4人に1人が65歳以上の超高齢社会を迎え、認知症は400万人を超え、65歳以上の高齢者の10人に1人が、4人に1人がMCI(Mild Cognitive Impairment、軽度認知障害)を被っている。予防可能な段階にあるMCIの患者さんや高齢者患者さんに対し、患者教育の歩行訓練、食事運動指導、認知行動療法を通して如何にして予防に参加していくことができるかを考えた。
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脳内ネットワークが衰えると認知症になるのであるが、そのネットワークの衰えは歩き方に現れる。そのため、歩行を観察することで、認知症になるかどうかが判定できる。加齢とともに認知機能は低下していくが、MCIの患者さんや高齢者の患者さんに対し、啓蒙して予防に結び付けようとした。MCIの半分が認知症を発症し、半分が認知症に進行しない。このMCIの段階においては、認知症を予防できるとされ、歩行の仕方が鍵を握っている。MCIのサインは、歩行速度やリズム、認知の低下であり、通常、横断歩道は秒速1mで渡り切れるようにしてあるが、それが渡り切れなくなる。脳内ネットワークが変化すると、複雑な過程を経る料理作りが億劫になり、コンビニ、ファミレス食を摂りがちになる。MCIは記憶をつかさどる脳部位が萎縮してないが、認知症は萎縮する。通常、脳内の離れた複数の部位の繋がり脳内ネットワークが同時に協働して機能が達成される。歩行中、視覚や空間認識に関わるネットワークが働き、診療室内で、デンタルチェア、スタッフを避けるなど、変化する環境を認知し、バランスをとって歩行する。MCIは、足腰が良いのだが、脳内ネットワークが弱まり、歩行速度が遅く、歩幅が狭く、足裏にかかる圧力が不安定になので、リラクゼーションさせ、速い大股歩行を指示するべきだ。MCI段階では、歩行・運動の指導で認知症を予防できるのではと思われた。1972年の有吉佐和子の「恍惚の人」という社会問題として介護問題を告発した小説によって認知症を持つ家族が社会に向けて発した。当時、日本では、認知症は寝たきりになるものだと思われ、認知症に対する介護サービス、認知症を引き受ける施設、関わる人も皆無で、老人病院が乱立するが、拘束、しばりなどで寝たきりの中で認知症になるしかなかった。この「恍惚の人」によって、在宅看護の質を上げる啓蒙運動が始まった。私たちもいずれ認知症を被るので自分事として捉え、口腔衛生、運動による血圧管理などが有効だ
認知症とは?
高齢者数の増加に伴って、認知症、疾病、障害を抱える数が増えてきている。厚生労働省の調査によると、4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えている。認知症は400万人を超え、認知症予備軍は65歳以上の高齢者の10人に1人が認知症に、4人に1人がMCI(Mild Cognitive Impairment、軽度認知障害)を被るようになり、更に増え続けている。2025年では、675万から730万人程度に増加し、高齢者の5人に1人が認知症という時代がやって来る高齢者5人に1人が認知症という時代がやってくると予測されている。毎日、認知症の人が行方不明になっている。65歳未満で発症すると若年性認知症とされる他人事ではなく、自分事として考え、歯科医として如何にしてスポーツを通して認知症の進行を少しでも抑え、如何にして予防対策に参加することが出来るか考えた。https://info.ninchisho.net/mci/k40
1972年の有吉佐和子の「恍惚の人」という社会問題として介護問題を告発した小説によって認知症を持つ家族が社会に向けて発せられたランドマーク的な小説だった。当時、日本では、認知症は寝たきりになるものだと思われ、認知症に対する介護サービスのみならず、認知症を引き受ける施設も関わる人がいなかった。老人病院が乱立するようになるが、寝たきりの中で認知症になるしかなかった。その小説がきっかけとなって、在宅看護の家族の質を上げる啓蒙運動が始まった。この「恍惚の人」は、認知症の関心が高め、クローズアップされてきた。以前は痴呆だったのが、2004年から認知症とされるようになった。認知症は普通の病気とされ、病院も普通の病気として対応し、当事者の権利を守り、うまく生きて死んでいくシステムを作っていく必要があると考えられるようになった。「恍惚の人」によって、ステレオタイプのイメージに気が付き、脱却していくことで、認知症を生きる人たちに張り付けてしまっている「差別」や「偏見」などに対応している社会学者ゴフマンが用いたスティグマが自分にないか?内省が促されるようになった。https://www.shinchosha.co.jp/book/113218
医学-社会モデル
医学モデルでは、障害について、その現象を個人の問題として捉え、病気・外傷やその他の健康状態から直接的に生じるものであり、専門職による個別的な治療という形での医療を必要とするものと見る概念で、傷害はImpairmentとなる。医学モデルに基づけば認知症は、個人の問題として捉え、医学的に対応することになる。社会モデルは、障害を社会によって作られた問題として見なし、障害はDisabilityとなる。社会モデルでは、認知症の人そのものに問題の原因と解決を求めるのではなく、認知症による問題は地域や社会と言った環境に問題があるとする。医学モデルと対立する概念でなく、認知症に関して適切な治療のために医学モデルが果たす役割は不可欠だ。医学モデルのみでは認知症を克服することはできない。社会モデルの発想を取り入れ、認知症の人の存在が前提として考慮された地域・社会の実現に向けて社会全体の課題「社会課題」として取り組みを進めることが重要になってくる。shogaikaigo.jp/blog-entry-99.htm
生活障害
「生活障害」私たちは物忘れするが、それが原因で日常生活に支障をきたすこはほとんどない。認知症の場合は、物忘れが原因で日常生活に支障が出てくることになり、このような障害は「生活障害」と呼ばれ、物忘れなどが原因で、今まで通りに仕事ができなくなる。認知症の人の生活障害に対する支援であり、生活全般を援助することになる。人間関係に代表する社会関係、対人関係にも障害が出てくる。様々な社会生活にも影響を及ぼすようになる。認知症の人がもともととの人がどのような人だったのか?加齢が与える影響、病気がその人に与える影響、そして1.身体面、2.心理面、3.生活障害、4.社会関係を理解するという4つの視点を持つことが大切である。https://allabout.co.jp/gm/gc/395052
認知症とは
認知症とは、脳の障害によって生じる持続的な認知機能の障害であり、それが社会的あるいは、日常的な生活を行ってゆく上で、認知器官が障害を来し、一端発達した知的機能,記憶などが持続的に障害され、社会生活に支障をきたすようになった状態を認知症という。認知機能とは、記憶、学習、思考、言語、見当識、判断力、理解、その他の高次脳機能、計算などを含む広範な領域の知的過程で、人間が持つ広範領域の知的機能全般を指し、認知機能は知的機能であると考えられる。https://info.ninchisho.net/symptom
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医学モデル-社会モデル |
生活障害 |
ADL
「ADL(日常生活動作)」が低下すると電車の切符が買えなくなる。「IADL:手段的ADL」は、体の機能に問題はないが、道具が使用できなくなる。手が使えるが券売機で切符を買うことが理解できない、☎の使い方が分らなくなる。
券売機、☎の前で何をしてよいか分らなくなる。認知の、ADLの評価も大切だADLを押さえておく必要
この動きに中心にある概念がDFC(Dementia FriendlyCommunitySociety):認知症フレンドリー社会。日本では認知症の人に優しい街、社会と訳されている概念だ。英国でその推進を担う慈善団体「Alzheimer’s Society」が作成したDFCのイメージ図だDFCとは認知症の人の力を後押しし、地域、社会に貢献できる存在として認識している。活動に認知症の人が確実に含まれるようにするDFCとは地域、社会のインフラや仕組みそのものが認知症の人の存在を前提として考慮されている姿、DFCは、認知症を社会課題として捉えた概念と言える。国内でもDFCの取り組みが活発化している。https://100dfc.jimdofree.com
Orange Plan
診断後の対応できる取り組みを考える。当事者は、何を感じ、考え、生きているのか?厚生労働省が2015年に発表した認知症施策推進総合戦略:新オレンジプランの中で、7つある柱の2番目として「認知症の変容に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」を掲げ、発症前から発症後の一連の時間経過において、本人主体を基本とした医療・介護等の有機的連携により、適時、適切に切れ目なく、医療・介護等が提供されることを目指す」と明記した。2012年、政策としてオレンジプランが始まり、介護保険法で、整備されていくことになった。2012年と2015年に引き継がれた新オレンジプランのどちらも7つの柱に基づく戦略が立てられていた。早期発見、早期対応だ。「認知症を知り地域を作る10か年構想」で、認知症になっても、住み慣れたところで、安心して暮らしていける、そうした状況の実現に向けて、このオレンジプランの中では、地域での計画が盛り込まれている。認知症カフェオレンジプランの中にある地域での日常生活・家族支援の強化に向けた活動の一つで、認知症の人、その家族、地域住民、専門職など誰でも参加できて集う場所を提供していく。そんな活動が様々の地域で、進められている。https://www.kaigonohonne.com/news/article/1471
アセスメント
最近、歯の具合が悪いのですか?いつからそうなりましたか?それだけの応答に躊躇していれば認知症と考えることができる。昨夜、何を食べましたか?物忘れは体験の一部分である。普通の物忘れは「健忘」と呼ばれる。物忘れは程度が悪くなっていくことはない。健忘は物忘れの自覚があるが、認知症の人の物忘れは自覚がない、忘れたことに気が付いていない。年を取ると物忘れの回数が増加するが、認知症の人の物忘れは、進行性で悪化するのが特徴である。
障害
歩行障害は、患者さんが診察室に入室する際の歩行の様子を観察することで、かなりの情報が得る。歩行中は肩幅くらいまで、足を広げ、バランスを取り幅広歩行する。脳血管認知症の場合は、明らかな麻痺がなくとも、バランスが悪いため、歩行中は、肩幅くらいまで足を広げ、バランスを取って歩行することがしばしばある。ごく軽度のパーキンソン病の場合は、歩行障害は顕著ではないが、患者さんベッドに移動して貰いそこで横になってもらう。パーキンソン病の疑いのある患者では、この動作が困難であったり、あるいは時間がかかることがしばしばある。手をまっすぐ前に伸ばして貰い「バレー徴候」軽い麻痺を見る。両腕の手の平を上にして、前方に水平にあげたまま目を閉じてそのままにしてもらい、上肢の様子を観察する。片方の手が下がる場合、「脳血管認知症」で軽度の麻痺がある場合、少しづつ、麻痺側の手が下がり始める。「パーキンソン病」の場合は、手の震えが目立つ。初期の場合は、手の震えは、変則性だが、進行すると両側性になる。「アルツハイマー型認知症」は、手を伸ばして、手の平を上にして、目を瞑って貰うと、手を上げて目を閉じるとき、目を閉じた途端に手を下すなど、2つの指示を実行できない場合がある。「パーキンソン病」を疑った場合、「固化(こか)徴候」を見てみる。手首の軟らかさを見ながら、もう片方の腕を上げると、(手首を振る)。触発されて、触診していた手首が硬直する。硬直することでパーキンソン病が疑われる。「アルツハイマー型認知症」を鑑別するために役立つ構成行為。真似してもらう。アルツハイマー型認知症の場合、身体的空間認知機能が低下しているため、相手の手の動きを見ながらの模倣する動作ができない。
BGT
「BGT」は、模様など模写することで、その描写の正確さ、知的機能を検査する。例えば、丸、三角、四角、5角形、立方体のものを描いてもらうこともある。左の立方体をアルツハイマー型認知症の人に模写するように依頼すると、立方体に見えない図を描いてしまう。アルツハイマーの場合は、立方体を立体的に把握する機能、視空間認知機能が障害されているため、立方体の模写がうまくできない。
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バレー徴候 |
BGT |
認知症の症状は、中核症状と周辺症状と2つに分類される。
中核症状(認知機能障害)は、認知症の症状の中核を成す認知機能障害のことで、認知症と診断する、また、重症度を判断する目安になるもので、1.記憶障害:新しいこと覚えられない。2.見当識障害:時間・場所・人物が分らなくなる。いつ、どこ、だれ、と関係する。3.実行機能障害:物事の手順が分らなくなり、段取りが立てられない計画ができなくなる。高次脳機能が障害されa.失認:物がなにか分らないb.失語:物の名前が出てこない。c.失行:服の着方が分らない、道具が使えない。https://www.kaigonohonne.com/guide/dementia/symptom/core
仮性認知症
若い人のうつ病と異なる症状を示すことがある。仮性認知症は、抑うつ気分、意欲の低下が目立たない、不安焦燥、居ても立っても居られず、うつ病と見なされず、うつ病なのに認知症と誤診されるため、仮性認知症と言われる。「仮面うつ病」一見、うつ病に見えない症状を示すことが老年期うつ病の特徴とされている。抑うつ気分や意欲の低下が目立たず、頭が重い、あるいは、手足が冷える、もしくは、非常に汗が出る、といった自律神経症状が目立ち、「仮面うつ病」とされ、うつ病と診断されなく、適切な治療がおこなわれず、自殺してしまうことがある。高齢者のうつ病は、若年性に比較して、自殺率が非常に高いので、うつ病と認知症との鑑別診断が大切になる。老年期のうつ病と認知症の鑑別診断が困難になる。https://www.parkside-hibiya.com/column/false_dementia.html
A認知症による物忘れ-B加齢による物忘れ。
海馬が関係し、新しい出来事を記憶できない。1.体験全体を忘れる-体験の1部分を忘れる。2.ヒントを与えられても思い出せない-ヒントを与えられると思いだせる。3.見当識の障害:時間や場所などの見当がつかない-時間や場所など見当が付く。物忘れがあるが時間、場所が不確かではない。4.日常生活に支障がある。すっぽかし、置き忘れ、しまい忘れがひどくなって、年中、家の中を探し回っている-日常生活に支障がない。5.物忘れに対して自覚がない-物忘れに対して自覚がある。6.1-2年で悪化-非常にゆっくり進む(10年?)
https://info.ninchisho.net/mci/k20
Care Plan
DMC(Dementia Care Mapping)
トム・キッドウッドは、困ったときの対応についてPerson Center Careの考え方を示した。認知症の人が家に帰りたいといった場合、まず、考えるべきなのは、1.それは、本当の問題なのか?という問いかけを自分でしてみることが大切。2.どうしてそれが問題なのか?という視点を持つことが大切。3.誰にとっての問題なのか?という視点で考えると、今まで、その人の示す行動は、本人の問題でなく、介護者の視点であったと気付くのではないかと思う。4.行動によって何を伝えようとしているのか?行動のサインと考え、何かを伝えようとしているのか考えてみることがだ大事だという。5.生活の質を向上させることで解決できないか、という視点を持つことである。
RO(Reality Orientation:リアリティオリエンテーション)
RO(Reality Orientation:リアリティオリエンテーション)は1968年、Folsomの提唱され、現実認識、今を伝えるという意味。認知症の人に1日の流れを随時伝えるリティオリエンテーションを「24時間リアリティオリエンテーション」という。そのときの状況を認識したり、季節、日にち、時刻などを気付かせる。認知症の人は時間の流れでなく、点で生きると言われ、ROの働きかけが大切。記憶障害のために、「今10時ですよ」「10時なのね」と言って5分後に忘れる。時間を伝え、入浴、食事などの行動を促し、行動変容のきっかけにする。
ROの方法
1.挨拶、自己紹介し、相手の名前を確認していく。挨拶と、日付、天気、季節などの話をし、その素材を元に話を広げていく。質問は、相手のレベルに応じた質問形式を選ぶ。今日は何月何日かというのはしてはいけない質問になる。今日、新聞、カレンダーで、日付を確認しましたか程度の質問にとどめる。間違いに対し、ブー、間違いとは、言わない。今を伝える意識で、常に、時をつけて話すことが大切とされている。
進行に応じた対応
アルツハイマー型の場合は、進行の段階ごとに特徴、対応がある。①初期:健忘期は、物忘れが目立つ時期で、指摘されても物忘れの自覚がないので責めず、根気よく対応する。同じことを何度も尋ねたり、言うことが増えてくる。②中等度:混乱期:認知機能障害が進行し混乱する時期である。行動・心理症状が多発するため、訴えを受け留め、本人が納得できるような対応をする。周囲の人たちもその症状に翻弄されるが、行動心理症状を客観的に捉えてあげる。
睡眠
MCIから認知症に移行させないために、運動、歩行、音楽、瞑想が効果がある。睡眠は記憶を固定させるために重要で、認知症にならない睡眠時間は7時間というのが出ている。アミロイドβは新陳代謝されるのが寝ているときで、起きている時ではない。睡眠不足の人にアミロイドβが蓄積されやすいことが報告されている。最近、1時間以内のお昼寝の習慣のある人はボケにくいという報告が続いている。
歩行
歩行と脳の高次機能 高齢者では、「寝たきりになると認知症になりやすい」逆に、「よく歩くと認知症になりにくい」ことが最近の研究によってわかった。
https://www.tmghig.jp/research/topics/201412
Beat
東北大学加齢医学研究所と理化学研究所の研究グループは、認知症や虚弱性疾患を有する高齢者でも容易に行える、ドラムによるコミュニケーション・プログラムを開発。https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/news/weekly/.
発症しても諦めない。生きている限り脳は変わるという最新の研究がある。鍵を握るのは、リズムであることが報告された。中程度から重度の認知症患者46人をドラム叩く群、普通に過ごす群に分け、認知機能、運動機能の変化を測定した。認知症の人に数えながら指を折るテストした。会話ができるが、指を上手く動かせない。ドラムを1回30分、週3回、3か月実施した。叩かさせると実験前より認知機能が2ポイント上昇した。普段通り生活した群では、3ポイント以上低下していた。叩く、タイミングを合わせる、抑制系を鍛え、行動に移すというプランニングのトレーニングをしているので、前頭葉機能のトレーニングになる。
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認知症:歩行が遅くなる |
ドラム:認知症の予防効果 |
喪失体験
「喪失体験」誕生すると自分の生命をその後、いろんなものを獲得していく。高齢者になると、「獲得体験」が減り、喪失するものが増えていく。社会的地位、収入、役割、生きがい、親・兄弟、友人・知人などの喪失体験が増加してくる。多くの喪失体験している高齢者が心穏やかに適応した生活を送っていくことは困難になる。認知症という病気はより多くの喪失体験することになる。記憶の喪失体験:今まで、自分が何をしていたか分らない。知人の喪失体験:周囲の人が誰だか分らない。居場所の喪失体験:ここが何処だか分らない一般の高齢者よりも遥かに多くの喪失感を体験し、適応した生活を送ることは非常に困難になる。認知症の人の適応を考える場合には、この喪失感を減らしていくことが重要になってくる。例えば、環境を整えることによって、居場所を確保すること、なじみの関係を作り上げること、役割を持ってもらうこと忘れたことによる不安を解消する対応することなど、周囲の適切な対応によって、認知症の人の喪失感を減らしていくことが認知症ケアの重要なポイントと言える。https://fukushi-job.jp/lab/archives/6557
予防(非薬物治療)
日常生活習慣の改善意識が高まり、認知症の予防に繋がることを期待する。食事、禁煙、血圧、脂質、血糖、運動、口腔衛生管理などの包括的な介入が重要だ。そのため、壮年期からスポーツをなどによる血圧の変動を含めた高血圧管理が認知症予防のなると考えられる。価値観が多様なので、歯科医は啓蒙することで、予防に結び付けることができるの?高血圧、糖尿病を管理し、デンタルケア、適度な運動を心がけること。
健康な食生活、禁煙、血圧、脂質、血糖、そして、適切な運動、口腔衛生の管理など包括的な介入が重要だ。高血圧は動脈硬化および、脳血管障害の最も重要な危険因子だ。血圧だけでなく、血圧の変動が認知機能低下や認知症発症と関連すると報告されているが、脳血管性認知症発症に関与するのみならず、アルツハイマー型認知症にも関与がある。収縮期血圧、拡張期血圧の日間変動の増加に伴い、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症の発症リスクの増大が認められている。そのため、壮年期からスポーツをなどによる血圧の変動を含めた高血圧管理が認知症予防のなると考えられる。
橋本道男:生活習慣と認知症:食事と運動による認知症予防.Dementia Japan 29:9-25,2015.
運動(防御因子)
運動習慣が認知症の防御因子であることが報告されている。安永明智,木村寛:高齢者の認知機能と運動・身体活動の関係:第25回健康医科学研究所論文集:129-136,2010.橋本道男:生活習慣と認知症:食事と運動による認知症予防.Dementia Japan 29:9-25,2015.肥満、アルコールの多量摂取も脳血管性認知症の危険因子になる。若い頃から生活習慣改善で脳梗塞、脳出血を起こさなければ、脳血管性認知症にならずに済むと考えると、20~30%の認知症患者さんの減少に繋がる
2017年、Lancet、予防対策として公衆衛生学的対策により認知症全体のリスクを1/3低減が可能ではないかと報告されている。改善可能である要因。若年期の低い教育、青年期の難聴・高血圧・肥満、高齢期での喫煙・鬱・運動不足、社会的孤立・糖尿病が挙げられている。各要因を改善できれば35%リスク軽減が可能であると報告されている。高血圧、糖尿病の治療をキチンと行い、デンタルケア、適度な運動を心がけること日常生活習慣の改善意識が高まり、認知症の予防に繋がる。
音楽に合わせてボクシングを利用した漸進的筋弛緩法
認知症の非薬物療法には、環境整備、回想法(昔話することで、患者さん自身が自身を取り戻したり、そういうことで、精神的に安定するという効果が考えられる)。現実見当識療法:認知リハビリテーション(計算、絵画、認知機能を刺激するが、心理的な安定につながる)リハビリテーション(気分転換がはかられて、効果が得られるかもしれない)バリデーション療法(共感することで、患者さんの気持ちを安定させる効果があると考えられる)。
https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/dementia/1664
周辺症状
「周辺症状」は、行動・心理症状、BPSDという言い方もするが周辺症状は、徘徊、猜疑心、幻覚、その他、様々な精神症状、行動症状が認知機能障害、中核症状を基盤に出現しているというふうに捉えることができる。認知症の薬物療法を考える場合、中核症状に対する薬物療法、周辺症状に対する薬物療法と分けて考える。
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)は、1認知症とも知的に正常とも言えない中間状態。2神経心理検査による年齢に比して記憶障害がある。3一般的な認知機能は正常。4家族や仕事等の日常生活動作(ADL)は正常。5認知症ではない。MCI有病率:65歳以上の高齢者で、15~25%と推定されている。認知症の前段階だが、全てが数年後に認知症を発症するわけではないが、認知症への進展率は年間5-15%と言われ、健常者より高い。1年後、MCIから正常に戻っている割合は16-41%と言われる。https://www.kaigonohonne.com/guide/dementia/symptom/mci
MCIを引き起こす原因の背景疾患に予防という観点から介入が必要だ。MCIの背景疾患は、脳変性疾患、脳血管障害、薬物・代謝異常、外傷性などがあるが、脳血管障害が考えられる場合は、高血圧症や糖尿病といった生活習慣病や心疾患の既往の有無、および、その治療状況を把握し、コントロールの指導を行う。アルツハイマー型認知症の進展が疑われる場合、病識が無くなる前の告知することで本人の希望を尊重しながら進行期にどのようなサポートを受けたいか話し合うことができる。早いほど、診断が難しく、絶望が大きいので、絶望に繋がらないようにしていく必要がある。
65歳以上で、MCIのScreeningとして、ある程度リスクを推定する血液検査が行われている。検査値が改善されないと、MCIになる可能性が65歳以上になると起きるという。MCIや認知症になった人は、認知機能の低下とともに、3種類のタンパク質の血液中の濃度が低下することを突き止められ、血液だけで認知症、MCIになるリスクが未然に分る早期発見が可能になった。費用は2万円余りだが、全国2500を超える医療機関で受けられるようになっている。
認知症の症状(障害)
脳の器質的な障害によって誘発される1.中核症状(記憶障害、見当識障害、判断力障害)が、身体状況、環境によって様々な2.周辺症状によって2次的に出現する。認知症の機能障害-1.実行機能障害:今後、起こり得ることを予想して計画を組み立てる能力を失う。2.記憶障害:物事の比較・判断することが困難になる。3.言語障害:抽象的な言葉の操作が難しく言葉の意味を掴むことも困難
認知症の「中核症状」は、記憶障害、見当識障害、実行機能障害といった認知症の中核である認知機能障害であ中核症状に対して、認知症になることによる不安感、これまでできていたことがうまくいかなくなるとかいう不快感、あせり=焦燥感、身体不調、ストレス、被害感などの様々な要因が中核症状に影響する。その結果、周辺症状(BPSD)が出現する。BPSDは、幻覚、妄想、徘徊、異食、攻撃的言動、危険行為、夕方の不穏状態、不潔行為、性的逸脱行為、ケアへの抵抗。という精神症状、行動症状が出現する。認知症の人に見られる中核症状には、もの忘れ、見当識障害、判断力障害、などがある。物忘れに対しては、物忘れを責めない対応をすること。中核症状に対しては、基本的な対応の仕方の原則のようなものがある。見当識障害は、いくつかあるが、①時間の見当識障害:時間が分りやすくする工夫をする。②場所:場所を分りやすくするような環境整備を行う。③人物:不安を解消するような状況を作ること。④判断力障害:情報をなるべく減らしていくような対応が有効である。
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/chukaku.html
中核症状の特徴
認知症の中核症状:1.記憶障害(物忘れ):昔のことは覚えていても、直前の事は覚えていない、短期記憶の障害。2.見当識障害:時間・場所・人の見当がつかなくなる。3.判断力障害:物事を判断するときに、過去の記憶を頼りにするが、認知症は、記憶障害が起こるために、判断力が低下し、判断することが難しくなる。4.実行機能障害物事の手順、段取りが分からなくなる。5.失認・失行:神経学的症状、失認は、感覚障害や知能低下が無いにもかかわらず、対象を認知することができなくなることをいう。失行とは、運動障害がないのに様々なことが実行できなくなる障害を指す。
性格、行動、性格に変化が生じてくる。
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/chukaku.htm
認知症の人も元々の性格に、物忘れ、見当識障害、実行機能障害、判断力障害の認知症の中核症状加わり、性格変化、行動変化、生活変化させる。その人がもともと、どういう生活を送り、どういう性格だったのか理解する必要がある。元々穏やかであった人が穏やかっであれば問題はないが、攻撃的になったり、興奮しだすようになれば認知症が性格に影響を与えている。元々の性格を考慮し、認知症でも、適応した生活を送っているのか?不適応に陥っているのかを判断する材料になる。
周辺症状(BPSD)に対するケア
BPSDは介護者を困惑させる厄介な行動と捉えられているが認知症の人たちが私たちに示すサインと捉えなければならない。対応の基本は、その場しのぎでだます対応ではなく、環境を整えて、安心できる生活環境や居場所と作っていくような物理的環境の整備、適切なコミュニケーションを行うというような人的環境の整備などが大切である。鍵かけ、行動を制限すること、身体的拘束を行うことなどは、高齢者虐待に当たることになる。
結果
非薬物療法の期待される効果の期待は、問題行動、精神症状、いわゆる、周辺症状の軽減・予防である。問題行動、精神症状の軽減・予防、残存機能の維持、対人交流の促進、情緒の安定、意欲の向上である。その結果、長谷川式の点数が良くなり、2次的な知的機能の改善、介護負担の軽減が期待される。
結論
本人会議
2003年、2004年、京都で開催された国際アルツハイマー病協会、第20回の国際会議に来日している。初めての当事者による社会に向けた歩みが始まったのがこの日本で行われた国際会議だった。社会の中で孤立することなく、安心して生きていける状況の必要性を認知症の当事者たちが訴えた。認知症本人同士が互いに知り合い、支え合い、お互いの経験を共有することで、明日を生きるための力を得ることができる、そうした交流の機会だった。2006年には、7名の認知症の本人たちが集まって「本人会議」が開催された。
認知症の人たちはどのような社会環境の中でどのような扱いを受けて生きてきたのか?臭い物に蓋をしろというように、社会の中に存在しないものとして無視されて扱われてきた。表から隠され、虐げられ、その存在を認められずに生きてこざるを得なかった過去がある。社会と断絶した状況の中でしか生きていくことを許されなかった人たちがいた。認知症の人がいることが地域社会から恥ずかしい迷惑存在として捉えられ、社会の臭い物として蓋をされてきた。抑制といって、手を縛り付けたりしていた時代があった。
https://minnanospc.grupo.jp
認知症の人たちに対する社会の捉え方、向き合い方、扱い方に変わっていった。認知症と診断されたオーストラリア、クリスティーン・ブライデンは認知症に対する考え方に多大な影響を与えた人物の一人だった。1995年、当時、首相・内閣府第1次官補という役職だった彼女が46歳のときに、アルツハイマー病と診断された。診断後に退職し、診断前後の自分の経験を本にまとめて出版した。1998年に「Who will be when I die?私は誰になっていくの?」翻訳され、日本でも多くの人に読んだ。認知症と診断され、何を感じ、何におびえているのか?認知症後、現在のご主人であるポールさんと出会って再婚された。
私の母は、アルツハイマー病に罹患し、何かをしゃべろうとするが、言葉を探しているうちに考えも消え、幼児と同じようなしゃべり方しかできなくなっていき、自分自身も打ちのめされ、令和4年9月に亡くなった。周りから見ているだけは推し量ることすら難しい様々な思いや葛藤の中で生きていた。認知症を他人事ではなく自分事として捉え、生きる人のことを知り、理解しなければならないと思った。
「認知症を知り地域を作る10か年構想」の下に2005年度から多くの人々に認知症を理解して貰い、認知症の人、家族が安心して暮らしていける地域を作るという認知症の普及啓発キャンペーンが始まり、それに「認知症サポーター100万人キャラバン」というのがあったが、日本全国に認知症のサポーターを100万人養成しようと、そんなことを目標に掲げて始まった試みである。認知症サポーターとして登録した人たちにサポーターの証としてオレンジ色のリングが手渡された。暖色系であるオレンジ色は手助けします、という意味があるらしいのだが、認知症サポーター100万人キャラバンでは、サポーターを100万人が目標に置かれていた。平成26年12月31日現在では、約580万人のがこのオレンジリングを手にしていたとHP上に報告された。「認知症を知り地域を作る10か年構想」は2012年9月に厚生労働省が公表した「認知症施策推進5か年計画」とうのが本当の名前で、「オレンジプラン」と御ばれている。2013年から2017年度までの5年間で、認知症に関して、どのようば施策を勧めていくのか、具体的に示されている。その計画として7つの項目が挙げられている。
ボランディア、サポーター、市民活動団体でNPOとして頑張っている人、障害者を支援するNPOなどの人達によって障害者の人に触れる機会を作っている。障害者になっても安心して暮らしていけるには、孤立しないでつながっていられる社会が必要だ。社会には、弱者、差別者、強者などのプレイヤーがいる。そのプレイヤーが繋がり合って、どんな安心した自分たちの町を生み出していけるのか?ということを一緒に考えることができたら。体験を共有して、地域に暮らすみんなが繋がり合って障害者になって安心して暮らしていける町を作っていけたらと思われる。
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