何らかの治療効果が画像上に見られたが、成人にはなかった。(結論)鼻気道障害は、慢性副鼻腔炎、肥厚性鼻炎、鼻中隔湾曲症、鼻アレルギー、アデノイド、口蓋扁桃肥大などよって起こり、それが睡眠時無呼吸症候群に発展させる。Guilleminaultは、小児のデンタルモデルの治療介入によって、睡眠時無呼吸を予防し、脳血管、心臓疾患などの合併症を未然に減らすことができると考えた。小児の緩徐拡大、機能的矯正装置による下顎前進させ気道拡大させるというデンタルモデルは、鼻呼吸障害を改善し、気管支炎を予防し、全身の健康につなげることができると思われる。

 

【演題】歯科治療患者のメンタルに対する認知行動療法(2020年)

CBT(Cognitive Behavior Treatment) for the mental condition of dental patient.

新型コロナ流行で外出を控えることが要請される中、森田療法と同様、自宅で、自分が治療者になって改善していく方法である。

【事前抄録】

【目的】人類は腰の変化で直立してから700万年、動く腰を手に入れ、長距離歩行を可能にし両手が自由になって道具を使い文明を作った。1万年前、稲は湿地に生え乾燥すると種を付けることを見つけて農耕が始め、腰の負担が増大、歩行を忘れ便利さを追求してストレスにあふれた社会を作った。ストレスが長引き、コーピングがうまくできないと、体脂肪のつき方を変えお腹の周囲に脂肪を蓄え、ドーパミン受容体の結合が減らし物事が楽しめなくなる。記憶、学習を司る海馬の細胞を死滅させ、コルチゾールが分泌され、血糖値、血圧が上昇させ、動脈に負担がかかり、心臓病のリスクが高め、染色体のテロメアを短縮させ寿命に影響する。さらに、ストレスは、免疫機能を弱め、病気のみならず、歯科疾患にまで罹患しやすくなるので、歯科医としてメンタルに対して如何にして治療に参加できるか考えた。【方法】例えば、緊張や不安など情動などのストレスは、防衛規制で食いしばりを誘発させ、筋肉の過緊張、過使用し、顎関節症を起こす。その痛みは、再び、不安を誘発し、行動表現としてくいしばりを誘発し、行動、認知を維持させるスパイラルに入ってしまう。そのような場合、顔面、頚部の緊張、悪循環に対する対策として、腹式呼吸、漸進的筋弛緩法を指導し、全身の筋肉が動かせ、脳の多くの部分が活動を始めるように歩行を、他のことに意識が上らなくするように瞑想を勧めた。そして、情動、感情、Action Planを記述させ、VASで疼痛レベルを観察した。【結果】認知行動療法の自分の情動感情やAction Planなどを記述させたりすることで、自動思考を認知させ、疼痛、血圧も低下させることができた。【考察】俳優のデカプリオは、強迫性障害を患う実在の富豪のハワードヒューズを演じるため、強迫性障害患者と約2か月間暮らし始めたら強迫性症状が発症した。このことは、特定の行動パターンを取るように脳を訓練できることを示す、改善したのは、逆のその障害がないかのようにふるまう認知行動療法だった。推理小説作家の夏樹静子は、腰痛を被り、色んな治療を受けたが一向に治らない。ある診療内科を受診したら、医師は入院させ、何もしようとしないので「私に何をつもりだ?」と一喝した途端腰痛が治ってしまった。何もさせない森田療法だが認知行動療法に近いが、認知行動療法は誰でも簡単に実践できる体を向き合う素晴らしい方法だと思われた。

【事後抄録】

【目的】顎関節症の原因である食いしばりには、心理的な問題もあり、1つの問題で起こるのではないのでどのようにして食いしばり行動をやめさせるか、どこに行動、認知に変化を起こせば、顎関節の疼痛を軽減、除去することができるのか、又、人の行動に変化を起こさせ、如何にしていい循環に変えることが出来るかを考えた。【方法】認知行動療法は、問題の成り立ちを解明し、介入箇所を明らかにし、悪循環を改善しようと自分自身で行えるようにできるようにする方法である。この自分で自分自身を治療するという認知行動療法モデルで、生活習慣を見直し、くいしばり衝動を抑制しようとした。【結果】顎関節症の約9割の原因は食いしばり行動による筋痛であり、通常、スプリントを口腔内に装着することによって、食いしばり行動が止まり、疼痛は解消されるが、しばしばスプリント上で食いしばり行動が再発しがちになる。それは歯科医が直したという認知があるためであると考えられる。しかし、認知行動療法は、自分で治したと認知するため再発が少なかった。【考察】食いしばり行動は、色んな要因が重なって起こしていることが多いので、原因が判ればよいということではなく、原因より、今何がおこっているかが重要である。起こったことを負に受け止めて、不安、イライラ、落ち込み、食いしばりし、疼痛を被ったりし、外への働きかけが減少しがちになることがある。そのような場合、根本原因にこだわらず、どこかに介入するかを考えることが必要である。通常、感染症治療モデルは、症状、根本原因、根本治療とつながるが、生活習慣病治療モデルは認知行動療法が適用されるべきであると思われた。

 

【演題名】認知症予防と運動(2022年)

Dementia prevention and Sports

【事前抄録】
【目的】4人に1人が65歳以上の超高齢社会を迎え、認知症は400万人を超え、65歳以上の高齢者の10人に1人が、4人に1人がMCI(Mild Cognitive Impairment、軽度認知障害)を被っている。予防可能な段階にあるMCIの患者さんや高齢者患者さんに対し、患者教育の歩行訓練、食事運動指導、認知行動療法を通して如何にして予防に参加していくことができるかを考えた。【方法】脳内ネットワークが衰えると認知症になるのであるが、そのネットワークの衰えは歩き方に現れる。そのため、歩行を観察することで、認知症になるかどうかが判定できる。加齢とともに認知機能は低下していくが、MCIの患者さんや高齢者の患者さんに対し、啓蒙して予防に結び付けようとした。【結果】MCIの半分が認知症を発症し、半分が認知症に進行しない。このMCIの段階においては、認知症を予防できるとされ、歩行の仕方が鍵を握っている。MCIのサインは、歩行速度やリズム、認知の低下であり、通常、横断歩道は秒速1mで渡り切れるようにしてあるが、それが渡り切れなくなる。脳内ネットワークが変化すると、複雑な過程を経る料理作りが億劫になり、コンビニ、ファミレス食を摂りがちになる。MCIは記憶をつかさどる脳部位が萎縮してないが、認知症は萎縮する。通常、脳内の離れた複数の部位の繋がり脳内ネットワークが同時に協働して機能が達成される。歩行中、視覚や空間認識に関わるネットワークが働き、診療室内で、デンタルチェア、スタッフを避けるなど、変化する環境を認知し、バランスをとって歩行する。MCIは、足腰が良いのだが、脳内ネットワークが弱まり、歩行速度が遅く、歩幅が狭く、足裏にかかる圧力が不安定になので、リラクゼーションさせ、速い大股歩行を指示するべきだ。MCI段階では、歩行・運動の指導で認知症を予防できるのではと思われた。【考察】1972年の有吉佐和子の「恍惚の人」という社会問題として介護問題を告発した小説によって認知症を持つ家族が社会に向けて発した。当時、日本では、認知症は寝たきりになるものだと思われ、認知症に対する介護サービス、認知症を引き受ける施設、関わる人も皆無で、老人病院が乱立するが、拘束、しばりなどで寝たきりの中で認知症になるしかなかった。この「恍惚の人」によって、在宅看護の質を上げる啓蒙運動が始まった。私たちもいずれ認知症を被るので自分事として捉え、口腔衛生、運動による血圧管理などが必要だ。