caries 認知症 癖 不正咬合 姿勢
虫歯 認知症 習癖 不正咬合 姿勢
鼻づまり 歯周病 顎関節症 スポーツ ストレス
鼻づまり 歯周病 顎関節症 スポーツ ストレス
子どもの理解 機能的矯正治療 ガミースマイル 舌側矯正治療 認知行動療法
子どもの発達 機能的矯正治療 ガミースマイル 舌側矯正治療 認知行動療法

 

顔の治療前後の変化(治療後の顔:クリック)

治療前後の顔の変化 治療前後 治療前後の顔の変化 治療前後の顔の変化 顔の治療前後 治療前後の顔の変化

メディアは、人の価値感、行動に影響し、規範を提供し、メディアが作った顔がかっこいい、可愛いというような外見の基準は、人に圧力をかける。メディアは、非常に顔の良い人を描写するという偏りがあるので、レベルを上げ、劣等感をうみ、顔を直させようと圧力を加えていることになる。そして、患者さんは、準所集団に同調したいという欲求がくすぐられ、歯科治療を受けようとする動因が作られる。そのため、顔の存在意義、意味を考え、歯科医としていかにして治療に参加することができるか考える。 顔は、他人に与える情報であり、好感度、誠実、健康を予測する指標でもある。顔が良い人は、ちやほやされるので、自己愛が強まり、野心や成功を志向する「野心の極」を発達させる。逆に顔の自己評価の低い人は、社会から退却を余儀なくされ、自己防衛的な人格特性を形成し、社会的、異性との性的関係のチャンスを失う。ほとんどの男性は女性と縁がない人が多いが、自分の顔に対する自己評価が高い男性は、自信ある行動パターンを形成し、数多くの女性を誘い、性的関係が華やかなり、肯定的な経験も多くなる。口蓋裂などの歯並び、顔や体に障害を持つ人は、周囲の人から注意が注がれ、プライバシーの侵害を経験し、自尊心、自己愛を喪失させ、周囲から回避し、対人知性の発達が阻害される。このように、個人の顔が行動特性や性格が決定するのである。顔の印象形成に最も、大きな影響をするのは口元であることが示されている。矯正治療は、リケッツによると、歯を動かすことによって顔を改善することだという。ロールプレイなどの行動指導のみならず、矯正治療をはじめとする歯科治療によって、内面的な変化が生じ、コミュニケーションができるようになれば、不安は減少させ、一生を変えることが可能になると考える。
顔の役割
顔には、臭いをかぐ鼻、見るための目、食べるための口がある。哺乳類は、進化する中で顔の持つ意味もかわり、表情を持ち、表情によるコミュニケーションをするようになった。ダーウィンは、ヒトの進化に顔が重要であったと主張した。 ヒトが直立すると顔が前方になくなり、顔の容貌を変化させた。目は頬の上の顔の中心に位置するようになり、幼形を備え、哺乳類の中でも特殊な役割を持ち始めた。ヒトの表情筋はチンパンジーの2倍の数になり、長年の性淘汰によって、感じるようになった顔の美感は、健康を示唆する特徴でもある。表情が発達して見る器官から見られる器官に進化し、見られることによって、相手に情報を伝える。顔は、最初に他人に与える情報として存在するので、人に対して抱く感情を支配する。顔は、覚醒と緊張が生み、快、不快を生じさせ、善悪を判断する基準となり、顔は、過去の学習が修飾し、良い顔は、知性、人格特性、社会的影響力、社会的地位、社会的勢力があると認知する。良い顔は、誠実、好感を示し、人に快刺激を与え、この快刺激という報酬が与えられると、記憶することのできる動物として、借りを返さそうと返報性のルールを無意識に守ろうとするので、顔の良い人に利他的行動をするので、顔の良い人は、善意を受けることになる。

顔の進化
動物とは、動く生物のことであり、一定方向に動く動物に顔が存在する。顔は外界から栄養を吸収する口から始まり、口に目や鼻、耳が加わって顔になり、魚、両性類、爬虫類、哺乳類と進化した。顔は口で捕食する為に、次に目、耳、鼻で、外界の情報を得る為に発達し、見る器官として発達した。 性淘汰
ヒトの顔も性に関連した種内の社会的相互作用の淘汰圧を受けて形成されてきた。自然環境からくる淘汰圧よりも、性的なものの方が強い淘汰圧を及ぼし、顔は、種内相互作用からもたらされた淘汰の結果、形成された。他の脊椎動物と異なり、雄よりも雌の容姿に性淘汰がかけ、より幼形が残っている。小林によると、原人的容貌を嫌い、新人的容貌を好む現象が性淘汰圧となって、現生の人の容貌が作られていったのだという。 Kobayashi,T.(1987),Ethological hypothesis on the origin of the handsome type face in humans.,J.Ethol.,vol.5,pp.1-5.

口の進化
最初に口ができ、顔に進化した

表情の発達
皮筋-両生類
皮膚につく筋を皮筋というが、皮筋は両生類からみられ、鼻孔の開閉に用いられる。魚類には、皮膚が皮下にへばりついているので皮筋がない。皮筋は、一端又は、両端が皮膚に付くので、体を動かさずに皮膚だけを動かすことができる。
哺乳類(表情筋に進化)

哺乳類は、皮下で動かす皮筋が発達した。たとえば、馬は皮筋によって皮膚を震わせて昆虫を追い払う。哺乳類は、顔面につく皮筋である顔面筋には目を閉じるための眼輪筋、口を閉じるための口輪筋があるが、これが表情筋に進化した。表情筋は、骨と骨との間を走る普通の骨格筋と異なり、骨と皮膚との間を走る。爬虫類は、丸飲みするので、頬を密閉させる必要はないので顔面筋が表情筋に進化していない。

コモドドラゴン ライオン
爬虫類は表情筋が進化していない 哺乳類は表情筋が進化した

頬笑み
Van Hoofは猿の表情を9種類に分類した。頬骨筋が働いて頬笑みが作られる。頬笑みは、グリメイスという上下関係で服従を示す劣位の表情が進化したものとされている。それが自分は劣位を認め、親しくしたいと社会的な場面に入っていくときに微笑むように進化した。劣位に自分を置くことでコミュニケーションをしようとする。表情が連動していると、強調したり、弱めたり、言葉の潤滑油の役割し、コミュニケーションへと幅を広げた。
Van Hoof,J.A.R.A.M.1967 The facial displays of catarrine monkeys and apes.In D.Morris(Ed.)Primete ethology.London:Weidenfield & Nicolson.7-68. 赤ちゃんは、生後3カ月ころから人見知りが始まる。8か月ころに、表情の違いを見つけていくことができるようになる。社会的関係を持つ生物にとって表情を読み取ることが重要になるように特化した動物にとって顔を見ることが重要になる。ヒトは表情筋が細かく分化し、細かい動きができるように表情が生まれた。表情とは心が表出したもので、うれしいと口元がゆるみ上方に牽引される。笑顔を受けると笑顔が作られるように、他人の表情を見ると同じ表情になるように、相手の表情によって、自分も同じ表情になる。この表情の模倣が、社会性の基礎になり、社会的な信号のやり取りに関係している。表情を見て、同じ表情を返し、共感を形成する。人は互いの表情をまねることによって、コミュニケーションに使って仲間意識、社会的結束と強めることによって、生存に有利になる。表情が進化の過程で発達した。

グリメイス スマイル
微笑みはグリメイスという劣位を示す表情から進化した うれしいと口元が緩む

対象の表情
無意識であらわす表情に、喜び、嫌悪、怒り、驚き、悲しみ、恐れの6分類あり、左右対称になる。
非対称性の表情
人は、あざけり、皮肉などの特定の意図をもった表情、意識的な感情を表そうとすると、顔は左右非対称性になる表情を獲得した。

非対称性の口
無意識な表情は左右対称に、意識的な表情は非対称になる

 

表情の認識
右脳は、顔を認識する顔領域であり、表情や身振りを理解する。右脳の身振りは表情を理解する能力が、左脳では、言葉を理解し、用いたりする能力になった。左脳には言葉を司るウェルニッケ、ブローカ野に進化した。

他人の顔の良し悪しがどうしてわかるのか?
ヒトによる認知、行動パターンの違いは、脳、神経系の違いや、神経細胞と神経細胞の接触部であるシナプスの結合の差の現れである。ヒトの容姿選好には、生物学的、遺伝的基礎があるが、生物学的基礎が社会的、文化的状況によって修飾される。霊長類では、刺激図形がどれだけ顔らしいかを判定する脳内回路が進化している。霊長類にある顔細胞の神経細胞群は、図形が顔に近いほど反応するが、ヒトではより強く反応する顔が美しいと思うように進化した。美の元型をべースにした現実の美の基準から離れているほど、醜いと感じ、より顔らしい刺激情報に対して美と感じるように進化し、ヒトの性淘汰を進めた。
赤ちゃん
人間の顔の美の認識は、顔の形の刺激が入力されると、それが美の元型に後天的に修正を加えてできる現実の美の基準とどれだけあっているかを評定して、よりあっているほど美しいとする認知回路によって行われている。赤ちゃんに大人の顔と野菜の写真を見せると野菜よりも人の顔を注視し、その時、脳での顔領域が反応する。赤ちゃんは相手の目に視線を送るが、顔をさかさまにすると視線が定まらなくなり見なくなる。あかちゃんは、目と口の配置を頼りに顔を認識している。ジュディス ラングロアの研究によると、赤ちゃんは、人種関係なく、大人が高く評価した人間の顔の写真を長い間凝視することを見つけた。生後3ヶ月の赤ちゃんも大人が魅力的と認める顔を、左右対象性を、より滑らかなものを長く見つめる。生まれてくる、美への好みが学習によって習得されたものではなく、赤ん坊は、美しいものを見分け、美しいものを好む能力をもっていて、美の普遍性は、乳幼児に迄及び、美は先天的であり、学習は必要なく、美しい顔を醜い顔よりも好んで見ることを見つけた。 Langlois,J.H.,et al.(1987),Infant preferences for attractive faces:Rudiments of a stereotype?,Devel.Psychol.,vol.23,pp.363-369.
子供
人形で遊ぶ少女は、顔の整った人形と遊び、整っていない人形を飾ったりしない。サミュエルズ(1985)は、生後3か月と6か月の乳児にルックスの良い顔の写真とそうでない写真を同時に見せると、ルックスの良い方を長く注視することを発見した。これは、ルックスの良し悪しは学習したのではなく、生得的な感覚であることを示している。子供に女性の顔のかわいらしさを評価させると7歳以下の子供は一致しないことがあるが、7歳以上の子供はすべて一致してしまう。
ヒト
目に映った図形がどれだけ顔らしいか、判断する認知回路があるからである。顔が脳回路で認知される図形が顔に近いほど、調和のとれた美しい顔と認知する。1930年代、ワイルダー ペンフィールドは、脳を司る体の中で、顔が半分以上を占めていることを明らかにした。脳が受け持つ割合を人間の形であらわすと顔、手、舌が大きくなり、いかに、顔、手、舌が重要なのが解る。

脳神経は舌に部分が多く占める

脳を司る体の中で、顔が半分以上を占めている、顔の中でも舌の領域が大きい

どうして可愛い、かっこいい顔が好きなのか?
ヒトに普遍的に見られる行動や感情には、過去に適応価があったわけで、ヒトの進化の過程で、美貌を好むという心理機制に適応価があった。異性選択に相手の容貌を気にすることに、コストを上回る適応価があったから、集団内に広まった。美的感覚を伴った可愛い、かっこいいと思うことに適応的価値があったと考えられる。人は無意識に顔の良い人に惹かれ、行動をするが、大抵の行動は、無意識が決定している。行動に決定するのが遺伝子で、自分の遺伝子を後世に残すように行動している。遺伝子に良い相手を見つけてセックスするように書き込まれているので、男は可愛い顔の個体とセックスしたがる。複製された個体は、美しい遺伝子をもっているので、遺伝子の適応度も高くなる。
ディスモンド モリスによると人の分類好きがヒトの美的感覚の基礎になっている。美しさの感覚とは、外界の情報を分類するにあたって、その調和の程度を測定する感覚として進化したものであるという。 ディスモンド モリス,裸のサル,日高敏隆訳,49-98,河出書房新社,1990
C.G.ユングは、男性の元型であるアニムス、女性の元型であるアニマのように、男女別々の美の元型があるという。カレロは、元型と現実の顔の差が、横顔の美を決めていて、顔の元型が最も美しく、それから離れるほど醜くなるのだとした。Carello,C.,et al.(1989),Attractiveness of facial profiles is a function of distance from archetype.,Ecol.Psychol.,vol.1,pp.227-251.
顔の審美の認知(美しい顔の認知)
選挙の勝敗は政策ではなく、多くは、候補者のみてくれで決まるとさえいわれている。男性は、美女の写真を見るとPETでは、ペニスの勃起と関連する脳の個所が活発している。女性は、ハンサムな男性の写真を見ると集中度、注意に関係する部位が活発になることを示している。男性の恋愛の目的は、セックスであるが、女性の恋愛の目的は、子を育てということになる。男女とも恋の病に罹ってしまうと尾状核が活性化し、その人を偏愛し、独占したがる。進化の過程で、尾状核の大きさが増していった時、人を手に入れたいという偏愛の衝動が強まっていったと考えられる。美しい相手の写真を見るとドーパミン値が高まる。ドーパミンは、報酬を得ようとする動機を提供するので、行動に移そうとするようになる。

可愛い顔

可愛い、かっこいい顔を好むことに適応価があった


美は人を誘惑し、先入観を与え、感動、性的興奮を誘発する。 美とは、比率と数字に基づいた美意識である。
プラトン
プラトンは、全体と調和する個々の部分の適切な長さと大きさにあるとした。
ミシェル ド モンティーニュ
ミシェル ド モンティーニュは、明確さ、調和、色彩、対象性にあると考えた。
アリストテレス
アリストテレスは明確さ、秩序と対象性にあるとした。
美醜を決定する要素
顔の美醜を決める要素は、目、口、鼻、顔の輪郭など顔の各部の微妙な配列である。容姿の魅力は、1.美しさ、2.可愛らしさ、3.性的魅力、4.それ以外の要因からくる魅力の4種類が考えられる。
美人の条件
美人の条件は男女とも、1.平均的、2.対称的、3.女性化である。ルネッサンス時代のデューラーは、額の生え際から眉まで、眉から鼻孔まで、鼻孔から顎までが均等に分割されるとした。又、目と目の幅は、鼻の幅に一致するのがこの時の基準だった。ローマの建築家、ウィトルウィルスは、顔のいい人は、顔が3等分でき、頭の大きさが、身長の1/8に等しいと記した。これらは、現在の矯正歯科治療の診断基準になっている。しかし、レズリー ファーカス(人類学者)は、ルネッサンスの規範の比率は現実ばなれし、美しく見えない比率であり、3等分や4等分に分割できる顔はなく、男性は、より女性的な顔を好み、女性は、男性と女性と中間の方が男性的な顔よりも好む。美人は目の縦幅が大きく、鼻が小さく、両頬の幅が狭く、特に、目が大きいほど魅力的ということになる。ヒトは、突出しているが、類人猿は突出しておらず、ヒトのみが進化した形質である。鼻は幼児の時は小さく、大人になってから高くなる。鼻の小ささは女性にとって魅力的になり、男性には影響しない。
顔には、2つの要因がある。1つは配置で眼や口、眉毛の位置関係である。もう一つは、造作である。美人の条件は男女とも、1.平均的、2.対称的、3.女性化である。男女とも、少し、女性度を増すと、誠実、協調的、感情のこもった雰囲気をかもし出し、優しそうな顔になる。美しい顔とは?相手の顔が、人の平均顔の基準近いほど顔の元型にのっとった美しい顔ということになる。

カニングハムは、男性による女性の魅力の評価と顔の細部の相関を調べた。有為な正の関係があったのは、女性の場合、大きければ魅力的になる項目に、1.目の横幅と縦幅,2.両目の間隔,3.頬骨の位置,4.目から眉毛までの距離,5.瞳孔の大きさ,6.瞳孔の開き具合を挙げ、 美の元型は、女性の顔の標準値より目の縦幅が大きく、鼻が小さく、両頬の幅が狭いことを明らかにした。美人は、顎が細く、眼が顔の大きさに比べて大きく、唇と顎の間の距離が短く、幼形を備えるなどの極端な形質も美しい条件になる。 大きければ魅力的でなくなる項目に、1.鼻のサイズ,2.口から顎の下までの距離3.頬骨間の幅などを挙げた。下顔面の長さは、容姿の魅力と負の関係にあることを明らかにしている。矯正治療は、下顔面を長くしてしまう傾向があるので、矯正用インプラントなどで、下顔面を開けないようにすることが要求される。
男性の美
男性が大きければ魅力的になる項目に、1.目の大きさ,2.頬骨の発達,3.顎の発達,4.眉毛が太い,5.口の横幅。男性の顔の魅力に一貫した結果は出ない。女性によって、異性の顔の良し悪しはあまり意味がない。 Cunningham,M.R.1986 Measuring the physical attractiveness:Quasiexperiments on the sociobiology of female facial beauty.Journal of Personality and Social Psychology,50,925-935
染色体上でのHox遺伝子の並び方が、体の中のどこに対応し、発現するかという2次元的、3次元的並び方と対応している。顔や体のプロポーション、手足の長さ、内蔵のできぐあい、この遺伝子の働きである染色体上でのHox遺伝子の並び方が、体の中のどこに対応し、発現するかが対応している。
モンゴロイド
分子生物学は、20万年前に出現したホモサピエンスは、10万年前、アフリカにいた共通の祖先に由来する単一起源説に基づいて、5万年前にアフリカと旅立ち、アジアに到達し、3万年前、シベリアに到達して北方系モンゴロイドになった。

モンゴロイド
脱アフリカを果たしたホモサピエンスはシベリアの方で寒冷適応を受け、朝鮮半島を通って日本に来て、弥生人になった。

寒冷の環境に熱を放散しないように、手足を短くして顔の凹凸を減らし、鼻を低くし、皮下脂肪を増やし、角膜は血管が少ないので目の周囲の皮下脂肪を厚く、目を細くして一重まぶたにして寒冷から目を保護した。神経が両側支配になり、ウィンクがうまく出来なくなった。寒いので、顔を微妙に動かさなくなった。このような寒冷地では、凍った肉を食べる必要があり、歯、顎、頬骨が発達し頑丈な顔に発達した北方アジア人の顔、体つきが出来上がり、日本に到達して渡来系弥生人となった。シベリアで、北方モンゴリアンの特徴を獲得した先祖が日本にやってきて弥生人になったとき、すでに、縄文人が住み着いていた。縄文人に渡来系、弥生人がまじりあった。遺伝的な変化に伴う進化があった。遺伝子が変わった場合のみが進化とよばれる。耳がかさかさ、ウィンクが苦手に進化した渡来系弥生人は、約2800年前、北方アジアの人が、日本に到達する。その時、日本には、目のぱっちりしたウィンクが上手で、外耳の表皮である耳垢が、汗腺の一種で毛根にできるアポクリン腺が多く湿った耳垢の縄文人が住んでいた。在来の縄文人の歯は、柔らかいものを食べる文化に適応して歯が小さくなって、切端咬合になっていた。南下する過程で得た中国の水田稲作の技術、金属器の技術の弥生文化として席捲し、その時代を弥生時代とされる。この弥生人が踏み入れたのは、九州の北部から山陰の山口県の韓国から近い地域である。紀元前3世紀頃、邪馬台国、4-7世紀、大和政権下の古墳時代を経て7世紀後半には、中央集権の古代律令制国家を樹立する。藤原京時代に、築造された高松塚古墳の壁画は弥生人の特徴が描かれている。体毛やひげが凍傷防止のため、薄く進化した。モンゴロイドは、南方系モンゴロイド(古モンゴロイド)と北方系モンゴロイド(新モンゴロイド)に分類される。1.南方系モンゴロイド(古モンゴロイド)は、揚子江より南の出身で、顔が立体的で彫りが深く唇が厚く、二重瞼が多く、縄文人に属し、2.北方系モンゴロイド(新モンゴロイド)は、揚子江より北の出身で、日本人は、新モンゴロイドに属する。日本人は、渡来系弥生人(北方アジア人)が7-8割、縄文人(南方アジアジア人)が2-3割の混血であるとされている。アイヌの人は、ウィンクがうまく、アポクリン腺が発達し、体臭があり耳垢が濡れている縄文人である。体臭があり、ウィンクがうまいというのは、アフリカで誕生したホモサピエンスが保持していた特徴だった。ヒトは、体臭、ウィンクでコミュニケーションを発達させてきた。

縄文人と弥生人
縄文人と弥生人

 

進化の過程で、顔が小さくなっていくので、脳の容積は減らないので、頭が球形に近付いていく。この傾向は、現在も進行し、短頭化(Brachycephalizzation)が続き、頭の幅が大きくなり、丸身を帯びてきている。短頭化現象は、日本のみならず、各国で、頭示数が大きくなり、短頭化が現在も進行中である。 頭の形は、長さに対する幅の百分率で示される。頭形は気候の影響が大で、寒冷地の人は、大柄で、体積に対する体表面積の比率が小さく、体熱の放散を防ぐベルグマンの法則がある。
頭示数
頭型は人種の区別に用いられる。頭型は頭示数で、顔型は顔示数で示される。頭示数=(頭幅÷頭長)×100で示され、長頭:75.9以下、中頭:76-80、短頭:81以上に分類される。顔示数で、長顔、中顔、短顔に分類され、日本人は、83.8で短頭に入る。
熱帯
熱帯の人は平均、77.3で、熱帯の人は、表面積の大きな頭、小さくて前後に長い頭を持つ。熱帯地方の人は、小柄で、体に対する対表面積の比率を高くして放熱が多い体型にする。
寒冷
寒冷の人は、81.6で、寒冷地の人は、体熱の放散を防ぐ為、頭は大きく丸くなっている。

目は、はじめは、体表面の普通の触覚が敏感になり、それが長く伸びた体毛の動きを感じるようになった触覚のようなものや、体の一部が飛び出した触手のような簡単な物が進化し、そのうちに皮膚の一部の光に対する感受性が強くなって原始的な目が進化してきた。目は、脳細胞が飛び出してきて網膜を形成し、傍受した刺激を直接、脳に伝達される。目には、他の感覚器官と異なり、情報が多いので末梢神経に送っていては、情報処理が追いつかないので、脳が出てきて、直接刺激を傍受するように進化し、感覚器官が傍受した刺激は末梢神経を通じて脳に伝達される。 樹上にのぼった先祖は、樹上を移動する時、2つの目の視差を利用して立体視が必要になり、物を手に取るようになった霊長類は、近くの物が見えるように、左右の目が寄ってくるという変化が生じた。顔を認識し、個体を識別する必要が生じている。群れの中で、順位を理解し、上位に服従することによって、群れの一因になっていることが可能になる。

眼の進化
樹に上った霊長類の目は立体視を可能にするため左右の目の間隔は狭まるように進化した。

表情を理解する脳領域
右脳に顔を認識する顔領域があり、表情や身振りを理解する。左脳の正反対側は言葉を司るウェルニッケ、ブローカ野が存在する。対象位置にあることから身振りは表情を理解する能力が言葉を使ったり、言葉を理解する能力に進化した。人は、笑顔を受けると笑顔が作られるように、他人の表情を見ると同じ表情になる。相手が表情すると、自分がそうなるようになる。この表情の模倣が、社会性の基礎になり、社会的な信号のやり取りに関係している。表情を見て、同じ表情を返し、共感を形成するように、表情が進化の過程で発達した。人は互いの表情をまねることによって、コミュニケーションに使って仲間意識、社会的結束と強めることによって、生存に有利になる。人を好きになるということは、交尾に移行させる為に進化した感情であるので、関心のある異性の顔を見ている時、男女で脳内で活動している箇所が異なる。男性は視覚に関係する島皮質が活動している。男性は若くて、かわいい女性を好む。そうした女性が子供を多く産んで遺伝子を残したからである。女性は、男性の顔を見ている時、記憶に関係する箇所の帯状回が働かせている。相手が良い父親になってくれるか、子育てにふさわしい相手を選んでいる。この子育てこそが、人間が恋愛システムを進化させた。人は7百万年前のアフリカで、直立し、2本の脚で、体重を受けとめるために骨盤の形態が大きく変化し、産道を大きくできないという制約を受けた。道具を使って狩をし、肉を食べるようになって脳が肥大化した。その為、赤ちゃんを未熟児で産むしかなかったので、女性はつきっきりで、赤ちゃんの世話をする必要があったので、記憶を頼りに、食糧を運んでくれそうな男性を見極めるように進化した。しかし、恋する脳内で活動が抑制されている箇所がある。恋をしている時に好きな人の顔を見ると、機能低下する箇所は、扁桃体、頭頂側頭結合部の否定、批判を行う箇所で、恋すると恋人を批判的に考えることができなくなる。好きな人の顔を見た時、腹側被蓋野が活動し、扁桃体、頭頂側頭結合部が機能低下するという2つのシステムによって成り立っている。
横幅
大人の目の横幅が平均2.5cm、両方で5cm、日本人女性の片目の横の大きさは2.4cmである。眼球の周囲についている眼筋や眼窩内の脂肪組織を加えると、眼窩の幅は最低、3cmになる。鼻腔の幅、約1cmを加えると合計7cmになる。鼻腔、側頭筋が必要であるので、顔の幅は少なくとも9cmは必要である。 縦幅
縦幅が8mm程度、縦横比は大人で1/3で、子供は大きくなり、縦幅の比率が少し大きくなる。中川によると、目の縦横比は大人で縦が横の1/3で、子供の目の横幅は大人より大きいので可愛い。目を最大に開いたとしても平均15mm程度であり、2/3にはならない。中川喬他(1974),日本人の眼瞼の形態および上眼瞼挙筋機能,臨眼,vol.28,pp.689-692.
子供
子供は、目自体は大きいが眼裂が大きくないので、白目が見えず、黒眼(虹彩)部分が占めている。顔は3等分されるが、子供の目は、顔の中央に位置する。大人でも目を下げると若く見える。
大きい目
大きな目は赤ちゃんの幼態保持の表れであり、母性本能をくすぐる。シュモクバエは、目が異常に長いことから出目(シュモク)と命名され、オスの目が長いと雌にもてる。目が長いほど、喧嘩に強く、長生きであるらしい。ヒトの雄は、大きい目が幼形として刺激させる。極端に大きい目は、魅力の解発因、超正常刺激になる。
離れた目
目の幅は、鼻の幅より広い。極端に離れた目は幼形になり、大きい目と同様、魅力の解発因、超正常刺激になる。
日本人
眼球は血管が発達していないために寒さに弱いので、弥生人は、皮下脂肪を発達させて瞼を厚く、眼裂を小さく、細くすることによって寒冷、雪原の反射から保護した。眼輪筋の両側神経支配で、ウィンクが下手である。縄文人のアイヌ人は眼輪筋の片側支配が完璧で、ウィンクがうまく、片眉あげもできる。

眼 離れた目
目の幅は、鼻の幅より広い 極端に離れた目は幼形になり、大きい目と同様、魅力の解発因、超正常刺激になる母親の養育を誘発する

瞳孔
ヘスは、女性の写真の瞳孔だけを大きく、小さく修正した写真を男性に見せ、瞳孔を大きく女性を男性は、優しい、かわいい、女性的と、小さくした女性をきつい、利己的、冷たいと評価した。ヘスは、男性にとって向いあっている女性の瞳孔が大きいということは、自分に興味のあることになり、瞳孔の大きい女性に魅力を感じるのだとした。雄が好意的な雌に魅力を感じる方が、求愛のコスト、成功率の点で適応的である。哺乳類には、動物の目を認識する回路があるので、それを流用して、目が強調される女性に魅力を感じるように進化している。Hess,E.H.(1975),The role of pupil size in communication.,Scientific American,vol.233,pp.110-119,Nov.
視線
ヒト以外の動物は、視線の方向を隠して、捕食しようという意図を隠し群れの中で、上位にガンをつけるようなことがないように視線をわからないようにしている。人の眼裂は、眼球と同じくらいの大きさに広がり、白目の部分の着色を喪失し、白目が目立ち、視線の方向がわかるように進化した。
Collar
ヨーロッパ人の虹彩は、青く見える。ややメラニン色素顆粒が多いと、青と淡褐色が混合して緑になる。それ以外の色も、メラニン色素顆粒の量と大きさと分布によって説明できる。メラニン色素が少ないヨーロッパ人の目は強い光に弱いので、サングラスを必要とする。アジア人や黒人の目は、茶色であるが、ヨーロッパ人でも日差しの強い地域に住んでいる人も茶色である。

口は、5億年以上前、海中を一定方向に動いている動物の前端に孔があき、栄養物を体内に取り込むようになって形成された。原始的な動物は、口がついている方向に移動するように進化した。顔は口ができることから始まったのであり、摂食器官として顔が形成された。確実に捕食できるように、あるいは、捕食者を察知できるように、口の周辺に目、鼻、耳が配置されその上に感覚器官、味覚、嗅覚、触覚、聴覚が集合した。

口
顔は口ができることから始まったのであり、摂食器官として顔が形成された。

Function
顔は印象形成に大きな影響を与えるが、顔の印象形成に最も、大きな影響をするのは口元であることが示されている。ラムズィ(1983)の研究は、他人の感情は、顔面のコミュニケーションに関わる個所である口と目が最も決定し、好感、嫌悪感を誘発したりすることを報告した。テリーは、顔全体に対する評定と、顔と各部の評定の相関を分析した結果、顔全体の魅力度と最も相関が高かった順位は、1.口、2.眼、3.髪、4.鼻の順序で、魅力度と最も相関が高いのは、口であることを明らかにした。マッカフィーは、顔の評価において、口が眼よりも影響することを明らかにした。通常、口幅の方が眼幅よりも大きい。横顔の美しさに関係が強いのは、口元である。ブルックスとホッフバーグは横顔の可愛いらしさに関し、口元が非常に重要であることを明らかにした。Brooks,V.&Hochberg,J.(1960),A psychophysical study of “cuteness”.,Percept.Mot.Skills,vol.11,p.205.
Size
口の大きさは、白人、黒人の女性は平均5cmで、両目と同じになるが日本人などのアジア人の女性は、4.5cmで全人種中、最も小さく、約1割小さい。アジア人男性は、口の小さい女性を、欧米人男性は、口の大きい女性を魅力的に感じるように人種差がある。ブラッドショーの実験は、口が大きい人ほど間抜けに見え、口が小さい人が賢いと印象を受けることになることを示した。Bradshaw,J.L.(1969),The information conveyed by varying the dimensions of futures in human outline faces.,Percep.Psychoph.,vol,6,pp.5-9.

哺乳類は、おっぱいを吸うので、唇がある。チンパンジーの乳首は長く突き出ているので、赤ちゃんは、容易に乳首に吸いつくことができる。ヒトの場合は、お椀型のおっぱいが進化し、赤唇で密着し、頬で口腔を密閉し、舌で内部を陰圧にして、おっぱいと吸引するように進化した。ディスモンド モリスによると、人類が直立した時に、雌の性器が隠れてしまい、これを補い、陰唇部のコピーしてヒトの唇が進化したのだという。唇が厚いということは、子供の特徴で、女はネオテニーによって厚い唇をもつようになった。唇は女性ホルモンのエストロゲンの作用によって厚く、魅力的になる。赤唇は、口の縁が太く発達し、口の内部の皮膚がめくれあがって出てきたもので、チンパンジーと分岐後に進化した。ヒトの雄が豊かな唇や乳房、腰のくびれに性的に刺激されるのは適応的である。妊娠して子供を作るには、カロリーが必要であり、ヒトのメスは皮下脂肪がある程度以下になると妊娠しなくなるので、ヒトの雄は、体の曲線美をもつ雌に対して、魅力を感じるように進化している。ディスモンド モリスによると、哺乳類は背骨と足の向きが直角であるので、雌の性器を直視することができたが、直立すると背骨の向きと後足の向きが一直線になったため女性器を直視できなくなった。それを補償するために、女性器のコピーとして、唇が進化したのだという。

授乳
ヒトはおっぱいを吸うために赤唇が進化した。

キス
キスは赤唇が存在しないチンパンジーなどの霊長類にも社会的な融和を促進するディスプレイとして存在する。このことは、唇が女性器のコピーとして進化する以前から、社会的なディスプレイとして存在していたことを示している。アイブル アイベスフェルトによると、キスは、親が子供に給餌行動に由来し、さらに、キスしやすいように進化したと説明している。Eibl-Eibesfeldt,I.(1970),日高敏隆,久保和彦訳(1974),愛と憎しみ,みすず書房.
唇を合わせただけで、インフルエンザ、腺ペストなど、278種類の細菌、ウィルスが行きかうことになるが、ピーター ゴードン(英、歯科医)によると、食後の口腔内は、糖溶液、酸性の唾液になり、歯垢の原因になる。キスは自然が作った洗浄プロセスで、キスの刺激で唾液が流れやすくなり、歯垢レベルを正常に戻す。キスをすると虫歯、歯周病に罹患率が減り、ストレスが減少し、カロリーが消費され、誰もが、異性を求め、愛情に飢えているので、キスによって自尊心が高まるとしている。

太鼓の魚類の鼻の孔は、左右に2対で4個存在していた。前の穴から入った水が後ろの穴から抜ける間に臭いをかいで、捕食物、捕食者を察知していた。上陸した脊椎動物が呼吸器を鰓から肺に変えたとき、鼻腔が口腔に開いて以来、空気を吸うための器官として機能するようになった。前方の穴は、鼻の孔になったが、後ろの穴は、目頭に移動し、涙点になり、ここから涙を鼻腔に流す道である鼻涙管ができた。くしゃみは、鼻の中の異物や鼻汁を対外に排泄しようとする防御反射である。軟口蓋は、鼻腔と口腔を仕切っている口蓋で、口蓋垂が垂れ下がっているのであるが、軟口蓋を上にあげて、鼻にいくほうの道を塞いで、息を口から吐き出してくしゃみする。 霊長類の顔が退化すれば、顎の突出を失い、下顔面の横幅も狭くなり、頭蓋骨の内部だけでは鼻腔の容積がとれなくなり、顔の外部に突出して鼻腔の容積を稼ぐように鼻をはみ出させて確保するようになり、鼻とオトガイ隆起が高いままに残った。テングザルの鼻は、雌が雄を性淘汰した形質である

鼻
上陸した脊椎動物の鼻は呼吸器に進化した

鼻のサイズ
新古典派やルネッサンス期の基準では、鼻の幅は、両目の間の距離に等しく、顔の幅の1/4、唇の幅の2/3であり、鼻の高さと傾きは耳に一致し、鼻の長さが耳の長さとだいたい一致する。鼻は、正面から見たときに小さいことは、女性にプラスに働き、男性には、マイナスに働く。横から見た場合、低いと横顔の美が損なわれてしまうことが示されている。
鼻は空気を換気するが、吸気は、気管、気管支を通って肺胞に到達し、ここでガス交換を行う。鼻の役割は、呼吸であり、吸気を肺に域までには加温、加湿することであり、それが、鼻の外部形態や鼻腔の大きさを決定し、臭覚は重要性が低い。 外気が直接、肺胞に接したら、障害を誘発してしまうので、鼻腔は吸気を加温加湿し、肺を直撃することを防止し、鼻毛、鼻粘膜によって、外気のゴミをとらえ、鼻粘膜の殺菌作用によって、吸気を浄化する。 外気と直接肺に入れるとガス交換がうまくいかず、肺を痛めるので、 鼻根部が大きくなり内部の鼻腔が広がるほど、冷たかったり乾燥していたりする外気が鼻腔を通った時に流速が遅くなり、暖めたり湿度を高めたりする。 口呼吸の吸気は肺尖まで届かず、持続的な酸素不足を齎し、学習能力に影響する。先祖は、湿度、温度が高い熱帯の森林の樹上に生息し、鼻への負担が少なかった。乾燥したサバンナに降りてきて漸次高経度地帯に移動し、冷涼な地域に侵入した為、吸気の環境は悪化し、鼻口腔機能は向上しなければならない事態が生じ、口呼吸が始まった。 鼻腔が小さければ、呼吸器疾患に罹患する確率も高まる。加温は、鼻粘膜下に縦横に走る血管によって、加湿は、鼻粘膜下に滲出する組織液を吸収し、湿度は90%を帯びる。鼻腔上部には、嗅部があり、匂いを嗅ぐ。
脳冷却機能
鼻によって、外気が体内で温められることは、鼻を通過する血液が冷却されることになり、哺乳類は、脳が過熱したとき、脳を冷却する機能に利用している。頭蓋骨内の目の後方にある海面性静脈洞は、脳の温度が高くなったときに鼻からの血液を海面静脈に流入させ、海面性静脈洞を通り脳の各部に血液を送る動脈流の温度を下げる機能がある。鼻毛が空気中の塵を除去する。
コーカソイド
酷寒で、乾燥地帯は、鼻腔の負担は増大し小顎化が進行しても、鼻腔は拡大する必要が生じ、咀嚼器官が縮小した為に、外鼻が残ってしまった。 そのため、ヨーロッパや中東の寒冷地のコーカソイドの人には、細くて長い鼻が発達した。湿度の高い、アフリカやアジアの人は、鼻は短くて広がった鼻に発達した。 白人は、上顎骨が縮小し、白人の鼻が高くみえるだけなのである。
ニグロイド
ニグロイドの鼻が低いのは、生活環境の温度が高く、熱帯雨林のような湿潤な環境にいたため、鼻の熱交換、加温の必要性が少ないからである。 北ヨーロッパや中東の空気が乾燥し、冷たい地域の人の鼻は、肺に行くまでに加温、加湿される必要があるので、細くて長い鼻が発達した。 湿度の高い、アフリカやアジアの人は、鼻は短くて広がった鼻に発達した。 黒人の鼻は低くみえるが、鼻梁傾斜度は変わらない。
モンゴロイド
日本人の祖先、寒冷適応した渡来系弥生人の鼻の鼻はアレンの法則によって、小さくなっている。アレンの法則とは、寒冷気候下の動物は、球形にして、突出部分を減らす。 トムソン-バクストン法則とは、高温多湿地域の人種ほど、鼻が平たく低くなることである。コーカソイドと二グロロイドの鼻がある。


鼻
高温多湿地域の人種ほど、鼻が平たく低くなり、寒冷地の人には、細くて長い鼻が発達する

コピー説
フロイトは、人の鼻が男性器のコピーであるとする解釈した。モリスも、ヒヒの一種であるマンドリルの鼻は、青い陰嚢と赤いペニスの形態をしている雄の性器を擬態にして進化し、人も鼻も同様だと主張した。鼻の男性器コピー説は、鼻の進化において環境適応より社会的な相互作用が重要であったことを主張する説である。ガスリーも、霊長類で鼻が強調されていることや、大人の鼻が子供に比較して発達していることを挙げ、この説を弁護した。Gurthrie,R.D.(1970),Evolution of human threat display organs.,In T.Dobzhansky,M.K.Hechet,&W.C.Steere(eds.),Evolutionary Biology,Appeleton-Century-crofts,New York,vol.4,pp.257-302.
鼻と美人の関係
カニングハムは、鼻の大きさと女性の魅力は負の相関があることを示しているが、ヒトの顔の正面図において、鼻は口や目に比較して重要でないことを示した研究が多い。それは、目の認知機能の起源が古いのに対し、突出した鼻はヒトが類人猿から分岐してから顕著になった形質であるので、ヒトの顔の生得的な認知回路において、顔から出っ張った鼻のことを計算に入れるように進化する時間が十分でないことによる。テングザルの雄の鼻は、雌が性淘汰した形質である。


テングザル
テングザルの雄の鼻は、雌が性淘汰した

E-Line
横顔において、鼻と顎の先端を結んだ線をE-ラインという。類人猿、原人、旧人、新人(現生人類)となるにつれて、口もとが後退してくる。つまり、現生人類となるにつれて、口もとがE-ラインからでなくなるということである。食生活の環境適応、性淘汰によって、顎の退化によって、口もとが後退すると同時に頤の形成が進化し、口唇がEラインから後退するようになった。子供の場合、顔は丸く鼻が低く、頤も発達していないので、口もとがEラインよりも突出する。モンゴロイドはコーカソイドよりも幼形であり、女性は男性よりも幼形であるので、日本人は欧米人より、女性は男性よりもE-ラインの外側に唇が突出しやすい傾向にある。 フォスターは、唇がEラインより内側にあるのが美しいとした。Foster,E.J.(1973),Profile preferences among diversified groups.,Angle Orthod.,vol.43,pp34-40.
橋本は、下唇の位置がEラインより内側2.6mmにあるのが好まれるとした。橋本康助他(1977),E-lineを基準とする好まれる側貌に関する研究(第1報),歯学,vol.64,pp.988-995.Ricketts,
瀬端は、Eラインは口もとの出っ張りを計測する基準にすぎないが、口もとが頤や鼻に比べて、出っ張っていないのがよいとした。 瀬端正之他(1972),調和のとれた日本人側貌構成基準に関する研究,日矯歯誌,vol.31,pp.87-104.Ricketts,R.M.(1968),Esthetics,environment,and the law of lip relation.Amer.J.Orthod.vol.54,pp.272-289.
白井は、18歳から24歳の日本人女性の調和群の上唇で1.68mm、下唇で0.03mm、Eラインから後退しており、不調和群はEラインから突出していた。日本人女性の標準群では上唇は平均0.15mm,下唇は平均2.18mm、Eラインより前方に出ていた。白井敏雄(1974),口腔周囲における硬軟両組織側貌形態の比較検討について,歯学,vol.62,pp.625-648. 穴倉によると、正常咬合者の男性の上唇はEラインの内側1.0mmにあり、下唇は0.5mm、Eラインよりも外に出ている。女性に選ばれた男性の口もとは、上唇はEラインの内側2.8mm、下唇は内側0.6mmであった。穴倉浩介(1969),頭部X線規格写真による硬組織と軟組織とについての計測的研究,日矯歯誌,vol.28,pp.263-273.


E-line
E-line

顎の決定要因
犬などの他の動物にも見られるように大脳化と同時に顎の退化が生じている。三木成夫は、骨は負の形であり、筋肉の機能によって骨形態が決定されるとした。Wolfの法則(機能適応の法則)とは骨の形態は、機能によって、適応した形態に変化する。骨形態は、筋肉の使用形態によって影響され、筋肉は、骨を支配する。筋肉によって、骨の大きさ、歯並びが決定される。筋肉は、神経に支配される。三段論法からすると、神経が骨、歯並びを決定することになる。特に、顎、歯並びは影響が強い。 進化とは、環境によってある特定の遺伝子しか残れないような状況が生じる現象である。ド ビーアによると、霊長類の胎児がそのまま幼形成熟したものが人であり、性器も成長とともに後方に行くべきものであるのに、性器が前面にある。遺伝子が変わらないが生活の影響で変化がおきる現象に、顔や歯並びがある。人の顔も、幼形を保ち、あごが突出するべきものであるのに、突出しないので、下顎が後退したままである。そのため、下顎下縁平面が急傾斜になって下顔面が長くなる。下顎前歯は、下顎下縁平面に直角に萌出する傾向があるので、下顎前歯は前方に傾斜するようになる。上顎前歯はこの下顎前歯と咬合しようとして出っ歯になる。顎が後退しても、頤は位置を保つので、頤は突出して残り、頤筋習癖が出現する。江戸時代の人の歯列は、顎が小さくなって親知らずが歯列に入らなくなっていた。徳川家康の顔は短顔型をしていたが、徳川家康から、200年後の12代将軍、家慶(よし)、13代、家定、14代、家茂(もち)の顔は変化し、頬骨の後方に付着している側頭筋が細くなり、顔の幅も狭まり奥行も減り、下顎が後退し、出っ歯になっていた。

徳川家
徳川家康から、200年後の12代将軍、家慶(よし)、13代、家定、14代、家茂(もち)の顔は変化

不正咬合
ネオテニーは固体発生に伴う発達遅延の現象であるが、ド ビーアは、それを系統発生に迄、拡大し幼形進化なる概念を提唱し、人類進化に及ぼした役割の重要性を強調した。幼形進化とは、系統発生上、祖先の幼形における諸特徴が子孫の生体に出現する現象を言う。チンパンジーの幼形は、頭部は円形で顔面の突出は少ないが、成体になると頭部は平坦になり前後に長くなり顎が突出し、猿の幼形は顎が平坦であるが、成長に従って顎が前方に突出して猿顔になって形態の特殊化が生じる。それが人には、生じないので不正咬合になる。

矯正治療
 



アムステルダム大学解剖学教授のルイス ボルクの人の胎児化説によると、猿は成長過程で、脊柱尾部や膣が真っ直ぐになるのであるが、人は大人になっても胚期の脊柱尾部の湾曲状態は変化せず、又、顎が前方に突き出さず、顔面が平坦で後退傾向にあるので幼形のまま大人になった性的に成熟した猿の胎児であるという。その為、姿勢が悪くなり腰、頚部痛、顎関節症を持つようになった。顎が下がっているからバランスを取ろうと頭を前に出すので、それを支える頚部の筋肉が疲労し、頭を前に出すと顎が後退し不正咬合に発展させ、後部神経を圧迫し、顎関節症を誘発する。
ラマルクの説を擁護するパウル カンメラー(オーストリア)は、サンバガエルの第1指のイボ(婚姻瘤)は水中で、交接する時、雄が雌の背中からすべりおちないようにする為の隆起)は、必要に迫られると生じ、それが遺伝すると主張し相手にされずに自殺してしまった。ラマルクは、獲得形質は遺伝すると考えたが、遺伝することを実証した人はいない。たとえば、食性で不正咬合になったとしても、その人の子は不正咬合になるとは限らない。それは、分子レベルでみれば、獲得形質が遺伝する為には、獲得した形質から少なくとも、タンパク質からDNAやRNA(遺伝子)への逆翻訳がなければならない。形質を子孫に伝えるのは、遺伝子だけだからである。
Nature Vol.428,p417,2004で、顎が弱くなった理由を2004年、米国チームが「ネイチャー」誌に発表した。研究チームが顎の筋肉を形成するミオシンというたんぱく質を作る遺伝子を調べたところ機能していないでジャンク領域になっている。チンパンジー、オラウータン、マカクザルや犬などで働いている。手足や心臓などの筋肉の場所によって異なるミオシンの種類は異なる。ヒトでは、顎の筋肉で働くべきミオシンの遺伝子が突然変異によって、ジャンク領域になっている。類人猿では、この遺伝子が作りだす強靭な筋肉が頭骨を被覆している。小顎化をもたらした突然変異が生じたのは、240年前、猿人が原人に進化し、大脳化始めた頃と一致する。
顎の筋肉で抑制されていた頭の骨が遺伝子の突然変異で解放されて大脳化、不正咬合が始まった。顎の弱体化の変異は、人類が石器を使い始めた頃と一致し、石器使用が個体の生存を可能にした。条件が整った時の突然変異は次世代に伝達され、遺伝子が蓄積される。次世代に伝達される突然変異の割合は一定なので、突然変異の数から年代を推定でき、分子レベルで起きる突然変異の数が時計の針の役目を果たすため、この仕組みを分子時計という。筋肉を形成するミオシンというたんぱく質を作る遺伝子が機能しなくなったことで大脳化が進み、人類は新たな遺伝子の獲得ではなく、遺伝子の退化によってもたらされた。

不正咬合
胎児化現象によって、不正咬合が生じやすくなる。


口腔は、摂取器が、歯の成立とともに捕食器になり、哺乳類になると、唾液腺の発達とともに、咀嚼器に転じた。夜行性から昼行性になり、臭覚が退化し視覚の発達しだした。口裂が狭窄し、唇、頬が形成され、哺乳が効果的になった。霊長類は、特徴がないところが特徴といわれ、非特殊化の哺乳類である。特殊化しないのは、霊長類が生息した環境が森林という捕食者に攻撃を受けないで、生存することが可能な場所だったからである。ヒトの特殊化は、直立し、手が自由になり顎を使用を減らし、顎、歯の咀嚼器官の退化をもたらした。さらに、両性は、顎が後退するように性淘汰した。口腔の退化は、言語器官へと進化させた。
アレンの法則とは、寒冷気候下の動物は、球形にして、突出部分を減らすことであるが、ヒトが移動し、寒冷地域に移動し、顎の突出を減らした。そのことによって、口腔は共鳴し、唇音を作ることが可能になった。鼻腔、咽頭腔、副鼻腔、胸腔などの共鳴によって言語形成をおこなう。喉頭上縁から口唇部までの管状部は共鳴管として機能を果たす。軟口蓋と喉頭との間は、ヒトでは、離れているが、哺乳類は、離れていない。その為、ヒトは、呼吸しながら、水を飲むことができないが、乳児は、啜乳中、呼吸が可能である。頬、唇の完成、口裂の矮小化、顎の後退、退縮、隙っ歯が詰まることが発声を有効にした。言語と引き換えに、不正咬合が始まった
言語行動には、高度な中枢神経だけでなく、発声の為の頬、唇の発達が必須だった。新人類では顎が、急速に縮小化し、言語の使用が向上した。その結果、不正咬合が出現するようになった。顔面頭蓋は退縮し、オトガイが形成される。
人は文化を作りだしたが、その文化が人の体質を変え、形質に影響し、進化させて、ヒトと作り上げ、たとえば、食文化は顎の退化に拍車をかけ、不正咬合に発展させた。その為、人類の進化は、他の生物と質を異にし、生物進化と区別し、Hominization,人類化、ヒト化という言葉が使われるようになった。アイクシュテットは、ヒトが文化を作りだしたというより、文化がヒトを作りだしていることを示した。人類は、すべてのヒト科の中のヒト属、ヒト種であり、ラテン名ではホモ(属名)、サピエンス(種名)である。
Dental Treatment
メディアは、人の信念、価値感、態度に影響し、行動のモデルを提供する。メディアが作った歯並びがきれい、歯が白いというような外見の基準、価値は、人に圧力をかける。メディアは、非常に容姿の良い人を描写するという偏りをもち、平均レベルの上昇を図り、劣等感をうみ、それを治させようと圧力を加える。メディアは、容姿の良い人を肯定的にしようとするが、ハンディがある人を肯定的にしようとはしない。メディアは、準所集団に同調したいという欲求をくすぐり、テレビ番組は、社会的現実の反映だと思うので、矯正、審美歯科治療を受けようとする動因が作られてしまう。
Orthodontics
口腔は、食べるために必要なので、大きさを保持する必要がある。幅が減った分、長さで稼ごうとする。口は後退するが、鼻の容積を稼ごうとして細長い顔になり、不正咬合、歯周病、顎関節症、睡眠時無呼吸症候群を誘発しやすくなった。顔が後方に成長し、睡眠時に気道が閉塞され、呼吸ができなくなってしまう。この変化は遺伝子の変化ではなく、食生活環境が変わったことによるので対策として、口を閉じる、固いものを食べるなど、そのライフスタイルを変えればもとに戻ると考えられる。

矯正治療
矯正治療


モンゴロイド
人種は大きく、二グロイド、コーカソイド、モンゴロイドに分類される。モンゴロイドは、シベリアのツングースの集団などにみられ、アレンの法則によって、両眼の間の鼻根部が低くなり、外鼻も丸くなり、前突しない。鼻腔は側方に拡大し、頬骨は前方、外側方に広がり、顔幅は広がる。ツングースの眼裂は、頬骨に押されてつりあがり、上下の眼瞼の内部には、脂肪が蓄積し、寒気から眼球を保護する。鼻は低く、細く、鼻孔も小さい。目は細く吊りあがり、頬骨は突出し、顔の幅は広く、平面的になる。旧モンゴロイドの子孫で、ウルム期末に、氷河に囲まれた北シベリアに寒冷適応を強いられた人々である。後氷河期の世界になると、身体上の適応だけでなく、文化上の適応を遂げた新モンゴロイドは、南下し、各地の原住民を吸収し、モンゴロイドの先祖になった。アレンの法則とは、寒冷地のものほど体幹部からの突出している部分、耳介、尾、下肢などが短小化することである。カニクイザルとニホンザルの尾、砂漠キツネと北極キツネの外耳などがある。旧モンゴロイドは、寒冷適応を経ていない、今日のアメリカインディアンが当たる。北部モンゴロイドは、氷河に囲まれた新モンゴロイドの典型が、ツングースなどの北部モンゴロイド中部モンゴロイドは、中国人。南部モンゴロイドは、インドシナ半島に分布する。日本人は、南部モンゴロイドを基幹として、北部、中部モンゴロイドが加わっているとされている。
皮膚
人種間の体表の皮膚の色の差異は、純粋に生態学的適応の結果に基づく。皮膚の色の濃淡はメラニン色素の多少によるものであり、紫外線に対する適応の結果である。低緯度地帯の人は、紫外線が皮膚に到達すると、日焼けを起こし、皮膚癌を誘発することを防止する為に、グローガ法則に従って、メラニン色素顆粒の沈着することによって黒い肌をもつことによって、環境に適応した。紫外線はビタミンD形成を促すために必要であり、高緯度地帯の人は、紫外線の少ないので、メラニン色素が少なく適応し、コーカソイドの中に白人が生じた。虹彩、毛髪の色素が減少し、白い肌、青い目、金髪が出現した。グローガ法則とは、恒温動物では、高温多湿地帯のものほど、低温乾燥地帯のものに比べて、皮膚色素沈着大になることである。二グロイドは、熱帯に適応した黒人で、肌が黒く、鼻が広くて低く、唇が厚く、口元は突出し、縮れ毛である。コーカソイドは、寒くて、曇った環境に適応した白人で、肌が白く、鼻は高く、唇は薄く、茶色や黄色の頭の毛を持つ。白人は体は大きいが頭は栄養や人種の差で栄養うけにくい箇所であるので、頭の大きさは日本人と同じである。モンゴロイド寒くて、日差しの強い環境に適応した黄色人種である。アボリジニは、オーストラリアの原住民に代表される人種である。ダイアモンドは、著書「人間はどこまでチンパンジーか」で皮膚の色は、性淘汰が関わっているという。 ダイアモンド、人間はどこまでチンパンジーか
性質が他個体から好まれることが適応因となって進化するというセクシーサン説がある。その好まれる形質が寄生生物への耐性などの何らかの環境適応的な性質の指標になっている場合や、選考される形質にある程度以上の突然変異の供給が存在する場合などもある。しかし、配偶者選択に際し、相手の容貌を気にすること自体、婚期の遅れなどの負の適応価がある。
身長
女性は、派手なものに魅かれる。雌のつばめは長い尾を持つ雄を選ぶ。雌の蝶は、派手な雄を選らばれる。尾の長い孔雀やツバメは生存能力も高く、寿命も長い。雌の熱帯魚、ソードテールは長い剣を持つ雄しか選ぶ。大きな飾りは、対象的であり、雌は対象性を好む。対象性は、免疫システムが発達している。のどが派手に赤いイトヨは、茶色の♂を威嚇し、卵を食われる率が少ない。 身長が平均以上の男性は、資産、性的特権に恵まれる可能性が高くなる。最高経営者のほとんどは、背が高い。雇用責任者は、背の高い男性を選ばれ、身長が収入に影響する。精子ドナーを選ぶ女性は、背の高いドナーを選ぶ。遺伝子は、成長の上限を用意するが、そこまで到達できるかは、生活環境が左右する。上流階級は背が高く、下流階級は背が低い。背の高い人は、繁殖率の高い系譜を引き継いでいる。しかし、背の高い女性は、社会的に不利である場合がある。
女性化
母性本能から由来し、女性化され、ソフトな感じのする顔を好む。外見だけでなく財力を求め、それを自分や子供に投資してくれそうな男性を好む。男性ホルモンの多い男性の顔は、強さと支配性を感じさせるが、誠実さや優しさを感じさせないので選ばれない。
社会的地位
高収入が見込まれる女性は自分以上の収入のある男性との結婚を望み、低収入の男性との結婚は望まない。高収入が予想される女性程、配偶者の経済力を重視する。
男性の好み
結婚相談所では、女は履歴をみてから顔を見るが、男は顔を第1にみる。男が、顔がかわいく、処女を第1選択基準にしてしまうのは、過去において、こどもを産めていたからであり、男が潜在意識的に良い子供を産めることを理解し、その方が適応的だったからである。
性的刷り込み
男性の異性の好みは、母親に影響されている。生まれた時、母親が30歳を超えていた男性は、30前で産んだ男性より年増した顔を選ぶことが多くなる。親と似た異性を選ぶのは、性的削り込みの一種であるが、男の方が強い。 赤ちゃんのある時期に眼帯をつけると弱視を誘発される。観る能力に臨界期があることを物語っている。赤ちゃんが顔つきを見定め、その表情を読み取るようになるにもこの時期の削りこみが大切である。
同種
人は、自分の種族の顔の特徴を好む。自然界において、自分に似た相手に惹かれる現象を同類交配という。パトリック ベイトソンは、ウズラも、直系のいとこを余計に眺める傾向があり、ほどほど見慣れない相手という微調整された好みが働き、人間にも当てはまる。好みは、ウズラと同様、子供時代の体験にも影響されることを示した。人は、自分の家族に似ている相手に近親感をいだく、家族は、美しさの雛形として作用する。
幼形
脳が大きくなるほど、未熟な状態で生まれてくる必要があった。スティーブン ジェイ グールドによると、幼年期の特徴を持ち続けるのは、自然選択の圧力が加わった結果であり、長い幼年期と呼んだ。ルイス ボルクは、1926年、類人猿の胎児や幼児に見られる特徴のうち、人体の構造にも現われているといえるものを列挙した。顎が後退し、突出していない。額が広い。体重に比し、脳容量が大きい、などを挙げ、ヒトは性的に成熟した霊長類の胎児だとした。進化するにつれて、ネオテニー的要素がより多く残っている。 動物の幼児は、信号を出し、それを傍受した大人が保護や世話をしようとする。顔は縦幅が横幅よりも大きい。子供は縦横比が1:1に近いので、可愛い。
ベビーフェイス度
かわいい幼児は、顔の造作が真ん中にとまっていて、眼と瞳孔が大きく、額が広い。大人でも、ベビーフェイス度と相関が強いのは、目の大きさ、丸い目、小さい顎、高い眉である。 カニングハムは、ベビーフェイスは、正直で、頭がよく、社交性が高く、健康、温かみ、誠実、純心、親切などという人格特性と有意な相関を示した。 Cunningham,M.R.1986 Measuring the physical attractiveness:Quasiexperiments on the sociobiology of female facial beauty.Journal of Personality and Social Psychology,50,925-935
かわいらしさ
女が男に期待するのが、背の高さである。サマラス博士によると、脊が低い方が長生きしている。 男が女に期待するのが、かわいさ、処女、ウェストヒップ。ヴィクター ジョンストンは、男はかわいいい女性を見る時に限って脳波が揺れることを見つけた。性の決定は、X染色体を2本持っていると女、XとY染色体を1本づつもっている男になる。Y染色体には、睾丸を作る遺伝子があり、睾丸は、男性ホルモンを形成し、男性脳を形成する。美女の基準は、顎が細いこと、目が大きいこと、下顔面が短いことである。
幼形
鳥類も哺乳類も子供の時は丸い顔つきである。ローレンツによると、親の保護を得るために丸くなったのだという。女性に残っている可愛いと思える幼形は、男性に欲情を起こさせるために残った。美醜感は、可愛いいかどうかに近い。男性の性欲は攻撃欲求に基づく。自分より弱そうと思える相手に攻撃欲求が生まれる。男性の性欲は、自分より強そうな女性に性欲は生まれない。か弱く、可愛いと思える女性と男は刺激され、性欲が生まれるように進化した。適応度を上げるために、なるべく環境に適した形質をもつ配偶者を選ぶように淘汰圧が加わり、可愛い、幼形を選ぶようになった。
ジャネット マン(心理学者)によると、生存のために、子供は、幼形が必要だった、肉体的な美に対する反応は反射的なものであり、幼い時から、人の心に根付いていることを赤ちゃんが教えてくれる。子の生命力を感じ取れる母親が自然淘汰されてきた。原始時代の環境では、子が生存できるか、愛情を傾けるべきかどうかを早期に判断する手がかりは、その子の外見だった。貧しい家庭では、生存の可能性の高い方に愛情を傾ける。進化の過程で、母親の繁殖適応能力を高めるべく作り出されてきたメカニズムの働きによるものである

baby face

ヒトの男は可愛い顔に反応するように進化した


新人
新人の顔面の特徴を頭部が球形に近くなることにより、おでこが広くなっていること、眼窩上隆起の退化、頬骨の縮小、口もとのでっぱりの退化、顔の骨の出っ張りの部分が少なくなっている。
女性
D.I.ペレットは、男女の顔は、平均化より、女性化した顔が好まれることを明らかにした(ネイチャー,399巻,p741~742,1999年6月24日号)。ヒトは、ネオテニー(幼形成熟)が生じ幼形の傾向をもつ。男女が性淘汰してきた結果、大きな頭、まつげ、丸みを帯びた体型、体毛の少なさ、しわのない肌をもつ。
男性は、女性の可愛い外見を好んでいたため、女性により幼形が残っている。男にかわいさがあると、社会的な順位や地位をめぐって対立場面で不利になる。身体的、精神的に劣っているように判断され、社会的優位に立てないと印象を与える。女性の好みは、男性を強調した超男性顔よりも、男性と女性の中間的な顔を好む傾向がある。
なぜモンゴロイドが幼形を残したか
新モンゴロイドは、北方シベリア方面で進化し、アレンの法則で、体の出っ張りが減少し、丸くなり、体温を保つため体積当たりの体表面積を減少するように淘汰がかかり、幼形成熟が選ばれたプレモンゴロイドの個体群の遺伝子プールがより寒冷化に適した。幼形的な方向に適応度の極があるのだから、幼形的な形質を配偶相手に選ぶことにつながる心理形質、可愛らしさを重視する心理傾向、ないし、脳内の生得的な美の原型が、幼形的な方向にずれているといった形質が選択されて、個体群内に固定した。このような容貌選好が個体群内に固定されると、性淘汰を通じて寒冷化適応とは一致しない形質にまで影響を与える。

モンゴロイド

モンゴロイドの女性


なぜ、かわいくなったのか
哺乳類は、少数で、確実そだてる戦略をとるように進化した。赤ちゃんがかわいいのは、親に子育てする為の自然の法則である。赤ちゃんは、胎児の間に脳が発達し、目から上の部分が大きくかわいい。赤ちゃんのかわいい顔は、子育ての仕組みから生まれた種の保存に必要なのである。授乳している為には、かわいいという顔のシグナルが必要である。鳥は、子供がつつくとか、泣き声とか、色とかが引き金になって養育が解発されるように進化した。哺乳類の子育ては、手間がかかるので、親に関心を引く顔である必要があった。 あかちゃんの顔のつくり
赤ちゃんの目が下にあるのでかわいく見える。目が下にいくほど、幼く見える。赤ちゃんは、顔に対し、目が大きく。目の黒い部分が大きく占め、白目が少ない。哺乳類は代謝が早いので、消化を良くする必要があるので、咀嚼する。その為にも唇がある。ヒトは、口の中の粘膜が捲り返った赤唇がある。ヒトのおっぱいは、皮下脂肪が多く、出っ張っているので、乳首がとびでていないので、赤唇が必要になるのである。
超正常刺激
動物の容姿選択で、標準的な形質が好まれるのであるが、いくつかの形質について標準よりも極端なものが好まれる現象がある。 動物が選択や嫌悪において、燕の極端に長い尻尾、孔雀の大きい羽根のように、現実にはありえないほどの極端な刺激を超正常刺激とよばれている。人のばあいも、中庸的な形質が好まれるが、幼形とか、大きい目とか、体や顔が幼形なのに胸が大きいとか、極短な形質が好まれ、超正常刺激として、男性を興奮させる。魅力がないと雌に選択されないので適応度を低めることになる。ツバメの雄は、尻尾が長いほど雌に好かれる。非現実的でありながら魅力的な形質は種内に固定され続けることになる。モーラーの研究によると、長すぎる尻尾をもつことは、非現実的の増大が大きくなりすぎ、環境は非適応的になるので、結局、尾の長さからもたらされる性的な成功と、長い尾の非実用的性からくる環境への不適応が均衡する長さに落ち着くことを示した。 Molar,A.P.(1989),Viability costs of male tail ornaments in a swallow.,Nature,London,vol.339,pp.132-135.
ダグラス ジョーンズの研究によるとモデルの顔の特徴は、幼形で、紺ヒューたーでの推定年齢は、6,7歳であった。ダグラス ジョーンズはこれを「超常刺激」と呼び、モデルは、自然界における通常の比率を超えて誇張されているという。リチャード ドーキンス(生物学者)は、トゲウオに独自の超常刺激を「セックス爆弾」と呼んだ。トゲウオの模型を作り、腹の部分を膨らませると雄は交尾をしようとする。トゲウオの模型の腹を梨型にし、現実より誇張するほど雄の欲望を誘う。幼形の顔、体で、胸やお尻を誇張したAVもセックス爆弾を作ることを意味する。男性は、女性の幼態保持;ネオテニー的な幼げな特徴、無力で頼りないものに強く反応する。男性にとって、女性の幼形、幼形にも関わらず発達した乳房は超正常刺激になる。

平均化
ダーウィンのいとこであるサー フランシス ゴールドンは、犯罪者の顔を平均化して、合成した顔を作って、犯罪防止しようとしたら、美しい顔ができ、美の基本は平均化にあることに気づいた。 顔を平均化して合成すると美しく、かわいく、バランスのとれた魅力的な顔になる。左右のバランスがとれ健康的に見える。 チンパンジーと人間のDNAの違いは2%、ヒト間は、0.02%である。その違いが、個性ということになる。個体によって変動する非対称性をフラクチュエイティング アシンメトリーといわれる。ランディ ソーンヒルは、1.人間の美しさは、顔や体の対象性の程度によって決定される。2.人間の顔や体の対象性は、病気への強さに相関しているという考えを示した。彼は、1,2の条件を満たしていても、不細工は存在するとした。美の基準は対象性だけでなく、平均化された顔も指摘した。平均化された形質は、環境に適応しているとした。カール グラマー(独、社会生物学者)も、平均的で対称的な顔が最も美しいという考えを支持した。
Symmetry
美の基準は、レオナルド ダビンチも対象性にあると考えた。対象性とは、線や平面や中央軸を境にした左右の形が同一であることである。 アリストテレスは、肉体美に世界的な規準があると主張した。右左対称を含めたバランスの取れたプロポーションがある。2歳児ですら、左右対称の顔の写真を長く見つめる。 ダーウィンのいとこのサー フランシスコ ダーウィン犯罪者の平均合成写真を作ったら、平均化され、美に近づくことが判った。統計では、対象性の顔をした男性は、性体験が4年早く、数3倍である。ツバメの場合、ある人の実験によると、雄ツバメは繁殖地に到着して約10日で交尾できるが、長い尻尾を持つものは、2日半で、尻尾を短く切られると12日、左右非対称性にされた場合は20日かかった。ダニを放逐された巣の雄ツバメの尾羽の非対称性が著しくなるが、雌はダニが居ようが居まいが尾羽の長さに影響しない。 Evolution
ラルフ ハロウェイは、1972年、トゥルカナ湖で発見された200万年前のホモハビリスの頭蓋にブリーカ領があり、左右の脳の大きさが非対称性に異なって、チンパンジーより高度な言語を使用していたことを示した。ハロウェイは、言語は、アウストラロピテクスの出現と同時に始まったとしているが、リチャード リーキーは、ホモハビリスが言葉をもたらしたと主張した。ニコラス トスは、オルドワン石器伝統の担い手は右利きであり、左脳が少し大きいことを示した。左右の脳の機能分化から言語能力は、すでに発生していたことを示した。 J.T.マニング(リバプール大学)は、オスの孔雀の玉模様の数が多いほど、配置も対称性であることを発見した。犬歯の対称性が喪失しているのは、チェルノブイリ同様、環境破壊、汚染が原因である。博物館に保存されているゴリラの標本では1850-1980にかけて100年以上の間に左右の犬歯の対称性がなくなっている。特に20世紀初頭からの変化が激しくなっていることを発見した。 Development
胎児が母体内にいるとき、母親が病気に罹患すると、顔の発生、発達に影響が出て、顔に非対称性が出現し、醜さの原因になることが知られている。Fluctuating Asymmetryとは、カニのはさみのように、すべての個体に一貫して左右差があるのではなく、個体によってバラバラであることをいう。これは、必ずしも寄生生物による影響ではなく、遺伝子の欠損、有害物質の影響で生じることもある。ランディ ソーンヒルによるとは、この原理は、人間にも当てはまり、顔が良いほど、体の対称性が高く、健康、運動能力、精子の機能にも相関していることを発表した。 女性の体型については、男のこのみは文化によって決定されている。でぶが魅力的な分化のある。 均等の取れた相手にひきつけられるのは、遺伝学的に頑丈な交配相手を選ぶために進化してきた動物的なメカニズム。
平衡理論
衡平理論は、社会的交換関係における成果の分配を扱う理論であり、この理論によると、人は、不均衡を感じると2つの基本的形態をとる。1.衡平を回復しようと1.補償を図る、あるいは、2.正当化する。人は、報酬、損失を経験する。交換における報酬から損失を引いた最終的な結果は、交換の成果とされる。不均衡な交換に対し、その両者は、公平に反応することで、不均衡状態を改善しようとする。人がルックスの類似した異性とカップルになるという事実は、交換市場、平衡モデルが適合する。外見の魅力が類似している異性を配偶者として選択する。 人は、美男美女を望むする傾向が顕著がある。お見合いなどで、相手が美男美女の場合は、本人が醜形であっても、自分に相応しいと思い、相手が醜形の場合は、好意を感じず自分にふさわしくないと考える。 しかし、人は、自分と同レベルの異性を恋人に選ぶというマッチング仮説というのがある。それは、魅力ある相手には、断られるという拒否の恐れと、醜形ではプライドが許さないという双方の心理が働く為に生じる。人は、相手がどのくらい類似しているか類似性の要因を重視している。 カップルの顔が不釣り合いな場合、外見が魅力的でない方には、収入が多く、高い職業的地位にあるとか、非身体的属性があるはずであると考えられ、男性が美しい女性と関係があるとすると、その男性は、印象が向上し、好意的にみられる。しかし、男性が、外見が魅力的でない女性と関係があるとすると、好意的に見られなくなる。魅力的な女性は、魅力的でない男性と関係があるとすると肯定的に評価される傾向がある。
老化
性成熟し、顔が大人の顔になるのが10代の後半である。親を刺激する顔から異性を刺激する顔に変化するのである。成熟し、老化していく。大人になった瞬間に老化が開始される。 筋肉や靭帯の付着部位や刺激を受けるところの骨が増殖し、えらが張ったり、腰が大きくなったりする。 皮膚の中の弾性繊維が劣化し、皺、たるみが形成される。骨に凹凸ができる。眉が離れてくる。新しい毛ができないので、そのままの毛が伸び、耳の毛、鼻毛が長くなってくる。 唾液の分泌が少なくなり、唾液の殺菌作用が弱まり、歯周病が振興し、口臭もきつくなる。 マセスによると男性が女性の魅力を評価する場合、女性の年齢が10代以降、年齢とともに低下する。女性が女性を評価する場合も、男性ほどではないが、年齢とともに評価が下がるが、男性の魅力は、加齢の影響を受けにくいことを示した。より繁殖力の高い女性を配偶者として選択することは、子を作るという点では適応的であるからそのような女性を選択する形質は進化するし、女性もそのように見せるように進化する。 Mathes,E.W.,et al.(1985),Ratings of psychological attractiveness as a function of age.,J.soc.,J.Soc.psycholo.,vol.125,pp.157-168.
顔が良いと
均整の取れた男は、繁殖力も高く、セックスの初体験が4年早く、浮気の回数も多い。プロポーションの良い男性とのセックスは、オーガズムに達しやすくそれによる収縮で精子をより吸収する。 魅力的な人は、肯定的相互作用の経験が多い為、自信ある行動パターンを形成する。男性は、魅力的な女性のとなりに座りたがるが、魅力的で、自己評価も高い男性が隣に座る傾向があり、男性は、魅力的になるほどデートを受諾する可能性は中程度や低い魅力をもつ女性より有意に低く見積もる。自分が魅力的だと自己評価が高い男性は、女性をデートに頻繁に誘うが、自己評価の低い男性は、デートの受諾の可能性を低く見積もり誘わない。魅力的な男性は、異性関係が華やかなになり、他の同性をブサイクと思う。容姿が魅力的な男性は異性関係が激しいが、魅力的な女性には、そのような有意は存在しない。 ルックスによって、行動特性が決定されるので、悪いなりの性格、行動が決定される。矯正治療などによって、内面的な変化が生じ、うまくコミュニケーションができるようになれば、不安は減少し、自信を持てるようになることがある。知性には、対人知性と論理的知性があるが、対人技能訓練は、対人知性を発達させる。対人技能訓練には、教示、模倣、行動の反復練習、強化、割り当てが含まれる。対人技能が高まれば、自分を客観視し、適応的な社会的発達が促され、ルックスに関係なく、他者から好意的な印象、行動を誘発する。対人技能訓練には、行動のロールプレイ(役割演技)、モデリングおよび、コーチ(直接のフィードバックや指導)がある。 子供の幼児期の体験は、子供の自己認識の形成に寄与し、子供の外見の魅力と反応の背後にある内的過程が、その人の性格を発達させる。外見の魅力が他人に異なった期待を喚起し、他人から異なった社会的交換を誘発し、この社会的交換から発達的変化が生まれる。外見に良し悪しは、異なった反応を受け取り、異なった対人イメージ、自己への期待、対人上の人格スタイルを自己の内部に定着させる。他人から魅力的と思われた人は、そのように行動が変化して、魅力的に振る舞い、自己成就予告が起こる。社会環境からのフィードバックによって、魅力的な男性は、対人技能能力は高くなり、その社会的波及効果は、社会的行動に強く影響する。 美しい人は、人付き合いがうまく、自信があり、否定的な意見にもめげない。自分の容姿というのは、社会生活に影響する。自己評価の確かさについて主観的な確信が社会的リアリティと呼ばれ、社会的リアリティが高まる程、自己評価が安定し、日常生活での適応度が高まる。容姿が優れている、あるいは劣っていると思っている人は、社会に対して適応度が低い。自分の容姿が他人と比較して平均的だとみなしている人は、周囲に比較する人がいるので、自己評価が安定し、適応度も高くなる。
自分の性格
ルックスが良い人は、ちやほやされるが為、高い自尊心を発達させ、この自尊心の形成が、野心や成功を志向する人格特性の発達させる。逆にルックスが歯並びが悪い人は、無視され、社会から退却を余儀なくされ、非社交的で、自己防衛的に人格特性を形成する。ルックスを損なうことが、その人の自尊心を低下させ、社会的、経済的チャンスを失わせる。男性の魅力と女性との性的関係には、有意な正の相関が存在するが、女性にはない。男性の外見の魅力と同性との過ごした時間との間に優位な負の相関が存在している。女性には、その関係は存在しない。ルックスの良い男は数多くの女性と性的関係を作り、同性と居る時間が少ない。
他人の行動
人は外見が違えば、知覚され方も違い、扱われ方も違ってくる。ルックスが良い人ほど、好意的に処遇され、魅力的な人が何かしてほしいと認識したら、人はそうするように動機づけられている。外見が魅力的な人を喜ばせ、魅力的な人に受け入れられたいと動因が喚起される。魅力的な人は、生理的ストレスを低下させ、醜形は生理的ストレスを増加させる。しかし、容姿の良い人は、自己中心的、俗物的、功利主義的と判断される。男性はあまり魅力的な女性には、手を出せずに回避する。又、美女は、社会的、性的にも楽しい人生につながるが、自惚れや自己中心性にもつながる。ルックスが魅力的な男性の悪事を読んだ女性は、容姿が魅力的と評価しなくなる。 ラングロアの研究によると、クラスメイトからルックスの良い男子は、向社会的な行動、又、反社会的行動もしそうにも思われ、年齢とともに増加する。魅力的な男児は、有能な行動をするとも、無能な行動をするとも判断される。魅力的な男子は、同性から嫌われ、年齢とともに、増加するが、女子は有意はなかった。魅力的な女児は、魅力がある女児は有能とみなされ、反社会的行動と無縁と判断され、好まれる傾向は年齢とともに増加する。ラングロアによると、8歳までの間にクラスメイトは、魅力的な子供を肯定的に評価するようになり、魅力的でない子供を否定的に評価するようになる。子供は、6歳までに容姿によるステレオタイプを確立していると思われる。 ディオンの仮説によると、魅力的な子だと悪いことをしても、いつも反社会的な行動をする子供だと判断されることは少ない。クラスメイトは、魅力的な子は向社会的行動を行い、有能と判断し、魅力的な容姿の子を好む。容姿は、扱いに影響し、良い人は、良い扱いを受け、悪い人は悪い扱いを受ける。人は魅力的な人の態度、行動を手本にする。反対に、人は、他者がステレオタイプ化された期待どおりに扱うことで、他者を期待された通りの行動を取らせる。魅力は、社会的強化、認知的均衡、古典的条件付けの原因になる。ステレオタイプ化された期待は、外見から異なった分類される人たちに、それぞれ、期待される行動を誘発するような扱い方をしてしまう。 人は、ルックスの魅力的な異性を自分と同じような行動をし、同じ思考、趣味を持ち、同じ態度の持ち主であると思いたがるだけでなく、思いこんでしまう心性がある。女性のルックスの魅力的な男性に対する思いこみの傾向が顕著になる。ルックスが魅力的な人は、自分と態度が類似していると考える因果的判断によって好意的に扱われる。魅力的でない人は、態度が異なっていると知覚される為に、他人から否定的なフィードバックを受けることになる。有権者は、ルックスの魅力的な立候補者の意見を自分と似ていると知覚するので、選挙ではルックスが勝つ重要な要因になる。
他人の評価
テイラーは、小学1年生の人気と容貌に正の相関があり、身なりのだらしなさ、ボス的なふるまいとは負の相関があることを見つけた。Tyler,L.E.(1951),The relationship of interests to abilities and reputation among first-grade children.,Educ.Psychol.Meas.,vol.11,pp.255-264ハーロックは、青年期に人気の要因になるのが、身体的魅力であることを挙げた。Hurlock,E.B.(1955),Adolescent Development(2’nd),McGraw-Hill.社会全体での相関現象を学習して、それを個人に当てはめることによってハロー効果が発生する。現実には容姿の良さと道徳性にほとんど関係がないにもかかわらず、未知の要因によって容姿の良さが道徳性の高さにハロー効果を及ぼす。ニクソンは、ケネディに敗れた後、州知事選にも負けて、整形手術を受けて、大統領選に出馬して大統領になった。 ワルスター(米、心理学者)は、デート後に、もう1度会いたいと思わせるような人の特徴は、容姿の良さで、自分の容姿の良し悪しにかかわらず、相手の容姿がよければよいほど、OKという結果が出た。異性の何を重視するかと質問すると、人格、性格、見栄え、知性の順だった。しかし、実際は、見栄え、人格、性格、知性だった。学業成績とデート相手として好ましいかは、関係がなかったことが判った。容姿がよいものは良い容姿の異性を選ぶというマッチング仮説というのがあるが、自己評価が高い人も低い人でも、容姿を重視し、大差がなかった。釣り合う異性を探すのではなく、すこしでも魅力的な異性を求めようとすることが判明した。 自己評価を高められた男性は魅力的な女性に興味を示し、自信を低められた男性は、容姿がそれほど魅力的でない女性に興味を示した。カレン ダイアン(米、心理学者)は、顔写真を見て、印象を推測させた。外見が魅力的なほど人格、性格、地位、能力、幸福度が高く評価された。親としての能力の評価は、普通の容姿の人が最も評価され、次は魅力的でない人、魅力的な人は最低だった。これに対し、ジャクリーヌ婦人が引き合いに出される。マセス(米、心理学者)は、若い男性は年増の女性の魅力を評価しないが、年増の男性はそれなりに評価することを示した。
バイアス
ルックスが良い人は、社会的に良い人格特性、感受性のある、親切のすべてをもちあわせているように思われ、他人に対し、説得力、影響力を持ち、他人から利他的行動を誘発する。その人の好感度は、顔の魅力と人格記述の両方から影響を受けるのであるが、その好感度は、その人が持っていると思いこまれる、ある種の特性によって決定されるのであるが、ルックスは好感度に強く影響を及ぼす。ルックスに魅力は、効果得点(アピール度、印象度、誘目度)に影響するが、認知的評定(信頼性、情報価値、明確性)に対しては効果をもっていないとされている。
雇用
ルックスは、雇用判断に強く影響する。雇用者は、ルックスに魅力があるほど、高い潜在能力を有していると評定し、雇用したいと考え、条件を良くし高い給料を支払いたがり、勤務評定を上昇させる。管理職は、魅力は男性にしか有利に作用しない。人は、魅力的な容姿の人に肯定的な反応を示す。仕事の出来栄えがよければ、外見が魅力的でなくとも差別を受けることがない。仕事の結果が悪い場合、魅力的なら、酷評を避けることができるかもしれないが、魅力的なければ、酷評を受け差別されることになる。外見が魅力的な場合、異性の評価者は肯定的な評価をもたらす。その人の仕事の質と能力の評定に、顔の魅力が有意に影響する。
教師
先入観は、客観的事実が不完全で、あいまいな時に大きくなる。教師は、魅力的なルックスの子供は学級委員になる可能性が高く、家族が少ない家の子で、親が高い収入、高い社会的地位にあると予測することが多くなる。又、ルックスの魅力的な子供ほど、学習習慣、学内態度も良いと評価し、ルックスの魅力的な子供を早く名前を覚える傾向があり、学業面で、好意的な期待を示したり、教師の能力判定は、子供のルックスの先入観、バイアスを受けてしまう。
顔と夫の社会的地位
夫の職業の社会的地位と妻の外見の魅力とは優位な相関がある。 Taylor,P.A.,&Glenn,N.D.(1976),The utility of education and attractiveness for females’status attainment through marriage.,Amer.Social.Rev.,vol.41,pp.484-498.女性は、配偶相手の将来性を、男性は容姿を重視する。 Buss,D.M.(1989),Sex differences in human mate preferences:Evolutionary hypotheses tested in 37 culture.,Behav.Brain Sci.,vol.12,pp.1-49.カレン ダイオンは、美貌と性格や、将来の地位や幸福度の予測と有意な相関を、親としての能力は負の相関を、容姿の悪い子は、不正直で逸脱行動を引き起こしやすいと認知されていることを見つけた。 Dion,K.K.Physical attractiveness and Evaluations of children’s transgressions.,J.Pers.Soc.Psychol.,vol.29,pp.80-85.
容姿と将来の地位を関係づけやすい傾向は、Prewired,予め配線付けられた生得的な現象で、ステレオタイプと呼ばれ、軽度の偏見であり、文化に内在する型にはまった物の見方を学習によって体得する。美しさは道徳性を表す形容詞として用いられるように、道徳性と美醜を関連づけるステレオタイプには強い生得性がある。
夫の社会的地位、経済性
ウドゥリーとエックランドは、高校時代の写真をもとに、15年後の結婚、社会的地位との関連を調査した。外見がよい女性は、高学歴の夫を持ち、家計全体の収入も高い男性と結婚していた。女性は、外見が良いほど、経済的に恵まれた男性と結婚していることが明らかにされた。男性が社会的地位の高い職病につくことと関係がある要因は、知能が関係している学歴にあった。中産階級は、知性が重要視されているのに対し、労働者階級は意欲が重視される。 男性
反対に、外見のいい男は、不誠実で、女性関係がはでで、離婚しがちで、冷たく、空虚さ、自己愛が強く、ナルシストであることが多い。外見のいい男性は男性的と評価される
女性
外見の良い女性は女性的に見えるため、意欲や決断力がないと評価が持たれ、事務職には高給で有利に雇用されるが、管理職にはつけない。
バイアス
人は限られた情報しか与えられていない。人は、現実の客観的な環境に反応し、客観的認識するのではなく、限られた自分の知覚に基づいて反応してしまうので、紋切型の判断、つまり、ステレオタイプ化して認識する。人は、そのような主観的認識して判断をするのだと考える思考も、一種のステレオタイプ化である。ステレオタイプ化現象は、カテゴリー化、概念形成、推測、予測的思考、主観的認識などと同じくする現象である。ステレオタイプ化は、自分の思考、行動を正当化し、複雑な社会的情報を単純化するので機能的で適応的である。ステレオタイプ化現象とは、歯科医が、嫌いな歯医者を「あの歯科医は馬鹿だ」とステレオタイプ化する現象である。 犯罪者に対する顔のステレオタイプ的認知、ルックスが良い、可愛い子は悪いことをしてしまったのは当人に原因があるのでなく、他にあるとしたり、あるいは、そのルックスによって同情してしまったりして、ルックスは、陪審員の心証、刑罰の決定に影響を及ぼす。このステレオタイプ的認知によって、印象形成、烙印(スティグマ)づけ、ラベリングされ、紋切型の容貌観を生むという認知説、ステレオタイプ的認知がある。美しいものは善である、善なるものは美しいというステレオタイプは、社会の中で強固に存在するので、人がどう判断されるかは、顔や歯のルックスが決定する。 人には、行為に意図や原因があるとみなすという原因帰属理論がある。人は、その人の行為を原因帰属することによって、未来の行動を予測し、自分に災害が及ぼされないように防衛する。あの歯医者は自分の悪口を言っている、自分を嫌っている、とか、患者さんが、自分の歯の治療している歯医者がヤブだとか。ある人のパーソナリティ観のステレオタイプが形成されてステレオタイプ化現象が生じると、現実の特性よりも大きな働きをする。ステレオタイプ化は、ある人の印象を記憶から呼び起こす時、大きな働きをし、他人に対し形成したステレオタイプ化は、その後の相互作用に強く影響する。 人はステレオタイプ化してしまうと、ステレオタイプ化した確信を正当化、証明しようとし、さらに強化しようと思考、行動する。美しいものは善であるステレオタイプ化は、魅力的な人は良い人、そうでない人は悪いという考えを強化する。美しいものは善だとする原因論的強化説があがその説によると、快の事象に結びついている人を好きになり、不快の事象に結びつく人を嫌いになる。美しい人は、快感を与えてくれるので、好きになり、醜い人は不快感を与えるので嫌いになる。どの位好きになるかは、その人が与えてくれた正の強化、つまり報酬によって決定される。人は強化を与えてきた人物から正の強化(報酬)を期待する。
教師
先入観は、客観的事実が不完全で、あいまいな時に大きくなる。教師は、魅力的なルックスの子供は学級委員になる可能性が高く、家族が少ない家の子で、親が高い収入、高い社会的地位にあると予測することが多くなる。又、ルックスの魅力的な子供ほど、学習習慣、学内態度も良いと評価し、ルックスの魅力的な子供を早く名前を覚える傾向があり、学業面で、好意的な期待を示したり、教師の能力判定は、子供のルックスの先入観、バイアスを受けてしまう。 教師が、子供のルックスの魅力からIQを判断し、その子供に対し、期待を抱き、それがその子供の自己成就予告に影響を及し、成績が良くなるというピグマリオン効果というものを心理学者が示した。期待は、容姿の魅力に影響を受けるが、期待が結果に影響を及ぼす場合もあることもあるだろうが、その効果は期待できるほどのものではない。教師はルックスの魅力的な子に高い評価を与え、期待、学業まで影響する。子供の学業成績は、IQ、親の学歴と職業、承認欲求、タイプA行動、勉強時間と相関し、成績と魅力に有意な相関が生まれる。ルックスの良い女性は、頭の良い男性を選び、その子供は魅力的で頭が良くなったのかもしれない。ルックスが魅力的でないことは、教師や同級生から不適応感を味わわされ易くなり学業に悪影響しているのかもしれない。 教師は、ルックスの魅力的な子の名前を覚え、その子に対し、好意的に扱う。生徒も、ルックスの魅力的な先生が担任になることを望み、生徒はそのルックスに対し、教師をあたたかみ、感受性、コミュニケーション能力、知識、卓越性で評価を与える。生徒による教師の評価にも、教師と同様に外見に魅力のステレオタイプが介在する。教師のルックスの魅力は、生徒や父兄の期待に影響を及ばすが、ルックスの良い先生が担任になった生徒の成績と相関はない。
顔と健康との関係
羽や体の色艶の良さが寄生虫への耐性と相関しているため、より体色のよい個体が選考される可能性が論議されている。デビッド バスは、ヒトの美醜に関する形質が病気に対する耐性の指標になっているためそのような形質をもつ個体を魅力的と感じるように進化したと考えた。羽や体の色艶の良さが寄生虫への耐性と相関しているため、より体色のよい個体が選考される可能性が論議されている。バスは、ヒトの美醜に関する形質が病気に対する耐性の指標になっているためそのような形質をもつ個体を魅力的と感じるように進化したと考えた。
男の頬骨と顎は、テストステロンで発達する。T.K.シャクルフォードは、顔がよい人は健康で、相関は男の方が強く、男は、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、心臓の働きと顔の良さが、女は、頭痛と顔の良さが相関があることを明らかにした。テストステロンは、隆起した鼻、立体化した顔、顎、頬など2次性徴を発達させる。テストステロンは、免疫力を抑制する。
顔とリーダーシップ
ページ(米、社会学者)によると、リーダーシップに最も関係しているのは容姿で、相関関係は0.61だった。相関関係とは、2つの異なる尺度の性質の間の関連を計測する数値で、最も関連している時の数値は1で、関連がない時に0になる。 多くの研究は、容姿とリーダーシップの相関を示している。ページは、士官学校でリーダーシップと相関があるのが、身なりと容姿が相関関数が0.617であることを発表した。 Page,D.P.(1935),Measurement and Prediction of leadership.,Amer.J.Sociol.,vol.41,pp.31-43.容姿がよいことは、リーダーシップを発揮する面で有利である。容姿がよいことは、他の個体の注目、注意を集めやすく、他の個体を操作しやすい。マイケル チャンスは、霊長類における群れの重要な構造として、注意の構造をあげ、注意の構造こそが順位制などの群れの構造を決定すると主張した。個体によって注目を浴びる素質に差があったとすれば、注意より浴びる個体が群れの社会的中心になることになり、社会的な順位が決定することを見つけた。 高順位の個体ほど、他個体への影響力を持ち、群れの各個体は、自分への影響の大きな影響を持つ高順位の個体の動向を注目することになる。このように、高順位が注目を浴びることの原因だとされていた。マイケル チャンスは、高順位が注目をあびるのではなく、注目を浴びるのが高順位の原因になるのだと因果関係を逆転させた。ヒトに見られる注目を集めたいという適応価には、進化的な原因がある。ヘロストラトス コンプレックスと呼ばれ、若い男性に強い。この名前は、古代ギリシャにおいて、自分の名を後世に残したいがために、アルテミス神殿に放火したヘロストラトスに因んでいる。 Chance,M.R.A.(1967),Attention structure as the basis of primates rank orders.,Man,London,vol.2,pp.503-518.
顔が悪いと
外見の悪い女性は、雇用も、高収入も、外見のよい男との結婚の可能性も低い。魅力的な人と一緒にいると対照効果といって見かけのよい人といると自分の魅力を失うので、友人が出来ない
顔に障害を持つと
障害を持つ子や口蓋裂の子供は、過度に周囲の人から注意が注がれ、その周囲の人の態度の異常を感じ、その態度を回避、拒否と解釈するようになる。隠すことができないからじろじろ見られるなどプライバシーの侵害を経験し、集団の中からの匿名性の権利を喪失し、その結果生じるプライバシーの侵害は、周囲の反応は、プライバシーの侵害、周囲の反応は、個人の自律性、自尊心、尊厳、自己愛を喪失させ、精神的外傷を被る。社会的相互作用で防衛的になり、周囲から避けようと不自然な行動が取られる。非社交的で、孤立し、対人場面で目立たないようにし、対人知性が発達しない為、尚更、孤立する。 障害を持つ子や口蓋裂の子供は、社会に適応しようと人によって、3つの方法で防衛策を身につける。1.ひきこもったり、社会的出会いを回避し、不適応感を和らげる為に、人目につかないようにする。2.他者が敵意を示すと予測して、それに対抗する為に、攻撃性をあらわにする。3.相互作用の中で生じる問題に対処する為に、無理して、過剰に愛想を振り撒いたりするようになる。口蓋裂の人は、仕事上の地位が低く、社会的接触が制限され、婚姻率も、子供の数も少ない。
行動
内気は、1.自分自身は、不適切で、劣っていて、愚かで、醜く、価値がないのではと思っている。又、2.自分が他人に与える影響、私をどう思うか、他人にどのような印象を与えるか、私を気に行ってくれるだとうか、の両方に関心が強く、相互作用で、このような失敗を恐れるあまり、相互作用が回避されてしまうのだ。その為、内気は、新たな出会いを始めること、あるいは、できている関係をさらに深めることを回避するようになる。ルックスが悪い人や障害者は、自分から会話を始めることもなく、その行動は、内気、防衛的態度を反映するようになる。 ミードは、自己観は、社会的相互作用の中で自分に他者がどう反応するかについての個人の関心の所産だとした。自己観は、他人がどうみているかによって影響を受ける。行動は、その人の役割、その人に対する役割期待、その人が属する準拠集団に同調するように行われるとする理論を役割理論という。集団の成員が期待していないような行動、あるいは、期待と逆のことを演じる場合、役割ひずみが生じ、他者との間に緊張が生じる。一般社会の成員は、醜形の人に対する配慮、行動をするのに十分な経験がないので、醜形の人たちとの相互作用から役割ひずみが生じてしまう。
認知バイアス
ルックスの魅力のない子供は、大人から不正直で不快だと思わる。男子の場合は、魅力的でないほど、罰を強くうけることが多くなり、女子は無能であると評価されてしまう。産んだ子供の魅力と母親の行動は、密接に関係する。又、未熟児に看護師がどれだけ関与するかは、その子がどれだけ可愛く見えるかにかかっている。ルックスの魅力的でない子供は虐待を受けやすくなるのであるが、マッキャンビー(1984)は、虐待を受けた子供は、頭:顔比が小さい。つまり、頭に対し、顔が大きく、この比が小さいほど、幼形を失い虐待の原因になっていることを報告した。 ある人の顔が発するステレオタイプ的認知は、法的な問題を巻き起こす。顔の魅力に欠けることは、刑期を長くさえしてしまうことがある。通常、陪審員は、ルックスが悪い被告に対し、長い刑期を課し、魅力的な場合、甘くなる。ルックスが魅力的な場合、女性の披験者が判定した異性の刑期の長さは刑期が短くなる傾向がある。男性の披験者が判定した異性の刑期の長さは刑期が甘くなる。しかし、反対に長くなることもある。この場合、ほとんどの男性は、美人に縁がないので、報復しようとしたのかもしれない、あるいは、判断する際のバイアスを知っており、意識的にバイアスがかからないように厳しくしようとするのかもしれない。 損なわれたルックスに対し、不利に働くステレオタイプが存在する。容姿が悪い人が居ると居心地の悪さを感じ、その人から回避したいという欲求が生じ、距離を置く。正直な子供は、容姿が悪い人、障害者に対し、否定的な態度を実際に示す。外見、機能がある基準から逸脱している人に対する不安、否定的な感情を反映する。ルックスの悪い人に対し、社会が、強いプレッシャーを与えている。文化によって異なるが、正常と考える基準は、どんどん狭まっているので、醜形障害を誘発し、矯正歯科、審美歯科治療を受ける人が増えてきている。 ルックスは、コミュニケーションに関わる部分なので、良し悪しによって、好感、嫌悪感を持たれるので、雇用者は、ルックスが醜い子を採用しないよう指示していることを新聞記事に報じられている。人は、醜形、障害者に対し、低い地位にさせようとする態度、偏見をもっている。醜形、あるいは、障害者の人をじろじろ見ていると珍奇なものを観察していると解釈される、視線を減らすと相互作用を回避されたいと解釈されると思うので、醜形、障害者との相互作用の経験が少ないことからそのような人に対し、どのように振る舞い、当惑を消すか不安に陥る。 美容と健康は関連している。魅力は援助行動を誘発するが、ブサイクは援助行動を受けにくくなる。ハンディキャップのある人は、同情を持たれ、援助行動をもたらされる傾向にあるが、醜形に対して、避けたいという気持ちが、同情心に打ち勝ってしまう。ハンディキャップの人への援助行動は、彼らを回避したいという負い目から発生する。原因帰属理論によれば成功した場合、自分の能力に帰属し、失敗したのであれば別の原因に帰せられる。魅力的な男性が仕事で成功した場合、原因は本人の能力に帰属されるが、容姿が良い女性が仕事で成功した場合、原因帰属は、個人の能力とは別の原因に帰属され易いという偏見が存在する。
犯罪
ルックスの低さと非行少年の経歴に関係がある。ルックスが悪い人は、社会的逸脱しやすく、粗暴、劣っていて、攻撃的だとするステレオタイプが犯罪者に駆り立てる原因になる。実際に非行者の顔に魅力が有意に劣っている。犯罪者が出所して1年後に、刑務所に1/3戻ってくるのであるが、そのことは拘留が無意味であることを示しているが、整形手術を受けた群で、再入所したのは、1/5に減る。収容者の外見を良くし、セルフイメージを向上させることは、リハビリ法に効果がなかったにも関わらず社会適応に拍車をかける。再犯率は70%であるが、整形を受けた人の再犯率は42%である。 アドラーは、犯罪者の幼年期は、1.甘やかされた子、2.親に冷遇された子、3.醜かった子、のいずれかでとした。犯罪学者、ロンブローソは、肉体的欠陥や異常を持つ人は犯罪を犯しやすい傾向があるとした。女性の犯罪者は普通よりも顔が醜いことを見出した。その原因は、社会から冷遇されるからであろうとしている。 Lombsoro,C.(1911),Crime:Its Causes and Remedies,Little,Brown&Co.,Boston.フートンは、犯罪者は異常で醜い体質を持つ場合が多いことを示した。 Hooton,E.A.(1931),Crime and the man,Harvard Univ.Press.
山崎は、容姿の良さと外向系と正の相関があることを示した。 山崎清(1959),美醜と性格の関する論稿,日本歯科評論,vol.196,pp.1-6.
アドラーは、醜かった子は犯罪者になりやすいと考えを示し、マスターズとグリーブスは、この心理機制をカジモドコンプレックスと呼び、犯罪者の6割は顔が悪いところをもっている。突き出た耳:52%、鼻の不均衡:11%、後退した顎:18%、あばたの跡:14%、目の不均衡:2%。男性では突き出た耳、後退した顎、女性は、形の悪い鼻、あばたの跡が目立っている。カジモドコンプレックス:Quasimodo Complexの存在、醜さが犯罪の一因であると結論した。カジモドとは、ビクトル ユゴーの小説に出てくるせむし男、カジモドに由来している Masters,F.W.&Greaves,D.C.(1967),work described by Christine Doyle in “Does the Face Make the Criminal”.,The Observer(London:June 18,1967).
性格
顔と性格の関連があるすれば、個人の行動様式は、容姿の良し悪しに応じて変化させるのが適応的であるということになる。容姿が良い人の利他的行動は評価されるが、醜い人の評価されず、割がよくないことが多いので、利他的行動は消去される傾向にあり、ブスは性格が悪いといわれるようになる。さらに、容姿が悪い人は利己的行動をしても大目に見られるが、悪い人は周囲から強調されるので、適応度が低くなっていく。自分の容姿の良し悪しに応じて行動様式を変化させるのが適応的である。攻撃性、衝動性といった性格特性の要因の方が、容姿の美醜より犯罪に関連が深いが、容姿によって、性格特性が作られていく。
虐待
マリノフスキーは、虐待される場合、子が父に似ていない子供であることが多いことを見つけた。
美人といるとの効果
隣の人のルックスが魅力的であると、その人のルックスの審美性は低くなる。反対に、そうでないと、魅力的であると評価されるようになるという対比効果が存在する。全員が魅力的な仲間の中に居ると同化され高く評価されるという同化効果が生まれることもある。
白髪
加齢によって、白髪が増え、眉、鼻毛、耳毛が長くなる。目も水晶体が硬くなり、老眼になり、白濁すれば、白内障になる。 白髪は、毛根などの組織が老化で色素が作れなくなることで生じる。ヒトの白髪とゴリラのシルバーバックの類似性がある。体毛が白化する現象は、霊長類にみられる現象である。白髪は透明であるから、束になれば多少の光を吸収して、純白色に比べれば灰色に見える。白髪は、高齢化を示す信号として淘汰された形質で、黒髪よりも白髪が有利であった。髪の毛の色は、美醜に関係でない形質で、髪のような肌の色より明るい色でなければ何でもよいのだ。熱帯に住む個体は、ウェーブの度合が強くなるほど短くなり、髪の毛の間に空気を含むことによって断熱効果が高まる適応的な効果である。 D.ガスリー(米、生物学者)によると、禿や白髪は年齢を示す信号で、威嚇誇示器官であるという。
禿
アリストテレスの時代から宦官や去勢者、戦争で睾丸失った人は、禿げないことが知られていた。第2次性徴の一つである陰毛や脇毛の発達に男性ホルモンが効いており、女性では男性ホルモンが分泌できないと無毛症になる。ヒトの若禿の性質は、従来の遺伝であり、禿げない遺伝子に対し男性は優性なのに対し、女性は劣性である。若禿の性質は、父親からも遺伝するので、常染色体上に乗っていると考えられる。禿ると10歳以上老けて見えるといわれている。つまり、禿、白髪の信号的意味はその個体の年齢に関するものである。 禿は、頭髪がないことから、美の元型からずれている。禿るかは、男性ホルモンの生産に関するのと異なる遺伝子が支配されているので、男性ホルモンの分泌、生産量は、せいぜい禿の強弱、スピードに関係しているにすぎない。禿でも、側頭部は禿げないでいることが多い。側頭部の頭髪は男性ホルモンの影響をうけず、甲状腺ホルモンに強く影響をうけているためである。人類の集団内から消失するどころか、白人は相当の割合で存在する。禿には、容貌の劣化に伴う適応価の存在を示唆している。 禿、白髪は、老化に伴う不可避的な現象というよりもヒトの進化で社会性行動に関連した信号として積極的に淘汰されたと考えるべきだと考えられている。禿、白髪には、年齢を高く見せることによって相手に対する優位性を得ようとする適応的意味、適応価があった。禿、白髪は、歳の増加に伴って社会内の順位が上がる傾向があったり、攻撃的なることがあるので、見かけ上、年齢を上げてみせようとする対抗戦略である。 F.ムスカレーラ(バリー大学、米)は、ひげは、攻撃性の信号を増し、偉くなったような気分を味わわせてくれる。彼は、ひげは攻撃性の信号として、禿は、知識、社会的影響力というSocial Maturityの信号として、進化したという。女性に対するSocial Maturity,Attractivenessの点では、損する。
眉毛
眉毛ができた理由に4つの考えがある。1.汗止め説、熱い時に額にかく汗が目に入ることを防止して、蒸発させる為にある。2.原人以前の段階では、眼窩上隆起は頭蓋骨から出っ張っていて、衝撃によって、傷つきやすいので、眉毛ができた。3.眼窩上隆起の発達度をみて、成熟までの相手の慨齢を知る手がかりとする認知回路があった。4.人類の進化の過程で、眼窩上隆起が縮小してきたが、その代わりとして眼窩上隆起のコピーの眉毛が進化した、という考えがある。