鼻腔通気障害のデンタルモデルの介入
Dental model intervention for nasal obstruction
アレルギー性鼻炎、あるいは、心理的ストレスなどで鼻腔粘膜が両側性に肥厚すると鼻腔通気障害が誘発され、口呼吸が促され、病原菌の侵入を容易にする。鼻腔が使用できなければ通気が悪くなり、分泌物が乾燥して固まり、細菌の温床になり、炎症を誘発し、扁桃腺を腫れさせ、咽頭気道を狭窄させる。この通気障害は、歯ぎしり、いびき、睡眠剥奪、睡眠呼吸障害を招き、疲労感、記憶障害、気分障害、気分の変調、生理機能に影響を与え、心身、学習の問題に発展させる。鼻呼吸障害による睡眠剥奪は、睡眠不足をもたらし、神経細胞再生が低下し、疼痛感受性が高くなり、認知機能が障害する。睡眠は、成長、発達に寄与し、疾病に抵抗、予防する機能を持ち、フリーラディカルの生成を低下させ、酸化ストレスを減少させ、脳内のβアミロイドを減らし、記憶や学習の為のシナプスの可塑性を高めるとされている。そのため、睡眠障害、顎顔面や咬合の不正、疼痛などが齎されている場合、歯科医として如何に治療に参加できるか考えた。鼻呼吸障害に関与して顎顔面や咬合の不正、疼痛がもたらされている患者さんに、オーラルアプライアンスで鼻腔、舌房、歯列を拡大し、頤筋、頬筋を弛緩させ、舌位を改善し、咽頭気道を拡大している。デンタルモデルの介入によって、咽頭気道、鼻腔、歯列弓の拡大、舌房の確保による舌の上方移、そして、舌位改善による舌根部の咽頭気道への突出程度が軽減され中咽頭気道が拡大し、鼻づまり、いびき、頤筋の弛緩による顎顔面や咬合の不正、疼痛が軽減されることがしばしばみられた。いびきの患者さんの約20%はOSAを併発するため、オーラルアプライアンス治療する前に、医科に受診させるべきとされているが、鼻腔通気障害は、狭い気道を開在させておくために筋緊張が誘発され顎顔面や咬合の不正、疼痛がもたらされている場合、デンタルモデルが第1選択にするべきだと思われる。
古代ギリシャ時代の最古の医師と言われるヒポクラテスは、口呼吸による吸気は、陰圧を生じ周囲の組織を牽引し、いびき、睡眠時無呼吸に至る睡眠呼吸障害を起こすことを指摘していた。口呼吸を来すと、狭窄部を通過する空気は、その速度を増加させ、陰圧を生じる。咽頭は、周囲に固い組織がない構造をしているため、陰圧が生じると周囲の壁は内腔に牽引される結果、いびきから睡眠時無呼吸に至る睡眠呼吸障害(Sleep-Disordered Breathing:SDB)を来しがちになる。Ferguson BJ:Influence of allergic rhinitis on sleep,Otolaryngol Head Neck Surg 130:617-629,2004.
眠時無呼吸症候群を定義したスタンフォード大学Guilleminault教授は、成長期の骨が軟らかいので、デンタルモデル介入で、鼻気道障害のある成長期にある小児も子供に顎を拡大し、顎を前方位にして、舌が気道を狭窄させないようにして、眠時無呼吸を予防し、脳血管、心臓疾患などを未然に減らせる。閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置に関する診療ガイドラインを作成していた矢先に亡くなった菊池哲は、睡眠時無呼吸は歯科治療で予防できると考えていた。閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン,http://jadsm.jp/iryo/guideline_pdf/guideline_2013.pdf
勲章を受章者の故、一色康成名誉教授が記した「矯正治療の伝承」によると、1914年、日本最初の矯正歯科臨床教育を開始した榎本美彦鼻呼吸障害によって誘発された舌の運動、頬筋機能の異常は、上顎歯弓の狭窄させ、不正咬合に発展させてしまうため、不正咬合の原因は、鼻づまりにあるのだから、矯正治療も鼻咽喉の病的症状を完全に除去することが先決だと主張していた。
|
|
ヒポクラテス |
Guilleminault教授 |
鼻づまり-顎関節症
顎関節症の原因は鼻づまりに起因する口呼吸由来の低位舌に起因していることが多く、鼻気道に対する治療をしなければならないとしていた。口呼吸をするために低位舌にしなければならない。低位舌の場合、下顎を動かすと顎が前方滑走を始め、顆頭は前方に動いて関節雑音、クリック音が発生する。しかし、口蓋雛壁に舌が付けられて、開口が5mm以内なら、ヒンジ運動をするので音が発生しない。通常、開口が40mmで、クレストの直下少し前方当たりに来るのであるが、低位舌の人のコンダイルは40mmの開口でクレストを超えて関節雑音が生じてしまい、鼻づまりに起因する低位舌によって、人口の約35%の人にクリッキング音が生じている。この場合の対処は、1.舌を口蓋に接触させた状態での開閉運動の訓練はこのクリック音を消失させる。2.下顎骨を前突させずに、開閉運動するように指導するのである。3.オーラルアプライアンスで、鼻腔を拡大する、あるいは、下顎を前方位に位置させ上気道を解放する。
|
|
顎関節症 |
タングアップ |
アデノイドー歯ぎしり
咽頭扁桃が肥大したアデノイドが気道閉塞し、鼻閉感の被り、解消しようとして、歯ぎしりだし、乳歯列期で起こったスライディングが残ってしまって大人になっても歯ぎしりを続けていることになる。口蓋扁桃や咽頭扁桃肥大の子供の場合、開口部を閉鎖してしまうので、気道確保を確保する為に、舌を前方に出して呼吸するしかないために、睡眠障害、舌前突壁を誘発し、不正咬合を作ることになる。
アデノイド肥大を被ると耳の内圧が高まってつまったような感じがするので、圧力の違いを排除しようと歯牙をこすり合わせて、嚥下するようになり、それを習癖として獲得すると、アデノイドが消退しても止まる事は無く歯軋りを続けてしまうことになる。扁桃腺肥大が残り、歯軋りに対するスプリント1~2か月以上の装着は顎の発育を阻害してしまうことになる。
1鼻汁を啜ると、鼻汁が耳管を通過し、中耳に入り、耳管が炎症を起こし急性中耳炎を誘発する、1.滲出性中耳炎:耳の中で分泌された粘液は耳と鼻をつなぐ耳管を通って鼻へ排出されるのだが、アデノイド肥大は耳管の出口を狭窄し、粘液を排出できなくなり、耳の中に分泌液がたまり、滲出性中耳炎を誘発する。
5.子どもの顎関節症は、アデノイドに起因して中耳炎を繰り返していることが多く、機能的矯正装置で下顎を前方位が必要になる。Sjoholm TT,Lowe AA,Miyamoto K,Ryan F,Fleetham J:Sleep Bruxism in patients with obstructive sleep apnea.J.Dent Res(Special Issue) 1998:77:773.
アデノイドは、Aprosexia Nasalis(アポロセキシア・ナザーリス、鼻性多動症)、精神障害、学習障害、睡眠障害を誘発する。 アデノイド肥大が起因して開口していることで閉口筋、舌を引き込む筋力が衰え、アデノイドフェイスという長い顔になってしまう。
|
|
アデノイド |
アデノイドフェイス |
子どもの鼻呼吸障害による口呼吸は、口腔顔面、頭蓋顔面骨の発育障害、睡眠障害、身体発育障害、学業成績の低下、情緒障害、注意力欠損多動性障害(ADHD)、睡眠時無呼吸などが指摘されている。Jefferson Y:Mouth breathing:adverse effects on facial growth,health,academics,and behavior,Gen Dent 58:18-25:quiz 26-7,79-80,2010.
鼻づまり実験
山田哲郎先生は、幼弱日本猿に印象剤の量で①軽度狭窄群と②重度狭窄群を設定し後咽頭部を閉塞した。鼻腔抵抗値は、軽度狭窄群で30-50%,重度狭窄群で60%以上になった。後咽頭部の狭窄に呼応して、1.上下口唇の異常緊張、2.舌前突癖、口呼吸の出現、3.開口の発現、4.下顎骨の後下方回転、5.下顎角の増大、6.顔面高の増大、垂直的不調和を示す顔面骨格などが高度狭窄群で顕著になった。対照群の上顎はほぼ前方への成長を示したが、実験群は下前方への変化し、高度狭窄群では、下方成分の方が大きくなった。下顎骨は、この傾向が更に強く、高度狭窄群では、下方への成長が認められた。Yamada,T.,Tanne,K.,Miyamoto,K.and Yamauchi,K.:Influences of nasal respiratory obstruction on craniofacial growth in young Macaca fuscata monkeys,Am J.Orthofac.Orthop.111:38-43,1997.山田哲郎:鼻呼吸障害が顎・顔面の形態成長及び呼吸動態に及ぼす影響についての実験的研究,広大歯誌19:203-224,1987.
木村暢男先生は、幼弱日本猿の外鼻孔に印象剤を注入、6か月の短期閉鎖群と15か月の長期閉鎖群に分け、鼻閉塞を起こさせた。模型、側貌写真分析した結果、「犬歯間幅径」が対照群と比較し有意に小さく、長期群はより顕著になった。顔面骨格では、対照群は、上下顎が前下方成長を示したが、実験群では、前方成長が少なく下方成長を示し、下顎下縁平面が開大し、長期群では顕著になった。短期閉鎖群は、対照群への追いつき成長があったのに対し、長期群では追いつき成長は見られなかった。鼻呼吸障害は、口呼吸を齎し、顎顔面筋の機能不全、顎顔面骨の発育障害へと弊害を拡大していく。早期に、鼻呼吸障害に介入することが顎顔面の発育を正常に導くことができる、短期だと、弊害が起こっても回復するが、長期になると戻らないことを明らかにした。歯並び悪くするには15か月の鼻閉が必要であることを示した。木村暢男:サルの鼻腔閉鎖解除後の顎顔面形態の成長変化について,広大歯誌 25:308-323,1993.
|
ニホンザル |
鼻の機能
呼吸、栄養摂取、排泄、生殖のための開口部があるが、病原菌の侵入門戸となるので防御メカニズムが備わっている。
A.粘膜繊毛機能
粘膜は1日2ℓの粘液を分泌し、粘液はゴミや細菌を捉え、鼻水、痰として、排出する。1.鼻の粘液で病原菌を捉える。2.気管まで入った病原菌は、気管の繊毛が捕える。3.この情報は脳基底にある咳のセンターを刺激。4.胸、横隔膜、気道の筋肉の収縮。5.咳をして痰として排出。繊毛の運動によって、粘液を鼻の後方に移動させ、胃に流し、胃酸によって無害化される。
B.鼻腔抵抗機能
鼻腔は全気道抵抗の50%以上を占める。吸気時間を遅延させ、肺胞を拡張するための時間を作りだし、空気と血液の接触面積が広くし、血液内への酸素の浸透度が増加させる。鼻腔粘膜の肥厚させて鼻腔抵抗を作り、吸気の速度を調節して吸気に加温、加湿して病原体をろ過して除去する。ハウスダストなどに含まれるダニの糞などに起因するアレルギー性鼻炎や心理的ストレスなどで1.鼻腔粘膜が両側性に肥厚すると鼻づまりになる。2.鼻づまりになると、鼻粘膜から分泌される粘液が乾燥、凝固3.その排出ができなくなり、細菌の温床になる。4.扁桃肥大。5.気道の狭窄。6.口呼吸を強いることになる。
C.加温・加湿機能
酸素が肺胞内の血液内に移行する条件が、湿度100%、温度は、38℃である。鼻呼吸の場合、80%近くにまで加温加湿される。鼻の中には、鼻腺という粘液や漿液を出す腺によって鼻に加温、加湿し吸気を肺に送りこんでいる。口呼吸の吸気は加温、加湿されず、酸素が肺胞内の血液に移行しにくくなる。繊毛機能が低下し、粘液の移動が行われなくなり、そこに細菌が増殖し、分泌液が停滞し、痂疲が付着する状態になる。
D.一酸化窒素産生
鼻呼吸であると、鼻腔、副鼻腔の粘膜が一酸化窒素を産生する。一酸化窒素は、肺胞周囲の血管拡張、それによる血液増加機能。肺胞内に取り込まれた酸素を血管内に浸透させる。ノーベルは、ニトログリセリンからダイナマイトを作ったが、心臓病になり、ニトログリセリンを飲むことを拒絶し死亡した。ある心臓病患者は、勝手に勃起すると訴訟を起こした。それを知ったコロナワクチンで有名なファイザー社は心臓病に処方されるニトログリセリンから発生する一酸化窒素が平滑筋を弛緩させ血流を増加させていることを利用して1998年、バイアグラを開発し、大金を手にした。
|
|
鼻の機能 |
バイアグラ |
ネイザル・サイクル
鼻呼吸は、一側の鼻が交互に行っている。日中の片側性腫脹、ネイザル・サイクルに伴う腫脹側の逆転、3時間間隔で、左右が交代する。変動幅は炎症程度によって異なるが、交感神経によってコントロールされ、ネイザルサイクルが変動する。日中は、粘膜の腫脹が少なく、深夜から朝にかけて、自律神経、ホルモンの影響を受け、粘膜の腫脹が強くなり、換気量が減少し、鼻閉、口呼吸、いびきが多くなる。睡眠時、重力の影響で下側に向かった鼻の鼻粘膜は充血して鼻づまりし、上向きの鼻の通気が良くなる。
鼻づまりの影響
肺の末端にある肺胞という小さな袋に取り込まれた空気中の酸素が肺胞の周囲にある血管に浸透することによって、体内に取り込まれる酸素が肺胞血管に浸透する条件は、空気の湿度が100%、温度が38℃。口から取り込まれた空気は、2~3℃しか上がらず、酸素が取り込まれず、口呼吸の吸気は、肺尖まで届かず、持続的な酸素不足を齎し、鼻性多動症という集中力、おちつきがなくなり学力が低下し、記憶力、判断力の低下などの学習障害、鼻性多動症、睡眠障害を起こすようになる。 口呼吸→吸気:肺尖まで到達不可→酸素不足→睡眠障害→REM睡眠障害→前頭葉機能障害→学習障害→情緒障害に繋がる。
1.睡眠障害:睡眠分断誘発、交感神経系が活発化、アドレナリンが分泌、血圧上昇、速脈、ストレスホルモン増加、うつ病、攻撃性。
2.情緒:REM睡眠(夢を見る深い睡眠)を障害、前頭葉機能障害頭痛や不安、抑うつなどの情緒障害、学習障害。
3.肥満:グレリン(食欲を増進させるホルモン)増加、レプチン(食欲を減退させるレプチン)が減少、食欲が増進、肥満が誘発される。
4.学習、筋力低下、運動機能障害。
Jefferson Y:Mouth breathing:adverse effects on facial growth,health,academics,and behavior,Gen Dent 58:18-25:quiz 26-7,79-80,2010.
|
|
ネイザル・サイクル |
鼻づまりの影響 |
鼻づまりの要因
Emslleは、鼻づまりの要因、上気道抵抗症候群を1.一時的要因と2.次的要因に分類した。一次的要因:(解剖学的要因):鼻づまりになった宿命。解剖学的要因のd.下顎後退は、舌が後退し、軟口蓋を圧迫し、上気道を狭窄させ、いびき、無呼吸を起こす進化の過程で、顎が狭くなっている、舌も小さくなる率が小さいから仰向けで寝ると、舌が軟口蓋を押して、上気道を狭める。だったら、顎を拡大し、舌の入るスペースを作って、顎を前方に位置させることが、成長期ならデンタルモデルで、予防できると考えられる。2次的要因(鼻咽頭閉鎖型):①鼻腔閉塞型、②咽頭閉塞型:a.アデノイド肥大型、b.口蓋扁桃肥大型 Emslie RD,Massler M.,Zwemer J.: Mouth Breathing:Etiology and effects.JADA 44:506-521,1952.
目の近接(究極要因、一次要因)
井尻正二教授によると、哺乳類に進化した私たちの先祖は、樹状生活に移したため、哺乳類的嗅覚が必要なくなり、牛や馬が行う側方視から、外側にあった目がよってきて立体視、色覚を獲得し、樹状で必要な感覚器を嗅覚から視覚に変えた立体視のために目が寄ってきて、鼻腔を挟み、鼻気道を狭窄させるようになった。
|
|
鼻づまりの要因 |
目の近接(究極要因、一次要因) |
Cranial Base(頭蓋底)
顔面頭蓋は縮小退化、脳頭蓋は拡大、頭蓋底角の屈曲、鼻副鼻腔が頭蓋底角に挟まれ、鼻気道障害を起こしやすく進化した。
Cranial Base Angle(頭蓋角)
哺乳類は顔面頭蓋と脳頭蓋が前後に並んで成長するが、二足歩行するようになり、生活の場をジャングルからサバンナに変えた?私たちの祖先は、直立することで、顔面頭蓋は縮小退化し、脳頭蓋は拡大し、脳に圧迫され、頭蓋底の猫背と呼ばれる頭蓋底角に生じ、頭蓋底角の屈曲はアデノイドを圧迫し、頭蓋底角に挟まれる個所に位置する上気道、鼻副鼻腔が圧迫されだした。Sankararaman,S.(2012).The date of interbreeding between neandertals and modern humans.PloS Genetics 8:e1002947.
|
頭蓋底角の屈曲はアデノイドを圧迫し、鼻気道傷害を被るようになった。 |
寒冷適応
20万年前、アフリカで誕生した祖先であるホモサピエンスが5万年前、アジアに進出し3万年前、その1部がシベリアにむかった。-50°の中で顔や体を適応進化させた。極寒の環境下で体躯の凹凸、顎顔面突出を減らして短頭化、小顎化が進み、その小顎化に対し、舌の縮小で対応しようとするが、舌の縮小率が追いつかず、仰臥位になれば、舌が軟口蓋を圧迫して、いびきや無呼吸などの鼻気道障害を起こす。2800年前、シベリアで、この特徴を獲得した先祖が朝鮮半島を通って、日本にやってきた。その時、すでに、縄文人が住み着いていた。縄文人に渡来系、弥生人がまじりあった。親知らずが存在している。
徳川家
徳川家康の顔は短顔型をしているが、12代将軍の徳川家慶(いえよし)は、顎が後退し、長顔型になっている。家康から250年経っていた。食生活の影響で顔が変わってしまった。将軍は刺身、炊き立てのご飯、庶民は、魚、玄米を食べていたのでしょうか?現代人と同じような食事をすれば、顎が後退すれば、舌が後退し、睡眠呼吸障害を起こしやすくなると考えられる。鼻づまりで胸腔内に発生する陰圧がさらに下顎後退を誘発していたのでしょうか?
|
徳川家康と家慶 |
Inspection(視診)
鼻気道に対するアクセスをしてよいのかどうか、治療が適切なのかアセスメントしております。点鼻薬で改善されれば鼻に、改善されなければ、咽頭にということになる。肺に空気の到達努力があれば、上気道抵抗症候群嗅覚チェックで、臭いが判らないというと鼻炎から副鼻腔炎に発展していることが考えられる。
|
点鼻薬 |
Inquiry(問診)
鼻炎の3大徴候は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。アレルギー性鼻炎:ある季節に鼻づまりが多くなれば、アレルギー性鼻炎である可能性が高い。慢性鼻炎:点鼻薬を長年使用し、粘々した黄色い鼻水が続き、鼻水が喉に落ち込む後鼻漏が生じ、慢性鼻炎となって咳が出やすくなり喘息を被ることが多い。
Frontal(正貌)
鼻中隔湾曲、鼻炎、副鼻腔炎
正貌セファロで左右の副鼻腔の透明度の比較をおこなった、違いがあれば副鼻腔炎の可能性がある 。鼻づまりが続き、鼻水の流れが滞り、鼻水や膿がたまる副鼻腔炎になる。
鼻腔の計測を治療前後で比較。
成長期でが、2年で約1mm広がるが、1年で0.5mm、それより広がっていれば、拡大治療に起因したのかもしれない
|
Frontal Exam |
Lateral(側貌)
側貌セファロで気道のアセスメント
1.上咽頭気道,2.下咽頭気道.3.下顎下縁から舌骨までの距離、
1.Upper Pharynx(上咽頭気道):鼻咽頭後壁と軟口蓋上縁前半部との最短距離:5mm以下:気道障害を疑う。
下顎が後退し、前歯が前突した長い顔の特有の顔つき、アデノイドファイスを誘発する。
滲出性中耳炎:耳の中で分泌された粘液は耳と鼻をつなぐ耳管を通って鼻へ排出されるのだが、アデノイド肥大は耳管の出口を狭窄し、粘液を排出できなくなり、耳の中に分泌液がたまり、滲出性中耳炎になる。
2.Lower Pharynx(下咽頭気道)
口腔咽頭後壁から舌後縁と下顎下縁平面の交点まで最短距離
15mm以上の場合、舌位置以上、口蓋扁桃肥大による気道障害が疑われる。
扁桃肥大は、鼻腔狭窄のように口呼吸に結びつくわけではないが舌前突癖を促し、受け口に発展させやすい。
3.舌骨とその真上の下顎下縁までの距離を短くする(2次的要因)
|
Pharynx Exam |
CBA、FA、FXの3つにアセスメント
1.CBA(一次的要因:究極要因)
Cranial Baseが急だと、Adenoidを圧迫し鼻気道障害を起こす。 逆にCranial Baseが開大しすぎても、下顎が後退し、舌が気道を閉塞することも考えられる。
2.FD(FA)(2次的要因:至近要因)
FAはMand.Prognathism、下顎突出度を意味し、この値が小さければ下顎後退となり、気道閉塞する可能性が高くなる。 FX(顔面軸)は、鼻づまり、口呼吸は開けるように働き、アデノイドフェイスを誘発する。
|
Lateral Exam |
Cervical Vertebral Maturation(CVM)Method
セファロ上で頸椎のCVM(Donald Lamparsky考案)を見て、成長の有無を知る第2,3,4の頸椎の錐体の形態が、1.Trapezoid(台形)2.Lectangular Horizontal(横長長方形)3.Square(正方形)4.Lectangular Vertical(縦長の長方形)に成長していく。
拡大治療は早いほど効果的で、CS1,2(Cervical Stage)でRME,FMを行う。
McNamaraによると、4.Lectangular Vertical(縦長の長方形)は成長が残っていないという。
Bejorkは、1966年頃、Sesamoid Bone(拇指尺側種子骨)が出現し、石灰化像が見えるかどうかで、思春期性Growth Spurtが来ているかどうかを判断したが、 (Donald Lamparsky先生が考案した頸椎のCVMを見て、成長の有無を知ることができる。
受け口治療は早いほど効果的で、CS1,2でRME,FMを行う。出っ歯の治療は、CS3が望ましく、1970年代、Alexander Petrovic,Jean Stuzmannは、成長ホルモンであるソマトメジンと顎の成長が関連が強いことを示した。 第3、4頸椎の錐体の形態、縦長の錐体になっていれば、成長が終わっている。 17歳で、Cervical Stage5,6であれば外科になるが、Cervical Stage3,4ば、外科は適用されないことになる。
Baccetti,T.,Franchi,L.and McNamara,J.A.:The Cervical Vertebral Maturation(CVM)Method for Assessment of Optimal Treatment Timing in Dentofacial Orthopedics,Seminar in Orthod.,11:119-129,2005.
|
CVM EXAM |
拡大装置
拡大装置で顎を拡大することで扁桃腺切除せずに済むようになることが多い。しかし、Littleは下顎拡大は後戻りしてしまうが上顎が狭窄し、下顎歯列が舌側に傾斜している場合に適用するべきだとしている。 McNamaraによると上下顎歯が咬頭嵌合によって下顎歯列弓の拡大が安定する・成長期の不正咬合の患者さんを矯正治療に至らないように、自然治癒を生むだのだという。 受け口は、上顎の拡大によって、上顎が一過性に前方に出て、受け口が自然治癒する現象が見られる。2.上顎前突は、自然の治癒はすぐにおこらず、保定の期間に入ってから自然に改善が起こるという。
|
拡大治療のメリット、デメリット |
|