caries 顔 癖 不正咬合 姿勢
虫歯 顔 習癖 不正咬合 姿勢
鼻づまり 歯周病 顎関節症 スポーツ ストレス
鼻づまり 歯周病 顎関節症 スポーツ ストレス
子どもの理解 機能的矯正治療 認知症 舌側矯正治療 ガミースマイル  
子どもの発達 機能的矯正治療 認知症 舌側矯正治療 ガミースマイル  

認知行動療法

持続したストレスは、咀嚼筋を緊張させ、機能異常を誘発し顎関節症を齎し、頬筋を緊張させ顎を狭め、頤筋が緊張して不正咬合に導く。歯周病をはじめ、多くの歯科疾患はストレスが発症、経過に関わり、ストレスなどによって額に皺が寄っている人は頭痛を、頤にしわが寄っている人は歯並びが悪く、口が開いている人は顔が長くなり、肩が前にきている人は顎関節症を被っていることが多い。このようなストレスで身に着けてしまった行動・認知パターン、ストレスに起因するような習癖、異常機能などを有する患者さんに対し、緊張、弛緩を認識できるように漸進的筋弛緩法、慢性疼痛に対し注意訓練やマインドフルネス₁₎を加えた認知行動療法₂₎を適用し、症状を軽減させた。かつて、私は不安などによるストレスを被りうつに見舞われ頭痛を被り、安定剤や鎮痛剤に頼っていた。草の根歯科研究会の岡田弥生先生が主催した臨床心理学者の小野恵子先生の臨床心理学の講習会に参加し、習った認知行動療法を自分に試してところ、高血圧、症状が軽減した。その後、ストレスなどに起因する異常機能、習癖などを有する多くの歯科患者さんに適用するようになっています。

認知行動療法第3世代
近年、教育、犯罪、医学などを始め、多くの分野で用いられている認知行動療法は、問題の成り立ちを解明し、介入箇所を明らかにし、悪循環を改善しようとする。認知行動療法₃₎の
第1世代は行動療法で行動を変える、
第2世代は認知療法で考え方を変える、
現在は第3世代だが、大正時代の森田療法₃₎に似ていて、自分自身で行えるようにできるようにする方法で、自分で自分自身を治療する方法である。

SOAP

問題に対する適切なアプローチが容易にする為に、S:主観的情報、主訴、現病歴、既往歴、O:客観的情報、所見、検査所見、A:アセスメント、評価し、P:プラン:何時、誰が、どのように行うか、計画するの4つの分類でカテゴライズする。

アセスメント(A:Assessment)

アセスメント

アセスメント₄₎で、置かれている状況、心境、症状、どんなことを体験しているのか?どのような要因が関わっているかを見ていく。どういうときに習癖・行動が生じ、どう考えて、どんな気持ちがして、どんなことでしのいでいて、どうなったのか患者さんと共有する。

1.ケース・フォーミュレーション(CF:Case Formulation)

 

ケース フォーミュレーション

ケース・フォーミュレーション₅₎は1.問題を特定し、2.悪循環を明確にするために行う。問題維持メカニズムについて仮説をたて、患者さんと考える。患者さんの問題行動や症状に対して、発症・維持する悪循環やメカニズムを仮説として立て、共同で解決に向けた介入計画を決定・見直しするプロセスである。個々人の問題がなぜ生じたのか、問題はどのように変化しているのか、問題が消失せずに続いているのはなぜか、問題を改善するためにはどのような介入が必要かといったことに関する仮説を立て、介入に反映させる。

2.ABC分析

ABC分析 ABC

行動療法

認知療法

行動療法系(BT)
行動療法系(BT)のABC 分析₆₎は、問題を引き起こす出来事Aが、それによって誘発されるB反応・行動、それによって誘発される結果Cを産んだのか、さらに、その結果Cがどんな行動Bを誘発されるオペラント行動を検討する。例えば、母が心配するをいう先行刺激Aが痛いと訴える行動Bを誘発し、母親が優しくするという結果Cが痛いというBをさらに強化するオペラント行動を考察する。

認知療法系(CT)
認知療法系(CT)のABC分析では、出来事Aが信念Bを産み、どんな結果Cを起こしているか□の中に埋め、図式化していく。

ABC分析

 

機能分析

4.機能分析(FA:Functional Analysis)
機能分析₇₎で、習癖などの反応・行動などの偏り回復を妨げたりする特有の思考・行動パターン、予期不安、自動思考によって不適応的になり、防衛機制として誘発される習癖・食いしばり行動などの反応を考察する。

予期不安(Anticipated Anxiety)

予期不安

 

予期不安(Anticipated Anxiety)
予期不安₈₎は、Warning Sign(警告信号)の役割を果たし、不安を解消しようと反応して習癖・くいしばり行動が誘発される。

5.スキーマ分析(Schema Analysis)

スキーマ分析

スキーマ(Schema)₉₎とは、思考の根底にある信念・価値観・人生観などの「自分はだめだ」とか「自分は必ず失敗するだろう」とか、ルール、パターンのような中核的信念(core belief)とされる。スキーマ分析は、認知に関わる主観的な認知の偏りであるスキーマを見ることである。このスキーマが、私物事をどう解釈するかといった認知バイアスに大きな影響を与える。

自動思考(Automatic Thought)

自動思考₁₀₎が感情、気分を作り、ストレス、習癖・くいしばり行動などの反応を誘発しがちになる。例えば、状況(周囲に不安になる)→自動思考(問題が起きると考える)→身体反応(習癖・食いしばり行動が生じる)という悪循環が生まれる。記述して貰い、自動思考がどこまでが客観的かを身分けることができるようにする。憂鬱、いらいら、習癖・行動・状況を特定し、それに代わりになる行動、代替行動(Alternative Behavior)を考えて貰う。

自動思考 自動思考

 

Emotional Diary(感情日誌)

感情日誌 20答法

感情日誌

20答法

感情日誌、20答法などの記述は(Thinking about thinking)とされ、自分の思考・感情を客観的に考えることができるようにメタ認知機能を高めるメタ認知訓練₁₀₎になり、認知再構成を促し改善に導こうとする。

Action Plan

アクションプラン

Action Planとは、いい循環に変えるには、どうすればよいのか考えることである。作用しあっている人の反応と環境の悪循環が、症状だったり、 心理的問題ということになるからである。

Relaxation,RMR:漸進的筋弛緩法

漸進的筋弛緩法

ストレスが加わると心身の慢性緊張状態が誘発され、それを弛緩することでストレス状態が緩和される。ボクシングを漸進的筋弛緩法(PMR:Progressive Muscle Relaxation)₁₂₎に利用し、ボクシングのスリッピング、ボビングさせることは体を揺らすことになるので、リラクゼーションに繋がる。又、腕、肩でブロックするショルダーブロックさせることは全身の緊張になるが、手をだらりと降ろしてスウェーする行為は、全身が筋肉が弛緩し、緊張と弛緩を認知することが容易になる。

注意訓練

ACTではマインドフルネスの手法を用いる。
日中の仕事などの合間に漸進的筋弛緩法、サパタ瞑想とヴィパサナー瞑想のマインドフルネス瞑想を指導し、経過を観察する。オウム真理教が行っていたサマタ瞑想で呼吸に注意を向け、その時出現する思考・感情に気付いた時点で呼吸に戻すという注意の持続と転換を繰り返して集中力を高め、次にヴィパッサナー瞑想で、意識野に入ってくるものへの気付きで注意分割することで痛みに向ける資源を剥奪しようとした。

選択的注意訓練₁₃₎
ジャズミュージックで、選択的注意訓練でベースなどの一つの音に、次に、ドラムなど注意転換訓練として交互に、次に複数の音に、そして、複数の音を同時に集中させる注意分割訓練を行い、痛みに向ける資源を剥奪させた。

Self Monitoring(セルフモニタリング)

セルフモニタリング

記述(Description)

ペイン

ACT

ACT ACT

頭の中で起こる出来事に囚われなくするためにACTでは脱フュージョン、アクセプタンスという2つのコアプロセスを発動させる。①「脱フュージョン」とは、自分の思考・想像・記憶から一歩下がり、距離とり、評価を下すことなく観察することを言う。②「アクセプタンス」痛みを伴う感情・思考に対し、追い払ったりしようとせず、心の中のスペースを広げ、それを受け入れる場所を作り、その場にいることを許容すること。

NRS(Numerical Rating Scale)

NRS₁₄₎は、感情、疼痛などを数字で評価するための指標となる主観的評価方法で、臨床で最も頻繁に活用されている。
体重を毎日、記述させるとダイエットに効果を示す、又、吸ったタバコの本数を毎日、記述させると禁煙に繋がり、このようなセルフモニタリングに効果があることが知られている。

歯ぎしり 歯ぎしり

 

 

症例 症例

持続したストレスは、咀嚼筋を緊張させ、自律神経、内分泌を調節する間脳が機能不全を起こし機能異常を引き起こし、頬筋を緊張させ顎を狭め、頤筋が緊張して不正咬合を誘発する。そのため、拡大装置で顎を狭める頬筋を上方に押しやり、舌房を確保して舌を上方位に位置させ鼻呼吸を促し、フランケル装置のシールドを利用して顎を狭める頬筋、歯並びを悪くする頤筋の漸進的筋弛緩を行い、抜歯や固定式装置を回避し、アライナー治療を簡単にすることができる。

人には、特定の思考、行動パターンがある。習慣的な特有の行動・思考パターンや食いしばり、開口癖等の非適応的な行動パターンになっていることがある。このような異常機能に対し緊張、弛緩を認識できるように漸進的筋弛緩法、慢性疼痛に対しマインドフルネスを加えた第3世代の認知行動療法は、非適応的な行動を抑制し、思考のベースとなる前頭葉機能の認知機能を向上させ注意力を高め、非適応的な行動・思考パターンを客観視させ、系統的に変容させる。痛いと思うと痛くなる、痛いと思わせると更に痛くなる。痛くないと念じてもらうともっと痛くなる、痛みを観察させてみましょうというと痛みが軽減する、どんな痛みが教えてくださいというともっと軽減する、思考や感情に振り回されずにあるがままにしておくことで疼痛の軽減に結び付けること可能にしている。

緊張、鼻づまりなどの特異的な習慣的行動が異常機能を持続させるので、発症ではなく持続要因を診るべきで、どんな生活をしているのか?どうして持続しているのか?持続させる理由があると思われる。どの行動、認知に変化を起こせば、習癖・行動をやめさせることができるか、どうつながって悪循環を起こしているのか考え、行動の変化に働いている原理を考え直し変化を促すことが大切である。顎関節症は食いしばりや咬合などが誘因になることがあるが、慢性疼痛は、咬合治療は無意味になり、偏った認知・行動の変容が大切だと思われる。第3世代の認知行動療法で用いられるマインドフルネスは、思考に囚われることなく現実を気付き、観察できるようにすると思われる。ポジティブに考えることは健康的、ポジティブに考えるかは認知バイアスが左右する。認知行動療法で認知バイアスにかかっていることを認知できるようにすることができる。そのため、ネガティブなことに心を奪われることなく公正に見れるように促すために、記述して貰う。何考えているのか分からない、わからないから不安反応が起こる。不安になるから習癖・食いしばり行動をし、疼痛、不正咬合を齎す。不安になる必要がない根拠を探すことなので、自分でできることになる。曖昧な状況では考えが偏りがちになり自動思考に陥る。どんな自動思考になったか?その結果、どんな気分、感情になったか?その自動思考を変えていく。アセスメントによって、問題を整理・把握する。認知再構成で思考を適切なものに変えていくことで、落ち込み・習癖・悩みを減らしていくことができるものと思われた。

【考察文献】

₁₎ジョン・カバットジン『マインドフルネスストレス低減法』,春木豊 (翻訳),北大路書房,2007
₂₎熊野宏昭『新時代の認知行動療法』,日本評論社, 2012
₃₎岩井寛『森田療法』講談社現代新書,1986
₄₎下山晴彦『臨床心理学アセスメント入門―臨床心理学はどのように問題を把握するのか』金剛出版,2008.
₅₎https://human-relation.net/psychology/formulation
₆₎ユーナス ランメロ , ニコラス トールネケ『臨床行動分析のABC』武藤 崇,米山 直樹 (訳),松見 淳子 (監修),日本評論社
₇₎https://human-relation.net/psychology/functional-analysis ₈₎https://www.cocolabo.me/anxiety-mechanism ₉₎https://physioapproach.com/hp/ninnti3sukiima.html

₁₀₎https://terapi.jp/column/automatic-thoughts-improvement

₁₀₎エイドリアン・ウェルズ『メタ認知療法』熊野宏昭,今井正司,境泉洋(監修, 翻訳),日本評論社,2012

₁₁₎https://millreef.co.jp/blog/aba/post-916

₁₂₎成瀬 悟策『リラクセーション緊張を自分で弛める法 』,ブルーバックス,2001

₁₃₎貝谷久宣,熊野宏昭,越川房子『マインドフルネス 基礎と実践』日本評論社,2016

₁₄₎https://psycho-psycho.com/self-monitoring

₁₅₎熊野宏昭『マインドフルネスそしてACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)へ』星和書店,2011